「円安は後退する日本」日本円の購買力が1970年代に逆戻りしてしまったことの意味とは~「悪い円安」が日本経済を蝕んでいく~

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【本日のニュース・記事】

 

■日本円の購買力が1970年代に逆戻りしてしまったことの意味とは

東洋経済 2021/9/12 野口悠紀雄(一橋大学名誉教授)

 

 


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1990年代に、日本人は海外で貴族のような旅行をすることができた。

ところが、その後、円の購買力が低下した。


最近の購買力は、 2010年の7割程度で、1970年代前半の水準にまで戻ってしまった。

こうなったのは、円高になるとそれを阻止して、円安に誘導する政策が行われてきたからだ。


つまり、日本は自ら望んで貧しくなったと言える。

この結果 、人材を日本に呼ぶことができなくなる。


高齢化が進む日本にとって、これは深刻な問題だ。

 

 

・90年代の夢のような豊かさ

 


1960年代の末、1ドル=360円の時代に、私はアメリカに留学して、貧乏生活を強いられた。

当時の私の日本での月給は、2万3000円程度だった。


ところが、留学先のカリフォルニア大学ロサンゼルス校の周辺にあるアパートは、独身用一部屋でも、すべて100ドルを超えていた。

日本とアメリカの豊かさの差を思い知らされた。


それから20年後の1990年代、事態は一変した。

わが家は、家族5人で、何度か欧米を旅行した。


観光地で最高級のホテルを泊まり歩き、貴族さながらの旅をした。

オリンピック、バルセロナ大会の頃のことだ。


由緒あるロンドンのクラリッジズホテルに、家族全員で泊まったこともある。

アメリカでの貧乏学生生活のカタキを取った気分になった。


それから暫くも、外国で優雅な生活をできる時代が続いた。

2005年には、アメリカ、カリフォルニア州シリコンバレーにあるアパートに、1年間ほど住んでいた。


スタンフォード大学の近くの、緑の環境に囲まれた素晴らしいアパートだった。

ところが、いまではこれらは、夢のような話になっている。


家族5人で欧米の豪華ホテルを泊まり歩くことなど、想像もできない。

シリコンバレーのアパートも、高くて手が出ないだろう。


1990年代、外国の学者は、「日本の大学に1年滞在したいのだが、生活費が高いので無理だ」と言っていた。

いまはそれが逆になっている。


日本の学者は、外国に収入源があるのでないと、簡単には外国で研究生活をするわけにはいかない。

日本の学生が欧米の大学に留学するのも、ますます難しくなっている。

 

 

・70年代から90年代まで、円の価値が高まる

 


上で見たような変化が生じたのは、為替レートが変化したためだ。

1960年代の後半、最初の貧乏学生を強いられていたとき、日米の為替レートは、1ドル=360円というレートに固定されていた。


1971年8月15日の「ニクソン・ショック」で米ドルと金の兌換が一時停止された。

72年には、ドイツ・マルクが変動を始めた。


この時、私はエール大学の大学院の学生だった。

ちょうど国際金融の講義の時間に、ドイツ・マルクが変動を始めた。


教室にいた学生の1人が、”The Mark is floating"と大声で叫んだことを、いまでも覚えている。

73年2月には円もフロートを始めた。


そして、76年1月に、変動為替相場制度が導入された。

その後、ドルに対する価値は、日に日に上昇していった。


つまり、円高になっていった。

この動きは、80年代、90年代を通じて続いた。


それがピークになったのが、90年代の前半だったのだ。

 

 

購買力平価、実質為替レート指数とは

 


ある国の通貨の国際的な価値を表わすのに、購買力平価と実質為替レート指数という概念が用いられる。

円とドルを例に取って示せば、つぎのとおりだ。


ある基準時点から、アメリカでは賃金や物価が上がり、日本では上がらないとする。

この場合、日本人がアメリカで同じものを基準時点と同じ負担で買えるためには、基準時点より円高になる必要がある。


この為替レートが「購買力平価」(PPP)と呼ばれるものだ。

購買力平価と実際の為替レートの比率が、「実質為替レート指数」である。


この値が100を下回るのは、実際の為替レートが購買力平価より円安である場合だ(逆なら、逆)。

基準年次と同じ購買力を維持できるほど、実際の為替レートが円高になっていないのだ。

 

 

・いまの円の購買力は90年代の半分以下

 


2010年を100とする実質実効為替レート指数の変化を見ると、下図のとおりだ(「実効」とは、対ドルだけでなく、さまざまな通貨との総合的な関係を示していることを意味する)。

1970年には実質実効為替レート指数は58程度であった。


変動制に移行して以降、70年代後半まで、一貫して円高に動いた。

その後一時的に円安になり、80年代の中頃までその状態が続いたが、80年代の後半から再び円高が生じ、1995年4月には実質実効為替レート指数は150.8となった。


これは、1970年代初めの3倍程度の水準だ。

その後下落して1997年には100程度になったが、99年ごろから再び円高になり、2000年には120台となった。


下落傾向は続き、2007年には80台となった。

リーマンショック後の2009年ごろに再び円高になり、100を超えた。


その後、2013年から顕著な円安が進行した。

結局のところ、最近の実質実効為替レート指数は、90年代中ごろのピークに比べると、半分以下の値になった。


そして、最近時点では、日本円の購買力は、1970年代と同程度にまで低下してしまった(図には2020年12月の値までしか示していない)。

その頃の留学生生活を思い出してみると、街を歩いても商店に入っても、豊かさに目も眩むほどだった。


あらゆるものに対して、「アメリカは何と豊かな社会なのだろう」と驚嘆した。

80年代と90年代にそれが逆転したのだが、いまにしてみれば、つかの間の夢に過ぎなかった。


そしていま、アメリカに最初に留学した時と同じ状態に戻ってしまったのだと思うと、感慨深い。

なお、ここで言っている「豊かさ」とは、絶対的なものではなく相対的なものだ。


例えば、1970年代には日本人はロンドンの3流ホテルにしか泊まることができなかったが、80年代、90年代には1流ホテルに泊まれるようになった。

ところがいまはまた、3流ホテルに戻ってしまったと言うようなことだ。


3流ホテルといえども、いまの設備は、70年代の1流ホテルよりよいかもしれない。

例えば、70年代には一応ホテルにもエアコンがなかったかもしれないが、いまは3流ホテルにもあるといったことだ。

 

 

・日本は自ら望んで貧しくなった

 


なぜ購買力平価を維持できず円安になってしまったのか? 

それは円高が進むと、それを食い止め、円安にするような政策が行われてきたからだ。


円売り・ドル買いの為替介入は、1990年代から断続的になされていた。

そして、2001年の1月から、顕著な介入が行われた。


その背景は、円高が進んだことだ。

アメリ連邦準備制度理事会FRB)のアラン・グリーン スパン議長(当時)が政策金利の引き下げを示唆したため、アメリカの短期金利が低下するとの予測が市場に広まり、円高が進行したのである。


為替レートは、02年初めの1ドル=130円台から、03年初めには110円台まで上昇した。

さらに、100円に近づいた。


政府・日銀は、これを危機的な状況と捉え、03年1月から頻繁なドル買いを開始した。

04年3月まで継続的に行なわれた介入の総額は、38兆円を超えた。


これによって円高の進行は止まった。

2010年頃にも円高が進行し、民主党政権は必死になって円安を求めた(ただし、成功しなかった)。


2013年からのアベノミクスの異次元緩和では、市中から大量の国債を購入し、利回りが低下。

このため、円安が進行した。


日本の購買力が低下するということは、日本に所得源があって外国で使うと、いままでのように高い価値のものを買えなくなるということだ。

逆に、外国に所得源があって日本で使えば、いままでより価値があるものを買えることになる。


1980年代、90年代には、日本で所得を得て外国で使えば、贅沢な消費ができた。

それが、いまでは、70年代に逆戻りしてしまった。


繰り返すが、日本は自ら望んで、そのような状況を作り出してきたのである。

誠に愚かなことだと言わざるをえない。

 


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■日本円の購買力が1970年代に逆戻りしてしまったことの意味とは
東洋経済 2021/9/12 野口悠紀雄(一橋大学名誉教授)
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/87089

 

 

 

 

本日は3つの記事をご紹介いたします。


2つ目の記事はこちらです。

 

 

 

 


■円安は「後退する日本」の象徴なのか、浮上する不都合な真実=佐々木融氏

reuters(ロイター通信)2021年7月26日 佐々木融(JPモルガン・チェース銀行 市場調査本部長)

 


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<今年に入って円独歩安>


今年に入ってからの為替市場では、円が先進国通貨の中で独歩安となっている。

現状の円実質実効レートの水準は2015年6月に記録した1970年代前半以来の最安値まであと4%程度の水準まで下落している。


現在の水準は過去20年間の平均からは20%、過去30年間の平均からは30%も割安となっており、1973年2月の変動相場制移行直前と同レベルの円安水準となっている。

しかし、長期的に見ると、円の弱さは今年に始まったことではない。


アベノミクス開始後に大幅な円安となって以降、円の実質実効レートはおおむね1970年代前半と同レベルの水準で推移し続けている。

 

 

<円の購買力、70年代に逆戻り>

 


円の実質実効レートが1970年代前半と同水準での推移を続けているということは、単純に言えば円の購買力が1970年代前半と同水準となっているということだ。

例えば、80年代後半から90年代までは、海外から来日した外国人は一様に日本の物価の高さに文句を言っていた。


一方、日本人が海外旅行に行くと、日本に比べると割安なブランド物を免税店で購入して帰ってくるのが定番だった。

それがアベノミクス以降に大幅な円安となってからは、来日した外国人は「日本は安い」と口をそろえて言うようになった。


実際、コロナ前までは銀座で買い物を楽しんでいる海外からの旅行客が目立った。

一方、日本人にとっては海外旅行先で様々な物が割高に見え、免税店では「日本で買った方が安い」とつぶやくことが多くなった。

 

 

<物価調整しなくなった円相場>

 


なぜ、円はこれほどまでに割安となり、購買力が低いままとなってしまっているのだろうか。

現象面から単純に解説すると、それは「日本の物価上昇率が他国と比べてかなり低いのに、為替レートがその分の調整をしていない」ことが背景にある。


2000年以降の約20年間でみると、日本の消費者物価指数は2─3%程度しか上がっていない。

これに対し、その他の主要国は概ね40─50%程度上昇している。


この現象は、物価上昇率の差の分だけ、円という通貨の相対的な価値が他国の通貨に比べて上昇したことを意味している。

しかし、実際の為替相場をみてみると、ドル/円相場は2000年の平均レートと2021年前半の平均レートがほぼ同水準、ユーロ/円相場、人民元/円相場は逆に現在の方が円安水準となってしまっている。


つまり、物価上昇率の差を全く反映していないどころか、逆方向に動いてしまっている。

この結果、円は実質的に歴史的な割安水準まで落ち込んでしまっている。


なぜ、実際の為替相場は実質的な円の価値の上昇を反映しなくなったのだろうか。

様々な理由が考えられるが、次の4つは特に影響している可能性が高いと指摘したい。

 

 


<日本企業のキャピタルフライトと貿易構造の変化>

 

1つ目は「日本企業によるキャピタルフライト」だ。

日本企業はアベノミクスが開始された2013年ごろから対外直接投資を急増させている。


2013年9月に安倍晋三前首相はNY証券取引所で行った演説で「Buy my Abenomics」と発言したが、日本企業には真逆の行動を取ってきた。

また、経済産業省の統計によると、日本企業の海外現地法人の純利益は年間10兆円程度でそのうち4兆円前後を内部留保として積み上げている。


結果的に日本企業の海外現地法人内部留保残高は40兆円以上に上っている。

円は実質的にかなり割安で、今や日本の物価は安い。


後述するように今や日本人の平均年収は相対的に高いとは言えず、むしろ低い。

それでも日本企業は海外に進出し、海外で利益を積み上げている。


これは日本企業による一種のキャピタルフライトと言えるかもしれない。

2つ目は「日本企業が円安メリットを以前ほど享受できなくなっている」という点だ。


製造業による対外直接投資増加も一因となっていると考えられるが、近年は円安になっても輸出数量が伸びず、貿易黒字が増えなくなってきている。

また、輸入企業は円安で上昇しているはずの輸入価格を国内価格に転嫁できず、物価も上がらないし、企業収益は悪化する。

 

 

<海外勢の失望売りと日本人の現金選好>

 


3つ目は「外国人投資家の失望・日本株売り」である。

このところ外国人投資家の日本株に対する興味は減退してしまっているようで、アベノミクスに期待して2013年、14年に合計20兆円の日本株を買い越した外国人投資家は、その後に10兆円分を売り戻してしまった。


4つ目は「日本の家計の現金選好」だ。日本の家計は円と交換することができる資産に魅力を感じていないのか、長いデフレの中を生きる上での知恵なのか、金融資産に占める預貯金の保有比率が高い。

つまり、いくら対外的な購買力が低下しても、日本の家計は円という通貨が最も魅力的な国内資産だと感じて保有している。


だから、円という通貨は日本国内で価値を維持している。つまり日本の物価は上がりにくい。

 

 

<上がらない日本人の年収>

 


円が割安な水準から調整されないだけでなく、日本は年収も上がらないので、ますます日本人の相対的な購買力が低下してきている。

経済協力開発機構OECD)のデータによると、2020年の日本の平均年収は440万円だが、2000年は464万円だった。


20年間で小幅減少しているが、他国と比べるとかなり異常と言える。

その他主要国の平均年収はおおむねこの20年間で1.5倍から2倍に増えているからだ。


データがあるOECD加盟国で年収が減っているのは日本だけだ。

この結果、ドル建てでみた平均年収は2000年当時の日本はOECD加盟国の中で3番目に高い国だったが、今や順位は20位まで低下しており、韓国とほぼ同水準となっている。


ちなみに20年前の日本の年収は韓国の2.7倍だった。

他国はインフレ率も高いし、日本はインフレ率が横ばいだから名目賃金が上昇していなくても仕方ないだろうと開き直りたくなるかもしれない。


しかし、日本の実質平均賃金は過去20年間でみても、30年間でみてもほとんど変化していない。

一方、米国の実質平均年収は過去20年間で25%、過去30年間で48%も上昇している。


その他主要国も過去20年間の実質賃金は15%─45%程度伸びており、日本とは状況が大きく異なっている。

日本人の給料は上がらない一方、海外の人の給料は上がり、現地のモノやサービスの価格は上昇する。


本来それを為替レートが調整するのだが、その機能が働かなくなっている。

このままの状況が続くと、日本人にとって海外のモノやサービスはさらに割高になっていくだろう。


そして、割高になる海外旅行に行ける日本人が限られる一方、外国人にとっては日本は一段と割安になる。

過去1年半程度のコロナ禍でも他の主要国の物価は上昇している一方、日本の物価は若干下落している。


それにもかかわらず円安になっているので、国境を超えた往来が通常に戻ったら、ますます購買力をパワーアップさせた外国人観光客が日本に押し寄せてくれることになるだろう。

それ自体は日本経済にとって良いことだが、いずれ良いモノ・サービスの価格は外国人向け価格で高く設定されるようになり、日本人には手の届かない水準になってしまうかもしれない。

 

 

<先進国からの脱落なのか>

 


今後もリスクオンの時に円安、リスクオフの時に円高、という短期的な変動パターンは続くと予想される。

世界経済に暗雲が垂れこめれば、ドル/円相場が100円を割れることもあるだろう。


しかし、現状のような米国との物価上昇率の差や賃金格差拡大が続くようであれば、ドル/円相場が90円台まで下落したとしても、円は歴史的な割安な水準にとどまる。

円相場が他国との物価上昇率の差を反映しなくなり、日本が世界の中で高所得国から中所得国になってしまったことは、日本がもはや先進国ではなく、後退しているという意味で「後進国」になっていることを意味しているのだろうか。

 


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■円安は「後退する日本」の象徴なのか、浮上する不都合な真実=佐々木融氏
reuters(ロイター通信)2021年7月26日 佐々木融(JPモルガン・チェース銀行 市場調査本部長)
https://jp.reuters.com/article/column-toru-sasaki-idJPKBN2EW02C

 

 

 

 


最後3つ目の記事はこちらです。

 

 

 

 

■間違いなく「悪い円安」が日本経済を蝕んでいく

~円安万能論を捨て、日銀は正常化を示唆すべき~

東洋経済 2021/10/15 唐鎌大輔(みずほ銀行 チーフマーケット・エコノミスト)

 

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今の日本経済が直面している円安はどう見ても「悪い円安」である。

2013年ごろに円安志向のアベノミクスを批判する人々の基本認識は「もはや輸出が増えない円安には、持続的な景気浮揚効果はない」というものだった。


当時はそのような主張をするとひどく叩かれたものだ。

最近では景気回復には円安が必要だと主張する人のほうがだいぶ減ったのではないか。


円安・株高を主軸とする景気回復には往々にして海外への所得流出が伴い、たいていの場合、「実感なき景気回復」であると揶揄されてきた。

アベノミクス下での景気回復(2012年11月から2018年10月までの71カ月間)でも、それ以前の小泉政権下で実現した戦後最長の景気回復(通称:いざなみ景気、2002年2月から2008年2月までの73カ月間)でも、そうした揶揄は付いて回った。


一般国民が何をもって景気回復を「実感」するかは曖昧だが、やはり雇用・所得環境が肌感覚に近いだろう。

アベノミクス下では雇用の「量」は回復が著しかったものの、所得(賃金)に関しては失望を買った。

 

 

・「実感なき景気回復」の正体

 


実質ベースで見た国内の所得環境を捉える計数に実質国内総所得(GDI)がある。

実質GDIは、実質GDP国内総生産)に交易利得を足した(あるいは交易損失を引いた)概念である。ある基準年から、交易条件(輸出物価÷輸入物価)が改善していくと交易利得が増えるか交易損失が減る。


悪化していくと交易利得が減るか交易損失が増えていく。

交易損失は、企業にとっては仕入価格の上昇を販売価格に転嫁できていないことを示し、企業収益の圧迫を意味する。


マクロ経済全体にとっては海外への所得流出と同義だ。

そんな状況で雇用・賃金情勢が持続的に改善していくものでないことには、多くの説明を要しないだろう。


例えば、下図に示すように、2000年代の円安局面では交易利得の縮小(2005~2007年)ないし交易損失の拡大(2013~2015年)がみられた。

円安による輸入物価上昇が交易条件を悪化させ、実質ベースで見た国内総所得(GDI)の伸びを抑制するのである。


とりわけアベノミクスが喧伝された2012年以降、経済を生産面から見る実質GDPに対して、所得面から見る実質GDIが劣後しているのがわかる。

この差が交易損失であり、「GDPの仕上がりが良くても景気回復の実感がない」理由だと筆者は考えている。


「実感なき景気回復」の一因として交易条件の悪化(≒交易損失)は看過できない。

図に見るように、逆に2020年春以降のパンデミック下では円相場はそれほど動いていないが、原油を筆頭に資源価格が急落したことで交易条件が大幅に改善し、交易利得が発生している。


為替は動かなくても、資源輸入国は商品市況に合わせて交易条件が上下動する。

まとめると交易条件が悪化する局面では、①円安か②原油高のいずれかが基本的に進んでいる。


次の図は起点を「1970年3月」と「2000年3月」の2つに分けて、交易条件指数の推移を見たものである。

やはり為替と原油の動きが重要だったことがわかる。


1973年と1979年に経験した二度の石油ショックで拡大した交易損失はプラザ合意円高で吸収されたイメージになる。

もちろん、これは交易条件に限定した話であって、周知のとおり、超円高が諸々のショックに連なっていくことになるので「円高でよかった」という結論にはならないが、少なくとも悪化していた交易条件が超円高によって大きく復元したのは確かである(当時は原油価格も下落方向だった)。


片や、2000年代に入って、石油ショックプラザ合意のような交易条件の劇的な変化を経験したことはない。

しかし、脱炭素に伴う昨今の潮流を人類史におけるエネルギー革命の過渡期と定義した場合、そうした劇的な変化が起きても不思議ではない。

 

 

・円安、原油高が日本人の暮らしを圧迫

 


そのように基本認識に立つと、足元のような、①円安と②原油高という2つの交易条件悪化要因が同時進行していることは由々しき問題であり、当面の交易損失拡大は確定した未来と見たほうがよい。


上述したように、これは定義上、実質GDIの圧迫を意味する。

生活実感としての景気回復は一段と立ち遅れるだろう。


すでにiPhoneや外車、時計といった海外輸入品の価格が引き上げられているのは象徴的な経済現象であり、今後は日用品全般に波及してくる可能性も否めない。

典型的にはガソリン価格だろう。街のガソリンスタンドに目をやればもう1年前の倍近くまで上昇している。


これは実体経済に対して実質的には増税効果になる。

商品市況や為替相場に絡んだ話を国内のマクロ経済政策で大きく修正するのは不可能である。


しかし、何もできないわけではない。

これを機に、ポーズであっても日本銀行は金融政策正常化を示唆したほうがよいと筆者は考えている。


これまで緩和策の副作用を指摘されながらも日銀が正常化プロセスに触れなかったのは、「物価が上がらないから」というのが建前だが、本音は「円高が怖いから」で、これが最大の理由であろう。

過去における日銀の緩和政策が往々にして円高・株安に呼応する格好で決断されてきたことがそれを示している。


実際、日本の輸出数量が円安と正の相関を持っている時代には、その判断は適切でもあった。

しかし、アベノミクス下ではドル円相場は50%以上上昇したが、輸出数量はほとんど増えなかった。


これでは円安になっても貿易収支の改善はなく、単に所得流出が増えるだけである。実際にそうだった。

また、近年ではドル円相場と日経平均株価の相関も不安定になっており、円安による株価浮揚の効果も過去ほどではない。


いつかはやらねばならない出口戦略なら今が好機ではないか。

過去1年半で日本経済は欧米経済に大きく出遅れており、もはや日銀以外の海外主要中銀は正常化プロセスに関し一歩も二歩も先行している。


今さら、金融市場での注目度が下がっている日銀が多少の縮小を示唆したところで、かつてのようなヒステリックな円高になるとは思えない。

 

 

・後手に回れば円が売り込まれるリスク

 


微力であっても円安進行を抑止する一助になる可能性があるならば、「正常化プロセスを検討している」と述べる程度のアクションを起こしてもよい。

理由づけはインフレ高進への予防的措置とでもすればよい。


これまで何度となく無理筋な理由づけをしてきたのだから、上述したような実質所得環境の危機的状況を踏まえれば、十分まかり通るだろう。

重要なことは、政策当局は焦燥感を市場に悟られてから動くとロクな目にあわないということだ。


市場参加者から「円安は日本経済にとって痛手」と認識され、いったんその方向に相場が動き始めたら、円売りで攻め込まれる恐れがある。

そうなってからではできることは非常に限られてくる。


金融政策に限らず、まだ傷の浅い今のうちに少しずつ円安を抑止できるような処方箋を日本は検討すべきように思える。

それくらい、円安と原油高が同時進行する現状は危うい。


また、これを契機に円安万能論のような社会規範も修正されていくことも必要である。

 


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■間違いなく「悪い円安」が日本経済を蝕んでいく
~円安万能論を捨て、日銀は正常化を示唆すべき~
東洋経済 2021/10/15 唐鎌大輔(みずほ銀行 チーフマーケット・エコノミスト)
https://toyokeizai.net/articles/-/462077

 

 

 

 

 


円安日本。

円安と聞けば、輸出大国日本、良い面が強調されることが多いのではないでしょうか。


競争相手国よりも安い金額で輸出できることが一つのメリットとして理解できます。


ただ。

「円安」は大きな危険と隣り合わせであることは理解する必要があるかもしれません。


特に、英ポンド、米ドル、ユーロ、中国人民元等、他国の通貨との比較を含めて大きなリスクが伴います。

理由は「日本買いリスク」。


円安で、土地等の不動産、日本企業の株式など他国からの「日本買い」がかなり容易となっているの実情です。

コロナ不況を背景に、米英投資ファンドが都市部を中心に猛烈な勢いで日本の不動産を買っている状況が続いています。


株式もそうです。

英米ファンドを中心に、日本企業の株式を次々と買い増しし日本企業の大株主に名を連ねるほどの大きな影響力を持ち始めています。


ご存知の通り、資本主義では会社の所有者は「株主」です。

株の保有者が、その会社の重要な意思決定を行います。


役員の交代やリストラの決定など、その企業を強くもし、そして弱体化をも画策できるのが株主です。

資本主義の下では、会社の所有者は社長でもなく役員でもありません。


社員でもなく取引先やその地域の方々のものでもありません。

資金力のある「株主」のものです。


つまり、日本企業でありながら、海外の投資ファンド等の大株主の意向でその組織体をどのようにでもできるのです。

円安を通し外貨の影響力は増し、日本企業や日本の土地を海外の資金力ある投資家に買い占められているのが、今の日本の実情だと言われています。


日本の土地や会社が他国に買い占められるリスク、円安。

円安のリスクは、それだけにとどまりません。


海外輸入品の価格が高騰してしまいます。

食品やガソリンをはじめ、ガス・電気・水道などのインフラ料金も徐々に値上げされてきています。


代表例が石油やガソリンなどの資源です。

輸入している資源は円安が続けば続くほど国内の価格が高騰します。


ガソリン価格は上がり続け、輸入食材もさらに高騰するリスクがあります。

安い円のままでは、相対的に輸入品が高くなるのは当然ではないでしょうか。


各方面で物価の上昇の可能性は現実味を増しています。

貧困層が、より苦しい立場になりかねません。


そして、円安の影響は生活の部分だけではありません、国家プロジェクト等大規模な国際競争にも大きな影響を及ぼします。

例えば、資源などの権利を競争獲得する場合もそうです。


油田やガス利権、鉄鋼や半導体などなど必要な資源や材料等の調達も他国との競争に負けてしまいます。

その他、著作権や特許などの無形資産も、劣勢に立たされてしまいます。


結果、医療分野、IT分野などにも幅広く影響し、安い円・安い日本はあらゆる国際競争において不利な状況に陥ってしまいます。

円安のメリットが国内報道などでは強調されていますが、日本の国際的存在自体が埋没する状況では、日本の国際的地位全体が失墜することにも直結してしまいます。


ただでさえ、コロナ渦、各国が保守的な政策を進める中での国際政治。

円安日本が、他国のマネーパワーに屈しざるを得ない状況にもなりかねません。


意図しない円安は、国際競争における単なる敗北に過ぎないとも言えるのではないでしょうか。

国際政治に、日本が飲み込まれている状況と言えるのかもしれません。


では、どうすればいいのでしょうか。

何をすれば、今の最悪の日本経済の状況が改善できるのでしょうか。


その一つとして、最優先すべきことは、日本経済を好転する施策です。

当たり前ですが、日本経済が悪化すればするほど日本企業は倒産や弱体化が進みます。


逆に、日本経済が良くなれば日本企業の収益も改善し給与も上がりやすくなります。

大企業もそして中小企業も収益改善することで納税額も上昇します。


当然、国の税収にも改善が見られるでしょう。

デフレ脱却し、金利上昇が見込まれれば、好ましい経済循環が生まれ、行き過ぎた円安は改善に向かいます。


もっとも当たり前の施策、それが日本経済を良くすることです。

では、どうすれば日本経済が良くなるのでしょうか。


その一つのヒントは通貨発行です。

つまり、日本経済にお金を回すことです。


日本銀行は日本円の通貨を発行できます。

当たり前ですね。


ただ、自国が自国通貨を発行できない国が実は世界には多くあるのです。

イギリスやフランスなどの大国の植民地に近い状況の国々などは自国通貨が発行できません。


そのため財政破綻が現実化してしまうのです。

ただ、日本銀行は自国通貨「円」を発行できます。


つまり、通貨を供給することで今の最悪のデフレ状況を自国の意思で改善できるのが日本銀行です。

円を発行しその資金を毎月の給付金「ベーシックインカム」や公共事業に充てて日本経済を活性化することが今の緊急的経済対策として必要なのかもしれません。


理想的経済回復施策ではないでしょうか。

中には一時給付金を出しても「貯蓄する」という批判もあります。


ただ、これは短期的視点ではないでしょうか。

政府が「出し渋り」を強調したことへの「不信」が反映したとも言われています。


継続的に給付金を出すことで、多くの家庭で経済的安心感を持ち始め、消費支出を増やしていくではないでしょうか。

安心感は支出や消費を促します。


貯蓄が増えれば当然支出も増えていくでしょう。

中長期で見れば冠婚葬祭や進学、不動産や動産への購入も、より高額な支出も増えていくはずです。


一度の10万円しか給付金を出さないのに「消費が伸びない」という論理は、まさに短期的視点とも言えます。

大事なのは「継続的」「反復的」給付金で「国民の安心」を促すことかもしれません。


国民が持つ経済的安心は結果として「政治の安心」にもつながるのではないでしょうか。

政治的不信をも解決できる施策とも言えるかもしれません。


ただ、ここで一つ大きな疑問。

何故、今大胆な経済施策をしないのか、という疑問です。


なぜなのでしょうか。

政治家や官僚は、その多くは東大など優秀な学歴を有する方々です。


そして、多くのブレーンもいらっしゃるはずです。

様々な国内外の資料やデータを有する立場。


過去から未来、そして国内外、縦にも横にも、様々な「情報」を有する立場です。

何故このような経済的愚策を続けているのでしょうか。


様々な多様なデータを有し、優秀なブレーンもいる中、愚策を続けるその理由。

それは、何故なのでしょうか。


私たちは、この理由を、深く、深く、考える必要があるのかもしれません。

問題は、国内だけにとどまらない筈です。


国際政治は、様々な思惑と背景があります。

日本は長い間「強い経済」を誇ってきました。


海外では過去に「エコノミックアニマル日本」と揶揄する方々もいらっしゃいました。

「強い日本経済」を望まない勢力が、国際政治では多数存在していたのも事実です。


昨今の日本経済の愚策。

その愚策で利益を享受できている海外勢力もいる、とも言われています。


愚策を続ける日本経済を望んでいる方々がいるという可能性も否めません。

そして、その「政治的意向」を日本国内で受ける勢力がある、という可能性もあります。


日本銀行の現在の総裁は黒田東彦氏。

安倍政治を支えてきた「アベノミクス」との深い関係を持っている方です。


つまり、通貨発行や経済対策の不備等は、現在の政治と密接につながっています。

給与が上がらないのも、日本の土地や日本企業が他国に次々と買収されている状況も、言わば、今までの政権が作り上げてしまったこととも言えるのではないでしょうか。


もうすでに多くの方々が気付いているかもしれません。

株価が一時的に上がっても企業の収益や私たちの給与には影響が多くありません。


実際に街中の景気が回復し中小企業も含め、全体的にお金が回る状況を作らなければ私たちの勤める会社収益は改善しません。


もう一度言います。

一時的に株価が上がっても下がれば意味がありません。


投資家は上げ下げで収益が上がるかもしれませんが大半の労働生活者には株価は殆ど関係ありません。

大事なのは実経済への貨幣供給、日本実経済の復活です。


円安日本。

円安による輸入品高騰。


円安による海外資本の影響力強化。

不況による円安、まさに「経済敗北日本」の状況かもしれません。


資源高、株式市場、各種投資における大きなデメリットは今後の日本における影響は計り知れません。

今こそ「実力による円高」で「強い日本」を再興する必要があるのではないでしょうか。


そのために必要なのが起爆剤

多くの国民が安心できるボリュームの給付金、またはベーシックインカム


安心できるボリュームと回数の給付金によって「実力としてのデフレ脱却」が実現するのではないでしょうか。

日本の津津浦浦、お金が回れば、日本の多くの企業が収益改善します。


当然、企業間取引も活発になります。

企業間の設備投資も増え、大きな受発注も増えていくでしょう。


中小企業も含めて企業収益が改善できれば、給与やボーナス等も増加する可能性は高まります。

雇用も促進するでしょう。


日本の個人や企業の資金力が、実経済に大きな好循環を生み出されます。

大事なのは、政府の経済施策。


海外製ワクチンに投資するのではなく、オリンピックに投資するのでもありません。

為替や外貨への施策は二の次です。


まず、すべき施策、それが日本国内の、実経済「真水」への起爆剤

生活者一人一人の預貯金を含めた資金力が、地域企業、そして地域経済、さらには、国家財政にも好影響を与えていくはずです。


緊急コロナ経済対策。

国内実経済「真水」供給に、今最大限の思い切った施策が必要なのではないでしょうか。


私たちにできることは、今、何なのでしょうか。


安倍政権や安倍政権を受け継いだ菅政権、そして同じ轍を踏む可能性が高い岸田政権。


この先、最大4年間、衆議院議員選挙は行われません。


最悪、この先最大4年間も、同じような「円安」「経済敗北日本」を続けていくのが、国民の意思となるのでしょうか。


今、私たちは、今後の日本の行方を左右する時期に直面しているのかもしれません。

 

【ツイッターは権力寄りか】ツイッターで野党攻撃の匿名アカ…正体は「法人」だった~SNSを使った世論操作?~

【今日の気になったニュース・記事】

 

2,000社以上の経営者と面談した、元東証一部上場のベンチャーキャピタリストが厳選!

新旧問わずに、その日、気になったニュースをピックアップ!

新しいニュースから、古い記事まで「新たな発見」をお届けいたします。

 


【本日のニュース・記事】

 

ツイッターで野党攻撃の匿名アカ…正体は「法人」だった

SNSを使った世論操作?~

Yahoo!ニュース 2021年10月08日 FRIDAY(講談社)

 

 

~~~

 


匿名での無責任な書き込み、誹謗中傷が止まらない。

皇族の結婚に関する騒ぎや、それが元で心を病んでしまった眞子さまの例も記憶に生々しい。

 

 

・「中の人」を特定、名誉毀損で訴える

 


そんななか、立憲民主党小西洋之参議院議員が、自身を攻撃するツイッターの書き込みに対し、名誉毀損の裁判を起こした。


「昨年来のツイッターでの書き込みに対して、訴え出たのは一昨日です。なぜ時間がかかったかというと、発信が匿名アカウントだったから。訴える相手を特定するのに、まずプロバイダーに対して『発信者情報開示請求』が必要だったんです。先月、それがやっと認められ、相手方が判明しました」(小西議員)


「Dappi(@dappi2019)」と名乗るそのアカウントの持ち主は、個人ではなく「法人だった」という。

「Dappiに関する発信者情報がわかりましたので、10月6日に、名誉毀損の損害賠償訴訟を東京地裁に提起しました。Dappiは、そのツイートの中でくりかえし、わたしの政治活動について中傷を行ってきました」


たとえば、国会での安倍晋三元首相とのやりとりの一部分を取り上げ、<自分が話を聞いてなかったのに逆ギレする小西が哀れ>などどツイートをする。

それに対し小西は、当時ツイッターでこう返している。


安倍総理が壊れたテープレコーダーで繰り返していた答弁には「国家公務員法」という言葉はなかった。秘書官からのカンニング紙を読みながら『一番最初から何度も申し上げている』と主張しているのは虚偽だ。よって、Dappi氏の指摘は事実に基づかない私への誹謗中傷に当たる。法的措置を警告する」


Dappi氏の行った行為「SNSでの発信」が名誉毀損の罪に問われるか否かは、今後の裁判の行方を見守るとして、気になるのはその「正体」だ。


「このアカウントの『法人』というのは、都内のIT関連企業です。小規模な会社ですが、会社情報の『主な販売先』に『自由民主党』と謳っていました。この規模でこの業務内容、ふつうに考えて…おや? とひっかかります」(IT関係者)


SNS、とくにツイッターでの誹謗中傷のなかには、組織的な「活動」があるのでは…とかねてより疑われていた。

今回、この小西議員の「発信者情報開示」が認められ、その発信者が「法人」だったことは、これまでの「疑い」をある程度裏付ける結果となった。


「資金力がある団体、組織が、一定の意図をもって多くの投稿をし、あたかもそれが『世論』であるようにみせかけることは、とても危険でしょう」(前出・関係者)


アメリカ大統領選挙のときにも、こういった「活動」の危険が多く指摘された。

日本でも同じような「活動」が行われているのだろうか。

 

 

・「平日の昼」に集中する投稿…指摘されていた不気味さ

 

SNSの現状にも詳しいジャーナリストの津田大介さんは、こう警告する。


「当該アカウントは主要新聞6紙の紙面写真を、縮刷版のない産経も含めて朝早い時間に掲載したり、議員にしか配られない内部資料が掲載されたりすることから、議員秘書や政党関係者ではないかという疑いが持たれていました。
意図的に情報を歪めて拡散し、その多くは野党や朝日新聞などの批判に使われていたため、今回小西議員の訴訟によって、運営元が『法人』であったことがわかったことは大きな前進です。
このアカウントは、投稿がほぼ平日のビジネスアワーに限られていたことからも、何らかの組織が『仕事』としてこのアカウントを運営している可能性が指摘されていました。今回小西議員の発信者情報開示請求が通って相手方が法人であることがわかったことは、その疑惑を裏付けるものとも言えそうです。
この法人は自民党と何らかの取引関係にあったようですが、それはあくまで『一歩目』であって、その先に情報を歪めて与党に有利な世論を形成することを『業務』として行っていたかどうかが鍵になるでしょう。それを立証するには、業務の発注書なり、内部の証言なりが必要になりますから難易度は高いですが、今後の報道に注目したいですね。
このアカウントに指示を出していた母体が政党なのか、それとも官邸との関わりがあったのか、その場合の資金源は何か。もし、どこかの組織がわれわれの税金を使って自分たちに有利な世論をネット工作でつくっていたとなったら、大スキャンダルです。愛知県知事リコール不正署名事件のように、不正な手段で民主主義を歪めたという重大事件になるかもしれない。
調査・立証ハードルは高いですが、メディアはこの問題をきちんと追いかけてほしいですね」(津田さん)

 

この問題、選挙を前に黙って蓋をすることはできない。

歪みのない「世論」を形成するために、注視が必要だろう。


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ツイッターで野党攻撃の匿名アカ…正体は「法人」だった
SNSを使った世論操作?~
Yahoo!ニュース 2021年10月08日 FRIDAY(講談社)
https://news.yahoo.co.jp/articles/42974178ddcc613d77274bc6be8e1a7730af46b1

 

 

 

 

本日は3つの記事をご紹介いたします。


2つ目の記事はこちらです。

 

 

 

 

ツイッターは権力寄りか 「学校でアベノマスク義務」→アカウント凍結

中日新聞 2020年6月5日

 


~~~

 

検察庁法改正案反対で900万件超のインターネット上デモの舞台となったツイッター


だが、政権に批判的な投稿者のアカウント(利用登録)が唐突に凍結されたり、その管理運営には「忖度(そんたく)」疑惑も根強い。


一方、本家米国版ツイッターでは、投稿に「フェイク疑い」の警告マークを付けられたトランプ大統領が、大統領令で報復する事態に。


ネット時代の「公器」と権力との距離感が問われている。 (安藤恭子、片山夏子)

ツイッター、凍結されてるよ」。


ツイッター上でアカウント名「ママ崎ママ」を名乗る埼玉県深谷市の女性は先月24日、友人からの連絡で自分のアカウントの「凍結」に気付いた。

ツイッター利用規約に違反した覚えはない。説明も警告もなく、突如凍結された」


ただ、思い当たる節はあった。

中学生の子どもが学校で「アベノマスク着用」を強要するような紙を配られた。


「国が配ったマスクだからといって、問答無用で持参させるのはおかしい。世の中の意見を聞いてみたい」。

こう考えたママ崎さんは凍結前日、こんな投稿をした。


「学校にマスク着用の義務←わかる」「マスクはアベノマスクとする←は!?」


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ツイッターは権力寄りか 「学校でアベノマスク義務」→アカウント凍結
中日新聞 2020年6月5日
https://www.chunichi.co.jp/article/68034

 

 

 

 

 

最後3つ目の記事はこちらです。

 

 

 

 


■1万4000人フォロワーいる僕のTwitterが突然凍結された話

エキサイトニュース 2017年10月6日

 


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ある朝、目覚めると、僕のTwitterアカウントが凍結されていた。

長くTwitterを利用してきたが、凍結は初めての経験である。

 

 

・拡大一時凍結されたアカウント

 


Twitterにログインしてもツイートできなくなる場合、段階は2つに分かれる。

1つは、違反と判定されたツイートを指示に従い削除したのち、提示されたペナルティタイムを過ぎれば復帰できる「アカウントロック」。


もう1つは、違反ではないことを証明できない限り、アカウントが復帰しない「凍結」だ。

これまで、何度かTwitterアカウントがロックされたことはある。


アカウントロックの場合、その原因の多くはNGワードである。

僕の場合は、他の人の酷い言葉を批判する目的で引用RTしたところ、それがアカウントロックされたりしていた。


しかも、すっかりツイートをしたことも忘れた数年前のツイートである。

アカウントロックの場合は原因とされたツイートを削除して、ペナルティとして課された一定の時間が経てばアカウントは復活するが、その時間はアカウントロックの度に延びていく。


僕の場合、集中攻撃されたのか、幾度かの数時間のアカウントロックが続き、最終的には7日のアカウントロックが開けた直後にさらに7日のアカウントロックをされ、14日に渡ってツイートできない状態となった。

さすがにそれまでのツイートはすべて削除するしかなかった。


しかし、いくら時間がかかるにせよ、アカウントロックは期限が決まっており、その時間が経てばとりあえずは解除される。

一方でアカウント凍結は解除の期限が明示されているわけではないので、いつ凍結が解除されるか分からないのである。


さて、ではどういう理由で凍結されたのであろうか。

 

 

・「DMCA違反」、著作権の侵害?

 


メールボックスを調べたら、Twitter社からメールが来ていた。

どうやらDMCAに違反したと言うことで、凍結させられたようだ。


DMCAとは「デジタルミレニアム著作権法」というアメリカの法律のことである。

この法律は、著作権を侵害しているコンテンツに対して、プロバイダの責任を求めるもので、著作物を盗用された人が、プロバイダに削除を求めることができるというものだ。


今回の場合の「プロバイダ」はTwitterとなる。

この申請がTwitter宛てに出されると、Twitterは自動的にそのコンテンツを削除し、アカウントをロックする。


さらに報告が寄せられればアカウントは凍結されてしまう。

最初にDMCA違反があったという報告がTwitterから僕にメールで通知されたのが23:44分。


そこから、最初のロックの報告が0時14分。

さらに凍結されたのが0時16分。全体として、わずか30分ほどの出来事である。


これらは僕自身が寝ている時間に行われたことで、翌朝になるまで僕は一切気づかなかった。

さて、では僕は本当にTwitterを凍結されるにふさわしい、悪質な著作権侵害を犯していたのであろうか?


断言してしまうと、僕は本当に著作権を持つ人から著作権侵害だと報告されたわけではない。

このDMCA報告は本当に著作権を持つ人とはまったく無関係な人から行われた「DMCA虚偽通報」・・・。

 


~~~
1万4000人フォロワーいる僕のTwitterが突然凍結された話
エキサイトニュース 2017年10月6日
https://www.excite.co.jp/news/article/E1507268616804/

 

 

 

 

 

 

SNSソーシャル・ネットワーキング・サービス

ご存じ「コミュニティ型の会員制のサービス」です。

 

例えば、Twitterツイッター)、Facebookフェイスブック)、Instagram(インスタグラム)など、最近ではTikTok(ティックトック)などが若い人たちに人気が出ているようです。

 

中でも、影響力が大きいのはTwitterではないでしょうか。

最近ではニュース報道やマスコミでも、Twitterの動向を取り上げたり、世論の一部として紹介したりしていますね。

 

Twitterは米国企業ですが、海外では政治的ツイートが多いことで知られています。

政治家や有名人が政治コメントするケースなども多く、Twitterはそもそも政治色の強いSNSとも言われています。

 

ただ。

TwitterFacebookも、日本で主に使用されているSNSは、その殆どすべてが海外企業が運営しています。

 

そこに当然ながら一定のリスクは否めません。

特に政治色が強いSNSは、日本人の考え方にも少なからず影響してしまいます。

 

仮に、米国のTwitter本社が特定の思想のアカウントを凍結し、特定の思想アカウントを積極支援していたとしたらどうなるでしょうか。

Twitterというプラットフォーム全体が一定の考え方に偏っていくというリスクが考えられます。

 

以前、待機児童保育の問題で「日本死ね」というTwitterコメントが国会でも取り上げられた事例もありました。

国会などの政治の中心部でも、ツイートが国会答弁の「根拠」として取り上げられ、テレビなどの報道ニュースにも使用されました。

 

日本の政治を決定づける場で、すでにTwitterの影響力が垣間見れる状況ではないでしょうか。

このような多大な影響下、もし、仮に「悪意」や「意図」がプラットフォーム側にあったとしたら、日本の「世論形成」に影響を及ぼしかねません。

 

それだけではありません。

特定の政党が、TwitterなどのSNSのスポンサーとして世論形成をしていたとしたらどうでしょうか。

 

そして、また、特定の政党が多くの資金提供している会社組織が圧倒的大多数のアカウントを運用していたらどうなるでしょうか。

このような意味では、Twitterが特定の政党の「宣伝プラットフォーム」として悪用されかねません。

 

そういえば、自民党総裁選では高市氏がTwitter上で非常に高い支持がありました。

Twitterでの総裁選アンケートでは80%以上のアカウントが高市氏を支持している、という一部のアンケート結果もあったそうです。

 

実情の世論と大きく乖離している、そのアンケート結果に驚かれた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

もし、特定の派閥や特定の個人からの資金により、組織的に大量のアカウント運用をしていたとしたら世論操作にもなりかねません。

このような意味では特定の派閥が「お金で世論を買う」ことをも、可能にしてしまいます。

 

すでに、日本に深く浸透しているSNS

日本の多くの方々が利用している現状だからこそ、公的サービスとしての考え方と公平性を担保した日本国内の運営を規制する必要があるのかもしれません。

 

特に若年層もSNSを多く利用しています。

特定の思想や特定の政治思想への誘導は、今後の日本を担う若い人たちの思想や日本国民全体の考え方にも影響しかねません。

 

これからの日本人の考え方自体に影響が及んでいくことも少なくないでしょう。

 

Twitterは海外企業が運営しています。

政治的、思想的「意図」や「悪意」があれば大きなリスクを生じます。

 

ネット検索エンジンも同じです。

私たちが日々使っている「ググる」。

 

Googleはご存じ米国企業です。

Google検索エンジンは、今や日本市場のほぼ100%独占に近い状況で運営されています。

 

Yahoo!はすでに2011年から独自エンジンを何故か手放し、Google検索エンジンを採用しています。

つまり、Yahoo!も、Googleも、日本国内では全く同じ検索結果となるのです。

 

調べたいことがあったとき、私たちはYahoo!でも、Googleでも、新しい知識は「検索エンジンの検索結果」で習得されていきます。

これも非常に大きなリスクです。

 

Twitter同様、仮に「意図」や「悪意」があった場合、最悪「洗脳」に近い状況にもなり得る状況かもしれません。

 

「コロナとは?」「ワクチンとは?」「ビッグファーマとは?」「消費税とは?」「富裕税とは?」「米軍基地とは?」「白人の侵略の歴史とは?」「原発とは?」「大東亜戦争とは?」・・・・。

 

様々な事象を調べた結果を、私たちは信じてしまう可能性があります。

「ググった」結果を鵜呑みにしてしまう方々も多くいるでしょう。

 

ただ。

「検閲」が全くないとは言い切れません。

 

「不適切なサイト」という言い訳に隠された「操作」も否定できません。

特定の思想のサイトを上位表示し特定の考え方のサイトを下位表示とすることも、ないとは言い切れません。

 

改めてお伝えいたします。

Twitterも、Googleも、海外企業です。

 

日本で浸透している、その他IT企業、Amazonも、Microsoftも、Facebookも、Netflixも、米国企業です。

経営者も役員も、その多くは海外の方です。

 

運営方針はその企業優先であることは大前提です。

 

日本国内ITメディア、国内IT企業の育成は重要ですが、利用する私たちも情報を「鵜呑み」にしない必要があるのではないでしょうか。

 

そして、SNSやIT企業、政党や派閥の不正には、しっかりと声を上げる必要があるのかもしれません。

 

「世論」を「お金」で買う・・・。

 

楽しいSNSやITメディアには「洗脳」という大きなリスクが混在していることを、私たち利用者は忘れてはいけないのではないでしょうか。

 

【自民党は保守じゃないんですよ】右翼が米軍基地を批判しないのは、なぜ?~安倍元首相は「真の保守」ではない~

【今日の気になったニュース・記事】

 

2,000社以上の経営者と面談した、元東証一部上場のベンチャーキャピタリストが厳選!

新旧問わずに、その日、気になったニュースをピックアップ!

新しいニュースから、古い記事まで「新たな発見」をお届けいたします。

 


【本日のニュース・記事】

 

■「自民党は保守じゃないんですよ」 漫画家・小林よしのりが応援演説で語ったこと

保守派の論客として知られる漫画家の小林よしのりさんは、なぜ、立憲民主党を応援するのか。

BuzzFeed News 2017年10月14日

 

~~~

 

ゴーマニズム宣言」で、いわゆる「左派」を厳しく批判し、保守派の論客として知られた漫画家の小林よしのりさんが、立憲民主党を応援している。


10月14日には、JR新宿駅前で開かれた街頭演説会で登壇し、安倍政権を「保守じゃない」と厳しく批判。

立憲民主党を支持するように訴えた。


小林さんは1986年に連載が始まった「おぼっちゃまくん」が大ヒット。

その後、社会風刺マンガ「ゴーマニズム宣言」で、社会問題への発言が注目された。


90年代後半には、日本の自虐史観を変えようと訴える「新しい歴史教科書をつくる会」に参加。

社民党朝日新聞などを批判する急先鋒として知られた。

 

 

・保守論客が、なぜ、立憲民主党を応援するのか


小林さんは、安保法制を例に挙げて自民党を「保守ではない。単なる対米追従勢力」だと批判した。


「安倍政権は暴走している」「ヒトラーは民主主義から生まれた」などと指摘し、「権力の暴走に立憲主義でフタをしよう」と立憲民主党を応援した。

以下は、10分にわたる演説の全文。

 

 

希望の党に未来はない


みなさん、こんにちは。

おぼっちゃまくん」の小林よしのり、「ゴーマニズム宣言」の小林よしのりです。


えーと、わしはね、希望の党がリベラルを排除すると、そもそも全員入れる気は全くないと言ったときにね、なんなんだこれはと思ったんですよ。

だってね、自民党の中にだってリベラルな議員はいるんですよ?


それがリベラルの議員は全部排除するとか言ったら、これはもう極右政党になっちゃうじゃないですか。

でも基本的には(希望の党は)立憲民主党のみなさんの昔の仲間ですから、彼らは希望の党を悪く言うことはできないんですね。


遠慮してる。

で、わしは別に立候補してるわけじゃないですから。


一国民としての感覚を言えばね、希望の党というのはもう未来はない、希望はない、って思っちゃったの。

政権交代のためにやるはずだったんだから。


(リベラルを)排除してしまったら野党は分裂する。

そしたら、もう意味をなさないんですよ。


だからはっきり言ってね、安倍政権は勝ちますよ、この選挙。

これはどうしようもない。


だから希望の党が排除するって言ったときに、辻元清美からわしのところに電話がかかってきた。

「私はどうすればいいの?」と相談しにきた。


わしは「枝野幸男を代表にして絶対に新党を作れと。これは絶対に成功すると。それを待ち望んでる国民はすごく多いと。枝野はやれる。絶対に新党を作れ」と言ったんです。

ただね、金の問題があるからとりあえずクーデターを起こして、前原をどっか追いやって金庫を奪えクーデターをやれって言ったんだけど、それは失敗に終わったようです。

 

 

・民主主義は暴走する

 


それで兎にも角にも、立憲民主党

これね、本当にこの党名がいい!


なぜかというと、民主主義っていうのは暴走するんです。

安倍政権見ればわかるでしょ?


一応、民主主義で選ばれたんですよ。

けど、暴走してる。


ヒトラーもね、民主主義から生まれたんですよ?

みんなハイルヒトラー、ハイルヒトラーって言ったんですよ。


民主主義は暴走する。

それをどうやって防ぐかって言ったら、立憲で防ぐんですよ。


立憲主義で。

権力の暴走を立憲主義でフタをして止める。


これが立憲民主党

素晴らしい党名ですよ。


だから、わしは全く勝手なことを言うけど、これをもういっぺん民進党っていう名前に戻してはならん。

もうね、成功してる。


立憲民主党で成功してる。

 

 


・なぜ保守がリベラルを応援するのか

 


保守二大政党とか言うけどなんだよ!

わしゃ保守ですよ。


本当はね?

なんで保守がリベラルを応援するのか。


それはね、保守じゃないからですよ、自民党が。

自民党は保守ではない。


あれは、単なる対米追従勢力です。

アメリカについて行って戦争しろと。


それだけですよ。

自衛隊自衛隊のままでですよ?


集団的自衛権に参加させるんですか?

こんな恐ろしいことはないですよ。


枝野さんは安保法制の議論のときに個別的自衛権を強化しろと言った。

実はこれがね、保守の考え方なんですよ。


我が国を、我が国で、個別的自衛権で守る。

これが保守の考えなんですよ。


それを希望の党では、集団的自衛権を認めなきゃ入れない。

バカなのかと。


あやつらは、自民党希望の党もどっちも対米追従保守ですよ。

もともとやな、安保法制というのは安倍晋三アメリカの議会に行って約束してきたことなんですよ。


日本国民を置き去りにして、アメリカで約束して、それを日本で勝手に作ってしまったんですよ?

こんなもののどこが保守だ!


枝野君の方がもっと保守なんですよ、わしから見ればね、実は。

 

 

・リベラルと保守は対立しない

 

でね、リベラルと保守っていうのは対立しません。

非常に似通っているところがあって、経済政策においても枝野氏が出した公約、ほとんど賛成できますね。


これは間違いない。

格差をどんどん広げていって、一般国民を貧困層ばかりにしてしまったら、それは消費できませんよ。


みんな貯金しますよ。

回らないんですよ、資本主義が。


資本主義を健全に運営するためには、格差は是正しないとダメです。

これは枝野氏が出した公約。


これが保守なんですよ、実は。

わしは立場を全く異にするはずなんだけど、枝野氏の方がはるかにわしは賛成するんです。


これはやむを得ない。

今の保守論壇も誰もみんな、イラク戦争が始まったときに、わしはこれは侵略戦争だって言ったんですよ?


で、必ず失敗するって言った。

それで自分で単行本も出して、テレビのワイドショーにも出た。


イラク戦争これは侵略だ、失敗すると。

保守論壇の奴ら、自民党も全部「イラク戦争アメリカの侵略ではない」しかも「すぐに終わって成功する」って言ったんですよ。


嘘じゃないか。

わしのが正しかったんだから、保守って言ってる勢力はわしの前で土下座しなければいけない。


全く反省していない。

 

 

自衛隊の命を真面目に考えて

 

だから集団的自衛権はまずい。

しかもなおかつ安倍晋三が、憲法9条に自衛隊だけ明記すると。


こんなバカな改憲案、これが通ったらどうなりますか?

自衛隊のまんま準備も満足に持たないで、集団的自衛権に参加するんですよ?


自衛隊に死ねって言ってるのと同然ですよ。

真面目に考えて欲しい、自衛隊の命を。


むげに死なすな。

そういうことなんですよ。

 


~~~
自民党は保守じゃないんですよ」 漫画家・小林よしのりが応援演説で語ったこと
保守派の論客として知られる漫画家の小林よしのりさんは、なぜ、立憲民主党を応援するのか。
BuzzFeed News 2017年10月14日
https://www.buzzfeed.com/jp/saoriibuki/kobayashi-yoshinori-speech

 

 

 


本日は3つの記事をご紹介いたします。


2つ目の記事はこちらです。

 

 

 


■38歳、女性右翼活動家がアメリカと断固闘い続ける理由

右翼と愛国──若き活動家の主張

週刊現代講談社)2018.7.14

 


~~~

 


アメリカの正義を疑う


戦闘服に戦闘帽、黒い編み上げブーツ。

右翼活動家としての、それが彼女の"正装"だ。


仲村之菊(みどり)。38歳。

──右翼団体「花瑛塾(かえいじゅく)」(本部・東京都)の塾員である。


同塾では"副長"の肩書を持つ。

その日も、仲村はたったひとりで沖縄の米軍基地ゲート前にいた。


"コワモテ"をイメージさせる装いだが、上半身を包むトレーナーには「米国の正義を疑え!!」という文字がプリントされている。

彼女は基地と道路の境界線を示す"イエローライン"に仁王立ちした。


脇に抱えたトラメガ(拡声器)のスイッチを入れると、米軍基地に向けて、恒例の街宣活動を始めた。

「私の声に耳を傾けてください」


穏やかな声だった。

よくある絶叫調のアジ演説ではない。


一語一語を丁寧に区切り、目の前の人に語りかけるような口調だ。

「私は沖縄の美しい海を守りたい。森を守りたい。子どもたちが安心して生きていける沖縄であってほしいと思っています」


「沖縄の痛みを理解したいと思う。戦争の傷痕、記憶に思いを寄せたいと思う。そして、基地のない島を目指す沖縄の人々に寄り添っていきたいと思います」

 

 

・「どうか、一緒に考えていただけませんか」

 


仲村は、米軍の新基地建設に対する抗議を訴えていた。

周囲に人の姿はほとんどない。


演説を聞いているのは、ビデオカメラを回しながら彼女を監視している基地の警備員だけだった。

仲村は毎回、市民が座り込む場所から離れたところで抗議活動をおこなう。


「基地に反対する人々の中には、右翼と一緒に見られるのは嫌な人もいるだろうから」という彼女なりの"配慮"でもあった。

時折、頭上をオスプレイがバタバタと独特の轟音をまき散らしながら通過する。


仲村は空を見上げる。そのたびに、戦闘帽の一部がキラキラと光る。

よく見れば、戦闘帽の正面には、まるで記章のように、熊の顔をデザインしたガラス製のブローチが付けられていた。


南国の陽を受けて、多面体のガラスからプリズムが生まれる。

繊細な光の放射だけが、仲村の穏やかな演説を唯一盛り立てていた。


30分間の街宣活動を締めくくったのは、次のような言葉だった。

「どうか、一緒に考えていただけませんか。沖縄の人々の思いを拒絶しないでほしい」


仲村は監視の警備員に向けて、ぺこりと頭を下げた。

 

 


・反主流派の右翼として

 

それにしても、彼女はなぜ、米軍の新基地建設に反対するのか。

いや、私自身も基地建設には反対だし、沖縄県民の半数以上もそうだろう。


だが、仲村はれっきとした右翼だ。

私は基地建設の現場で、多くの右翼を目にしてきた。


いずれも、建設に反対する人々を恫喝し、嘲笑する者ばかりだった。

座り込む市民に対し、「出ていけ」とあらん限りの悪罵をぶつける右翼がいた。


デモ隊に街宣車で突っ込もうとする右翼がいた。

反対派市民のテントを破壊しようとして逮捕された右翼もいる。


ときには元在特会(在日外特権を許さない市民の会)メンバーが主体となっている差別者集団も姿を見せる。

彼らは高齢者を指さして笑いながら「臭い!」とわめき、さらには民族差別を煽るヘイトスピーチを繰り返していた。


そう、右翼は常に基地建設に反対する市民に向けて吠えていた。

だが、仲村は違う。彼女の視線の先にあるのは米軍基地であり、そして日本政府だ。


「(基地建設反対は)民族派としては当然の主張だと思うんです」

仲村は気負うことなく、穏やかな口調のままに話を続けた。


「他国の軍隊が居座っているような状態を許容するほうがおかしい。自然を破壊され、主権を踏みにじられているというのに、黙っているわけにはいきません」

 

 

・右翼が米軍基地を批判しないのは、なぜ?

 

仲村が右翼の世界に飛び込んだのは20年前、18歳の時だった。

右翼の街頭演説を聞いたことで、社会に関心を持ったのだという。


右翼団体の中では大手とされる「大行社」に籍を置き、さまざまな活動に関わってきた。

北方領土返還運動や拉致問題解決の要求、日教組大会に出向いての街宣──。


自民党本部で消火器をぶちまけて警察に拘束されたこともある。

彼女は間違いなく武闘派に数えられる右翼人士のひとりだった。


だが、活動を続けるなかで小さな矛盾が仲村の中に芽生えた。

それは、やがて大きな塊となって、彼女を苦しめる。拭い去ろうにも、微動だにしない矛盾──右翼としての仲村を苦しめたのは、沖縄の「基地問題」だった。


なぜ、右翼は真正面から米軍基地を批判しないのか。


なぜ、右翼は圧倒的に日本が不利な日米地位協定に反対しないのか。


なぜ、右翼は米軍基地に反対する市民をすべて"左翼"だとして片づけてしまうのか。


右翼の運動が「反左翼」を主軸としてしまったがために、基地問題を都合よく合理化させているようにしか思えなくなった。


「右翼は国体の護持を主張しながら、沖縄に米軍が駐留している現実に大きな関心を寄せていない。いまでも占領下にあるのと同じことではないですか」

 

~~~
■38歳、女性右翼活動家がアメリカと断固闘い続ける理由
右翼と愛国──若き活動家の主張
週刊現代講談社)2018.7.14
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/56511

 

 

 

最後3つ目の記事はこちらです。

 

 

 

■安倍首相は「真の保守」ではない!西部邁氏が迷走政治を一刀両断

ダイヤモンド・オンライン:2017.10.3


~~~


保守は一般に思われているように、「現状を維持する」という意味では決してありません。

本来の保守とは、その国のトラディション(伝統)を守ることです。


近代保守思想の始祖とされるエドマンド・バークは、「保守するために改革(Reform)せよ」と説いています。

現状が伝統から大きく逸脱していれば、改革を断行するのが保守なのです。


そして伝統とは、その国の歴史が残してきた慣習そのものではなく、その中に内包されている平衡感覚のことを意味している。

とかく人間の意見は左右に散らばって対立するものであり、そういった分裂を危機と呼ぶなら、時代は常に危機に晒されていると言えるでしょう。


そうした状況下において、いかに平衡を保つかが問われているのです。

ドイツの実存主義者であるカール・ヤスパース曰く、「人間は屋根の上に立つ存在」で、油断すればすぐに足を滑らせて転落しかねません。


もっと極端に言えば、綱渡りのようなもの。

1本の綱の上を歩くという危機に満ちた作業こそ、人間が生きていくということです。


こうした平衡術は、凡庸な学者が考えた理屈から生み出されるものではありません。

歴史という紆余曲折の経験の中から、曲芸師的に対処するための知恵のような感覚、あるいは言葉遣いや振る舞いを習得していくのです。


常に状況は新しいわけだから、それは処方箋ではあり得ません。

対処法を示唆してくれる存在として、伝統というものがある。


だから、悪習と良習を区別しながらも、伝統を壊してはならないと考えるのが保守主義です。

 

 

・安倍首相は保守ではなかった 社会の方向性が見えていない

 

こうした定義に照らし合わせると、安倍首相は最初から保守ではなかったわけです。

実は第一次安倍政権が退陣した後、世間から総バッシングを受ける中で、僕だけは彼に手を差し伸べた。


1年間にわたって毎月1回のペースで「保守とは何か?」というテーマの勉強会を開催して励ましたのです。

ただ、第二次安倍政権が発足してからは一度だけ食事をともにしただけで、意識的に距離を置くようにしています。


だって、政治になんて関わりたくないし、もともと安倍さんには特に悪意を抱いていない一方で、特別に期待もしていないから。

ただ、アベノミクスにおいて、安倍政権が国土強靱化をはじめとするインフラ投資に躍起になっていることは嘆かわしい。


あまりにも近視眼的で、ただ橋を何本つくり替えるとかいった施策を進めているだけに過ぎないからです。

国のインフラ(下部構造)を整備するに当たっては、まずはスープラ(上部構造=日本社会の今後の方向性)についてしっかりと議論することが大前提。


しかし、それがまったく欠如しているのが実情です。

これで保守と言えるのでしょうか。

 

 


・米国の実像は左翼国家 実はロシアと二卵性双生児

 

――確かに、安倍政権がどうのという前に、ほとんどの日本人は保守という言葉をそのように受けとめていませんね。
では、ほとんどの国民が捉え違いをしているとしたら、その中で安倍政権はどんな方向へ進もうとしているのでしょうか?

安倍さんがやっていることは、まさに「米国べったり」。

どうして保守がそのような振る舞いができるのかは甚だ疑問だし、大問題であると僕は考えています。


僕は何十年も前から指摘し続けてきたけれど、結論から言うと米国は「左翼国家」なのです。

そもそも左翼とは、フランス革命期に急進的なジャコバン派国民公会で左側に座って「自由、平等、博愛」と唱えたことがその由来となっている。


彼らは「理性を宗教とせよ」とも訴えており、いわゆる合理を意味します。

そして、これらを実践するために、旧体制を急速に破壊せよと扇動したわけです。


その直前には米国の独立戦争も勃発しており、これに勝利した同国が制定した憲法も「自由、平等、博愛、合理」を掲げ、ジャコバン派の思想とほとんど変わらない。

古いものは悪いもので、新しいものは良いものだというジャコバン派の考えに近いのです。


それでも建国当初の米国には、欧州出身の上流階級による保守主義が存在していました。

しかし、19世紀前半にジャクソン大統領によるジャクソニアンデモクラシー(自立と平等を理念とする草の根民主主義)が台頭し、米国は自らを欧州から完全に切り離してしまった。


こうして歴史が寸断されたわけなので、平衡術を学びようがありません。

にもかかわらず、戦後のジャップが犯した大きな間違いは、「米国側につくのが保守でソ連側につくのが革新だ」という政治の構図で物事を捉えるようになったことです。


米国はそんな状況だし、一方のロシアには歴史があったものの、大革命によって徹底的な破壊が加えられたため、こちらも歴史が寸断されてしまった。

どちらも歴史から学べない左翼であるという意味で、米国とロシアは二卵性双生児なのです。


そのような両国が対立したのは、米国が個人主義的な方向で変化を起こそうとしたのに対し、ソ連共産党集団主義的な指導のもとでそれを推進しようとしたからです。

要するに、「どちらが中核で革マルなのか」といった程度の違いにすぎず、
米国もロシアも言わば左翼同士の内ゲバ、もしくは内紛を繰り広げてきただけの話。

こうした背景を知らないまま、ジャップは長く保守と革新の意味を捉え違えてきました。


繰り返しになるけれど、今の安倍政権なんて、保守とはまったく何の関係もない。

それなのに安倍首相は日米が100%の軍事同盟関係にあると悦に入る始末で、戦後の日本人の愚かさ加減がにじみ出ていると言えるでしょう。

 

 


・世間はポピュリズムとポピュラリズムを混同している

 

――米国べったりと言えば、日米軍事同盟やわが国の安全保障の在り方については、北朝鮮情勢の緊迫化などを機に、改めてスポットが当てられていますね。


そもそも、治外法権となっている外国の軍隊の基地が国内にあり、憲法さえ他国からあてがわれた日本が、独立国であるはずがない。

カーター政権下で安全保障問題を担当したブレジンスキー大統領補佐官(当時)が断言したように、日本は米国の保護領であるのが実態。


自治領で大統領選挙の投票権は持たないプエルトリコと変わらない立場にすぎないでしょう。

集団的自衛権にしても、本当に日本を米国に守らせたいなら、相応の対処が求められます。


米国は自国に実害が及びそうなら守ってくれるけれど、そうでなければ動いてはくれません。

 

 

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安倍首相は「真の保守」ではない!西部邁氏が迷走政治を一刀両断
ダイヤモンド・オンライン:2017.10.3
https://diamond.jp/articles/-/144344

 

 

 

 

 


昨今よく聞くキーワード。

ネトウヨ」。

 

ネット上で、異なる意見や考え方のユーザーなどに強い文章で威嚇する方々を指したりするとも言われています。

昨今、誹謗中傷でも問題になっていますね。

 

ご存じ「ネトウヨ」とは、ネット上の右翼ということを指します。

でも。

 

そもそも「右翼」って何でしょうか。

ウェキペディアでは、右翼を以下のように語源として表記されています。



「右翼と左翼の語源はフランス革命に由来する。フランス革命期の(憲法制定)国民議会において、旧秩序の維持を支持する勢力(王党派、貴族派、国教派など)が議長席から見て右側の席を占め、左側に旧勢力の排除を主張する共和派・急進派が陣取ったことが語源となった」

「右翼」出典: フリー百科事典『ウィキペディアWikipedia)』

 

ご存じでしたでしょうか。

フランスがその語源でもあり、そのフランス議会で議長席から見て右側に席を占めている方々を「右翼」として総称していたそうです。

 

つまり「旧秩序の維持を支持する勢力」が右翼の語源です。

わかりやすく言えば「保守」に近い意味ではないでしょうか。

 

日本は長年、保守大国だと言われています。

高度成長期など日本が豊かになり、現状維持が良いという考え方が長く続きました。

 

しかし。

バブル崩壊、失われた20年。

 

消費税が上がり、景気は浮上せず、平均賃金は韓国にも抜かれました。

正規雇用が増加、生活保護世帯も増加。

 

一部の超富裕層以外、殆どの日本国民は貧しくなったとも言えます。

本当に「保守」のままでいいのでしょうか。

 

発生したコロナウイルス、緊急事態宣言。

そして赤字の東京オリンピック

 

明らかに、日本は貧しくなっています。

経済面だけではありません。

 

IOCの言いなりだった東京オリンピック

コロナ対策は、国産ワクチンや国産治療薬をないがしろにしたまま、海外製ワクチン接種のみの対策。

 

日本の国益は守られていない状況が続いています。

海外政府、そして多国籍巨大企業(国際資本)の言いなりとも言える状況ではないでしょうか。

 

例えば、ネットでは米国を中心とした海外IT企業がほぼ独占状態。

AmazonGoogleMicrosoftFacebookTwitterNetflixなどなど。

 

Amazonはネット通販事業以外にもAmazonプライムでは映像事業、AWSではクラウドサービスで日本国内を席巻しつつあります。

Amazonは、グループ会社AWSで日本政府のネット基盤を受託するまで進出しており、日本の最高機密情報をも扱えるほどの影響力です。

 

Googleでは、Yahoo!もグーグル検索エンジンを使用するなど、ほぼ100%日本の検索エンジンを独占している状況です。

Yahoo!で検索しても、グーグル検索エンジンによる検索結果が表示されています。

 

仮に、グーグル検索エンジンで検索結果を操作することがあれば、日本人の洗脳も夢ではありません。

 

Twitterもしかりです。

昨今はテレビや新聞でも、Twitterによる情報が各種マスコミで報道されるケースも増えてきました。

 

ただ、誹謗中傷問題という名の下、一定の考え方アカウントを大量に凍結しているという話も聞きます。

私の友人では、安倍元首相の影響力に疑問あるとツイートをしたら、アカウントを永久凍結されたという方もいます。

 

自民党総裁選では、候補者のTwitterアンケート結果も不自然すぎるほどの偏りでした。

仮に、一定の思想アカウントを強化推進し、その思想以外のアカウントを排除しているとすれば、非常に危険なプラットフォームになってしまいかねません。

 

海外IT企業ばかりではなりません。

製薬業界もそうです。

 

コロナ対策は、海外メーカーのワクチン接種一本足による対策のみ。

テレビやマスコミに登場する感染症専門家も、ほぼすべてワクチン接種のみを主張しています。

 

日本国産製薬メーカーを支援する政策は、殆ど聞かれません。

ワクチン、治療薬の承認は、なぜか海外製メーカーが殆どです。

 

自動車産業や電子機器産業もそうです。

昨今問題となっているのは半導体

 

過去において1986年「日米半導体協定」でアメリカ政府は日本の半導体産業に圧力をかけて日本の半導体が弱体化したという歴史もあります。

製造業大国日本が、今も半導体を海外に依存せざるを得なくなっているのはどうしてなのか。

 

日本政府は、今後、国産半導体産業を育成しようとするのか、それとも海外に依存するようにしているのか。

動向に不信感を覚えてしまいます。

 

それだけではありません。

私たちの生命の源ともいえる「食と水」。

 

コロナ渦、多くの国は食料自給率を上げています。

しかし、日本は米国産、豪州産牛肉、小麦やとうもろこし、大豆や小麦、米に至るまで海外産を増やす一方、国内の農業支援をないがしろにするという事例も見かけます。

 

遺伝子組み換えや、農薬残留が危惧されている農作物など、他国で輸入禁止され危険だと言われている農作物でさえ、輸入し続けています。

 

水道事業もそうです。

国内の水道事業を民営化し、海外企業へ発注させる事例も増えています。

 

フランス企業ヴェオリア・エンバイロメントも、その影響力を拡大させています。

私たちが毎日使っている水が、海外企業に依存してしまうというリスクにさらされます。

 

仮に、海外水メーカーに「悪意」があった場合、私たち日本人の安全は守られるのでしょうか。

 

仮に、海外農産物生産者に「悪意」があった場合、日本の食卓は大丈夫なのでしょうか。

 

仮に、海外製薬メーカーに「悪意」があった場合、日本人の健康は守れるのでしょうか。

 

コロナ、オリンピック、ワクチン、緊急事態宣言、ロックダウン・・・。

ここ数年、恐ろしいほど大きな変化があり、今、日本人は多種多様なリスクが積み重なっています。

 

日本は経済大国でした。

そのため、過去からの資産も大きいとも言えます。

 

ただ。

だからこそ、異なった見方をすると、他国から「ターゲット」となりやすい側面もあります。

 

多額の請求に答えられる日本だからこそ、他国による「悪意」があっても不思議ではありません。

経済リスク、国民の健康リスク。

 

危ない日本、とも言えます。

さらに、地理的なリスクも大きいのが日本の立ち位置です。

 

大国に挟まれた日本。

アメリカやロシア、中国など地理的なリスクは大きいと言えます。

 

だからこそ、日本という国を守るという意識は高く持っている必要はあるのではないでしょうか。

それは、アメリカという国に対しても、です。

 

そういえば、以前、目にした田中角栄元首相の言葉がありました。

「おい、アメリカをあまり信用してはいかん。ロシアもひどいけど、アメリカもひどいぞ」という言葉でした。

 

特に、今はコロナ渦。

多くの国は自国ファーストに変化しています。

 

農作物の自給率を高めたり、出生率を増やす施策を実施するなど、多くに国は自国を優先する施策を強めています。

コロナで多くの国が保守化を進める中、他国の支配色を濃くしている国々もあります。

 

軍事的支配だけではなく、製薬業界による影響力、IT技術半導体などによる圧力、農産物や水資源のリスクも生じています。

当然、日本もリスクは上昇していると言えます。

 

それらリスクは誰が守るべきなのでしょうか。

今、日本は、皆力を合わせる必要があるのかもしれません。

 

マスコミをも含めて、政治家や官僚、民間企業など、日本国民同士が一つになって力を合わせる必要があるのではないでしょうか。

 

愛国者でなくてもいい。

右翼でなくてもいい。

 

ただ、少しでも日本を好きであれば。

 

家族が好き。

友人が好き。

 

親戚や近隣の方々が好き。

近所の景色が好き。

 

住んでいる地域が好き。

故郷の食べ物が好き。

使っている日本語や日本の文化が好き。

 

ただ、それだけでもいいのではないでしょうか。

日本で生活している中で、良いな、素敵だな、好きだ、というその気持ちを持っていれば。

 

少しでも日本を良くしたいと思えるのかもしれません。

 

農耕民族日本。

力を合わせることで日本は豊かになってきました。

 

「和をもって尊しとなす」。

 

夫婦別姓原発問題、消費税やコロナ対策など、世論を二分する問題は、双方とも単なる意見です。

お互い、好きな日本を少しでも良くしたいという気持ちの表れ。

 

個別の問題で異なる意見があっても「少しでも良い日本にしたい」という同一の目標は、何も変わりません。

本当の保守とは。

 

アメリカをも含めて、海外の外圧リスクからどう守るのか。

そして、守るために、何をどう変えていくのか。

 

より良い日本のために、今何を変えるべきか。

「保守」であるがゆえに、変えていく。

 

今、私たちは「和」をもって、力を合わせ、変えることが重要なのかもしれません。

 

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【本日のニュース・記事】

 

日本「スネ夫」論 〜スネ夫の家が貧乏になった時、ジャイアン(米国)とのび太アジア諸国)はどうするだろう?(特別対談 島田雅彦×白井聡)

週刊現代講談社)2015.11.30

 

~~~

 


・日本の立ち位置は「スネ夫」?


島田 日本とアメリカの関係なんですね。
従来「ドラえもん」の比喩で言えば、日本がのび太アメリカがジャイアンでしたが、ここはずらして、日本の対米従属、対米依存は、のび太ドラえもんへの依存から自立できない状態だと設定してみると、より現状に近いのかなと思ったんです。
「本当に自立したいのか」と、常に自民党の人には問いただしたい。
一応対米従属をやりながら、一方で右翼的にアジアに強く出て、戦前回帰のポーズをとることも許してもらえる、という形の自立であったら、それは偽自立です。
米軍基地をグアムにでもどこにでも移して、それで本当に自主防衛を狙うならまだ分かりますけど、それを全部放棄して、対米従属の方針だけは徹底させながらなおかつ自立を唱えるこの矛盾を、どうしてくれるのか。
自立を目指すのであれば、対米従属を改めて、なおかつ国民の支持を得つつ、しかも国際政治の場においてそれなりのプレゼンスを発揮できるスタンスを選ばなくてはならない。
しかしその方法は、消去法で行くと、とりあえずは憲法を守ることでしょう。
勿論、憲法九条に矛盾はありますし、現状の安全保障上、憲法九条が機能しうるかと言えば難しいところがあるでしょうが、政治原則において自立ということを唱えるのであれば、より憲法に忠実な方がよほど理にかなっていると思います。
ただ長年、護憲というと左派の方はものすごい頑固な保守だったわけですよ。
いつしか護憲というものがほとんど絶滅危惧種的な扱いになって、政治的な効力を失ってしまった。
その中で改憲を唱えれば、少なくともそれは改革ではあるのだから、新しいプログラムを志向していると見せかけることはできた。
しかしこの間の強引な憲法解釈、これによって逆に護憲が息を吹き返した感じがするんです。
そこは楽観しているんですよ。
元々自民党の悲願は改憲であり、自主憲法制定ですが、ひどい改悪案なうえに、特に安保法案はあまりにもアクロバティックな憲法解釈だったので、これは危険だというふうにみんなが目覚めてしまった。
だから今後、強引な改憲の方向には行きにくくなっただろうと思いますけどね。

 


白井 だといいんですけどね。
現在の状況は、護憲が息を吹き返すと同時に、今まで言われていた、いわゆる改憲論というものが実はほとんど何の意味もないことが分かったということだと思うんです。
改憲派押し付け憲法を捨て去って、自分たちの憲法を自分たちで制定して自主性を回復するんだと言ってきたわけです。
今回ある意味で非常に創造的な解釈を施して集団的自衛権を認めるよう解釈変更したわけですから、事実上改憲したに等しいわけですけども、それで自主性を回復できたかというと、とてもそうは見えないわけですよね。
ますます軍事的な意味での対米従属、要はアメリカがやる戦争にお付き合いをしなければいけないということになる。
これまでは九条のおかげで従属にも歯止めがあったわけで、これを無効化すれば従属がより一層深まって全然自主にならないことがわかってしまった。
ただ、こういった理解がちゃんと広まるだろうかというのが大きな問題です。
僕は「ドラえもん」に喩えると、日本の立ち位置はスネ夫だと思うんです。
つまりジャイアンの子分なわけですよね。
スネ夫はひょっとすると一対一でけんかをしたら、腕力はのび太にすら劣るかもしれない。
でも、ジャイアンにうまく取り入っているということと、家が金持ちであるということでもって、のび太より優位に立っていたわけなんですね。
つまりジャイアンアメリカ、スネ夫=日本、のび太アジア諸国ですね。
アメリカに取り入るということと、アジアに対して傲慢な態度を取るというのがコインの表裏になっているわけです。
これが戦後レジームの基本構造であり、非常に病んだ構造なんですが、それでもやってこられたのはスネ夫の家がお金持ちだったからです。
ところが今何が起きているかというと、スネ夫のお父さんが破産して、貧乏になってしまったんですね。
これは厳しいですよ。
骨川家が貧乏になったらスネ夫アイデンティティはどうなってしまうのか。
「僕のうち金持ちだから」っていうのが、のび太に対する優位性の根拠だったし、「新しいおもちゃだよ」とジャイアンに遊ばせてご機嫌をとるのに役に立ったわけですから、金がなくなったらスネ夫は終わりですよ。
だから経済大国の地位が危うくなってきて多くの日本人が今発狂しかけている状態にあるんだろうと、そういうふうに見ているんです。

 

 

・「人格解離」という対処法

 

白井 人格解離といえば、内田樹さんとの対談本(『日本戦後史論』)の中で、内田さんが安倍晋三を人格解離していると評しているんですね。
おそらく生身の安倍さんというのは悪い人じゃなくて、付き合うと結構いいおじさんなんじゃないかと。
しかしながら政治家一家に生まれて、家業としての政治家業を継がなければいけないという運命を背負わされて、しかもその家業は相当傾いている。
それこそ岸信介というのは戦後レジームを作った人ですから、安倍さんはおじいちゃんが建てた建物の中で生まれ育ってきたわけです。
安倍さんにとって困ったことには、その建物は冷戦構造の崩壊と同時に柱が抜けた建物になってしまった。
これを持続するのは不可能な状況になっているのですが、彼はその建物の中以外の環境を知りませんから、仮に本当は「なんだか居心地が悪いな」と薄々感じていたとしても「この建物はもうダメだから壊そう」とは言えない。
そういう、生身の人間では処理できないような矛盾を抱え込んでいるから、ある種解離した別人格を作って、それがいわば腹話術的に喋って、戦後のレジームを無理やり保たせようとしている、人格解離によって矛盾の厳しさに対処しているんじゃないか、というのが内田さんの見立てです。
安倍さんは、田舎の旅館の三代目とも喩えられます。
地方の過疎化した観光地で、寂れて閑古鳥が鳴いているような旅館の跡取りになった。
もう一度守り立てるのは無理という絶望的状態でも、とりあえず継がないといけないから継いだと。
そういう人たちがどういうふるまいをするか。
これは過疎化問題に悩む地方の実態に詳しい人からよく聞く話なんですけど、新しい農作物の栽培に成功したとか、新しい観光スポットを立ち上げて、いわゆる村おこし、地域おこしのスターとして脚光を浴びる人たちというのは、おしなべて地元では評判が悪い。
その原因は大概、嫉妬なんです。あいつばかり目立ちやがってという不毛な感情です。
前途が絶望的な旅館の三代目などの役回りを引き受けさせられた人は、無意識のレベルで、「こんなの持続できないんだから、つぶれちゃえばいい」と思っている。
そこに、「もう一回、地域を守り立てられますよ」と言う人が現れると迷惑で、このまま安楽死させようと思っていたのに余計なことをするなと。
だから反動的にふるまって彼らをいじめたりするんだというんです。
今の保守政治家って、様々な戦後日本の矛盾を集約的に引き受けさせられているともいえるんですね。
嫌ならやめればいいわけですが、とにかく本人としてはそういう役回りになってしまったと思っていて、それに対処するのに生身の人間では無理なので、ある種人格解離を起こしちゃう。
この見立ては、なるほど、今の情勢を見るに際しては有力な視点なのかなという気がしたんですね。

 

島田 アメリカの傀儡であったり、あるいはアメリカと結びついている官僚とか企業家とか、いわゆるアメリカンスクールの方々、アメリカの利害を日本においてうまく発揮できるように調整する人々は、外務省にも防衛省にもいっぱいいます。
実際そういう人たちが対米従属を推し進めて、アメリカにとっての日本利権をハンドリングしている。
彼らから見ると、多分安倍さんは御しやすいのだろうと思いますね。
首相なんていうのは一種象徴的な存在でよい、血筋がいいに越したことはない、そのほうが自民党内の調整もつけやすいと。
さらに岸の孫ということであれば、岸流の政治プログラムを反復するという物語はできやすい。
非常にわかりやすいプログラムを作ったうえで、首相はなるたけナポレオン三世みたいに凡庸な人間の方が好ましいわけです。
自分なりの、より良い政治プログラムを提案するようなタイプだと官僚と対立するかもしれない。
そもそもこういう人格解離状態を特に問題視しないような鈍さというのが、うってつけだったんでしょうね。
たとえば国会の答弁を聞いていると、首相が毎度毎度名前を呼ばれるのと同じくらいの頻度で中谷元防衛大臣が答弁に立つ。
そこで共産党の議員の厳しい追及があると、中谷大臣は赤面するんですね。
明らかにあれは相当に困惑しているし、恥ずかしいと思っているんじゃないか。
自分の答弁が矛盾に満ちているという自覚はあると思う。
そういう含羞がにじみ出ているんですよ。それに対して、安倍さんは何もないね。

 


白井 確かに。

 


島田 何も恥じることもないし、はぐらかしてはいるんだけど、そうとしか答えられないみたいな感じで。
この間、国連で「難民問題についてどう思いますか」と聞かれて、「日本には別の問題があります」って、まったく関係ないことを言っていて、それで恥じないというのは、すごいかもしれない、ある意味で。

 


白井 今回も安倍さんはニューヨークに行って、結局オバマ大統領と会えなかったですよね。
あれほどの貢物というか、アメリカのために強引なことをやったのに、会ってもくれないと。
僕だったら死にたくなると思うんですけど、彼は全然へっちゃらみたいです。
鈍感で恥知らずな人間は強いんだなということがよくわかりました。
アメリカにとっても、日本の首相は凡庸なくらいがいいとはいえ、ここまで低劣だとは誤算だったと思う。
オバマは嫌悪の情を隠しすらしていない。

 


島田 しかし一方で、アメリカも民主党共和党の大きな政治方針の違いがあるし、同じ民主党内でもオバマとヒラリーは微妙に違いますし、さらにそこに軍産複合体の利害があって、これが錯綜している中である種のパワーゲームを繰り返しているわけですが、政権がアメリカで替わったとしても軍産複合体自体の影響力は変わらないので、そこががっちりと日本の尻尾をつかんでいる。
歴代首相は勿論のこと、野党のアメリカンスクールまでも鵜飼の鵜みたいに全部束ねているところがあって。
そんな中で、仮に対米従属を改めて自立に向かうために中国やロシアとも多極的な安全保障を構築するというオルタナティブを画策しても、まずは政府機関内に深くまで入り込んでいるアメリカのスパイどもに全部邪魔されるでしょう。

 


白井 それが象徴的に示された事件はやっぱり鈴木宗男佐藤優事件だったと思います。
佐藤優さんの『国家の罠』は何度読み返しても面白い本ですが、それによると、外務省の中に当時三つの派閥、アメリカンスクールチャイナスクール地政学派とがあった。
地政学派というのはその時々に応じて組むべき相手を臨機応変に変えていく立場で、鈴木・佐藤ラインは地政学派だったわけですね。
あの一連の外務省内の騒乱を通じて何が起きたかというと、地政学派がつぶされ、チャイナスクールもつぶされて、つまりアメリカンスクールだけになってしまうという状況が作られた。
それがあの事件の本質だったというんですね。
その結果が、今こういう形で非常にわかりやすく出てきているわけです。
本来なら冷戦構造が終わった後、対米従属を続ける合理的な理由はなくなったんですよね。
このことは、今の日本のナショナリズムの歪みとも関係しています。
そもそも戦後日本の保守の主流は、親米保守と言われる異様なものです。
どこの国だって保守、ナショナリストというのは、たとえばフランスだったら親仏保守でしょうし、韓国だったら親韓保守のはずなのに、日本だけは親米保守なる奇怪な立場がナショナリストを名乗ることができた。
それでも、冷戦時代は一応言い訳ができた。
何せソ連という悪いやつがいると。
だからアメリカだって本当は嫌なんだけど、ソ連の力が伸びてきてそれに取り込まれることだけは絶対に避けなければならないので、当座はアメリカと組んでおこうという立場が愛国的なのだと。
しかし、この言い訳が、ソ連が崩壊することによって、もう全然成り立たなくなった。
だから九〇年代を通じて軌道修正をするための具体的な画策があったわけですけど、結局それらは全部つぶされていくわけです。
場合によっては検察の力まで動員される形でつぶされていった。
対米従属をする合理的理由がなくなった時代にこそ、ますます対米従属が強まるという、そういう異様な時代になってしまいました。

 

 

・三十年後を議論する政治


島田 もうちょっと政治を長いスパンで見ようと思った場合、今は過渡期ではあると思います。
アメリカの支配が終わって、世界的な影響力が低下して、代わりに中国が台頭してきているという中で、そろそろ日本の外交方針を改めないとならないわけです。
東アジア・太平洋地域におけるアメリカの軍事プレゼンスは依然高いけれども、そうはいっても中東に駆り出されたり、世界の警察を辞めたくなってきている中で、今まで通り、アジア・太平洋地域を完全にアメリカのコントロール下に置くことは難しい。
そこで、日本に戦費負担させたい。
だから反中で世論を盛り上げておいて、日本国民全員が常にアメリカの方に味方する、友達みたいにみなし続けたまえという感じになっているわけですが、しかしそれで安全保障が成り立つと思えるのは、向こう五年とか十年に過ぎないのではないかと。
今回、『虚人の星』でそういうことを書いているんですけど、もうちょっと長い、三十年くらいのスパンで未来を考えた時には、今の状況からは全く想像できない世界が出現しているはずです。
ちなみに今から三十年前の中国を見て今の中国を想像できた人がいるかというと、ほとんどいないわけですね。
そうすると三十年後の世界は、いくら経済の不安定要素があるとはいえ、一人あたりのGDPにおいて、中国が日本を超えてくる。
人口十倍ですから、そのまま経済規模が日本の十倍ということになり、アメリカを凌いでしまう。
それに軍事費が比例するとなれば、世界で最大の軍事大国になる。
海軍が弱いというところはあるけども、これもすぐに逆転するでしょう。
なぜならば、今はウクライナから買った中古の空母が一艘しかなくて、アメリカとの対比でいうと、三対一くらいだけど、もし台湾を領有することになれば、台湾は空母二十艘分と言われていますからね。
台湾を領有したら、尖閣なんかどうでもよくなるでしょう。
太平洋に対する中国軍のプレゼンスは圧倒的に高まります。
それも時間の問題だと考えた場合、今から、それにどう対応するのかという布石を打っておかないといけない。
現時点で中国の属国になりたくないという思いが保守は強いでしょうし、正直私も沖縄に米軍の代わりに人民解放軍が来るだけだと言われても、なんか嫌な感じがしますよね。
でも三十年スパンで見ると、それを受け入れざるを得ない状況が来るかもしれない。
しかし、そういう三十年後の話の議論は、普通の政治家は取り合わないというか、そういうことを考えること自体を放棄しています。

 


白井 沖縄に米軍基地の代わりに中国軍基地があるという状況は、今と同等か今よりも悪夢かもしれないという話ですね。
要はそういうことが起こらないように、中国の発展の仕方がどうあるべきかを考えてください、かつて中国を苦しめた帝国主義列強が追求した覇権主義はよくありませんよ、ということを説いていくしか基本的にはないと思います。
ちなみに、保守は沖縄で中国脅威論をふりまきたがるわけですけど、これ全くの逆効果なんですね。
沖縄の人の目で歴史を振り返ってみると、日本人にやられたという記憶はあるし、アメリカ人にやられた記憶もある。
しかし中国人に暴力によって支配されたという記憶はないわけですね。
彼らにとっては中国脅威論はまったくの大ウソじゃないかということがリアルにわかるわけです。
中国脅威論というけれど、実際中国から日本が侵略を受けたのは、元寇くらいしかない。
ただしもちろん近代世界の原理の中で大国化していくと当然違った方向へ行くことも考えられるので安易な楽観視はできないことですけど、しかしながら当然交渉の余地はある。

 


島田 沖縄から見れば、中国との朝貢関係、貢物をやって非常に安定的な外交関係を作るのはある意味自然だし、中国にしてみれば先の戦争における復讐は形だけでもしたいでしょうが、その復讐をなるべく軽く済ませる。
そのうえで、中国が常に理性的にふるまえるような助言をする友人的な立場ということを目指すしかない。
実際アメリカが対外的にやってきたことのアコギさと中国がやってきたことを比べた場合、アメリカの方が悪かろうと思います。

 

 

白井 遥かにアコギです。アメリカが悪いことをやった時にはそれは十分の一くらいに希釈されて伝えられるのに対して、中国のそれは十倍にして伝えられるという感じがありますね。

 


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日本「スネ夫」論 〜スネ夫の家が貧乏になった時、ジャイアン(米国)とのび太アジア諸国)はどうするだろう?(特別対談 島田雅彦×白井聡)
週刊現代講談社)2015.11.30
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/46630?imp=0

 

 

 

 


本日は3つの記事をご紹介いたします。


2つ目の記事はこちらです。

 

 

 

 


■なぜ岸信介は「A級戦犯」として起訴されなかったのか

東京裁判のナゾ

週刊現代講談社)2016.10.16

 


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・開戦責任は重いのに…なぜ?


このところずっと岸信介にまつわる謎を追いかけている。

岸はなぜ、A級戦犯として起訴されなかったのだろうか。


東条英機内閣を倒して戦争終結に貢献したからだ、と言いたいところだが、岸の調書類を読むかぎりではちがうらしい。

前回(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49842)ふれたように、岸の第1回尋問(1946年3月7日)を担当したG・サカナリ中尉らは、倒閣の顛末を聴いたうえでなお「岸は被告席を飾るにふさわしい」と報告している。


つまり東条内閣の閣僚としての開戦責任はそれほど重いということだ。

真珠湾奇襲への米国民の恨みは深い。


ついでに述べておくと、サカナリ中尉らによる岸の人物評価も甘くない。

中尉らは「岸はおそらく(一貫した原理原則のない)機会主義者で、自分に都合のいいようにものごとを利用する人物だ」と調書のなかで指摘している。


と同時に「岸の人脈は広い。財界、官界、軍、宮中にまで及ぶ」「(岸らの満州)人脈は、東条内閣期のものの考え方に直接的な影響を与えた」などと、その後の岸研究の成果を先取りするような分析もしている。


この尋問から7日後の14日、国際検察局捜査課の執行官であるバーナード少佐は、モーガン捜査課長(FBI出身)に「岸を東京裁判の被告第一グループに入れるべきだ」という文書を送っている。

少佐は、その理由として次の点を挙げた。


「岸は(日独伊三国同盟を結んだ)松岡洋右外相の甥で(国家総動員体制を作った)革新官僚たちのリーダーと目されていた。それに岸は、満州という偽国家の法体系を作り、東条内閣の閣僚もつとめた。しかも、彼は軍人でないのに、青年将校一派と密接な関係を築いていた」


バーナードの報告の翌日、国際検察局のキーナン局長が「状況が許すなら、東条内閣の閣僚全員を被告にしてほしい」と求めたことも前回ふれた。つ

まり岸の起訴に直結するメッセージが捜査現場と、上層部の双方から送られたことになる。


が、結局、岸は起訴されなかった。


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■なぜ岸信介は「A級戦犯」として起訴されなかったのか
東京裁判のナゾ
週刊現代講談社)2016.10.16
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/49940?utm_source=ise&utm_medium=ise

 

 

 

 


最後3つ目の記事はこちらです。

 

 

 

 


■安倍首相の「安保法制」妄執の背景に、敬愛する祖父・岸信介A級戦犯を逃れるため米国と交わした裏取引きが!

エキサイトニュース 2015年8月17日 野尻民夫

 

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安倍晋三首相が愛してやまない祖父、岸信介は1945(昭和20)年9月15日にA級戦犯容疑で逮捕される。

当時は誰もが岸は有罪とみていた。


それはそうだろう。

満州官僚時代に軍部と結託してアヘン取引に手を染め、アヘンを求めて中国領土を侵す軍をバックアップし続けた。


取引で得た巨額の利益を戦費に回し、一部を政治資金として活用して軍国主義者の象徴といえる東条英機を首相にまで昇りつめさせた。

さらには東条の片腕として商工大臣、軍需次官を務め、国家総動員体制、大東亜共栄圏の自給自足体制の確立を遂行するなど、戦時日本の寵児として辣腕を振るった。


岸が戦争遂行の中枢にいたことは疑いようがない。

そんな岸を戦勝国が犯罪者リストから外すわけがないのである。


にもかかわらず、岸は満州時代の盟友・東条英機の絞首刑が執行された翌日の1948(昭和23)年12月24日に不起訴処分で釈放された。

東条の絞首刑と岸の生還、明暗を分けたというには余りにも落差の大き過ぎる結末だった。

 
あるいは岸の満州時代の上司であり、東条内閣では内閣書記官長として共に支えてきた星野直樹は終身禁固刑に処せられた。

満州では岸は星野よりはるかに手を汚し、閣僚として戦争遂行にかかわった度合いも、岸のほうが大きかったはずである。


当然、研究者やジャーナリストにとってもこの処遇の違いは興味の対象となる。

岸はなぜ、戦犯を逃れたのか。


ひとつは、岸がもともと用意周到でなかなか尻尾がつかめない存在であることがあげられるだろう。

有名な「濾過器発言」にその片鱗が垣間見られる。


岸は1939(昭和14)年10月に満州を離任する際、数人の後輩たちを前にこう語っている。


「政治資金は濾過器を通ったきれいなものを受け取らなければいけない。問題が起こったときは、その濾過器が事件となるのであって、受け取った政治家はきれいな水を飲んでいるのだから、かかわりあいにならない。政治資金で汚職問題を起こすのは濾過が不十分だからです」


要は、証拠を残すなということであり、嫌疑に対して敏感になれということでもある(実際、岸は東条内閣時代に書いた書類をすべて焼却してしまっている)。

だが、それだけでは訴追はまぬがれない。


岸はアメリカに対して具体的な"工作"を行っていた。

そのひとつは再びアヘン絡みの話だ。


東海大学名誉教授、太田尚樹氏の著書『満州裏史 甘粕正彦岸信介が背負ったもの』(講談社文庫)に元ハルピン特務機関員の田中光一のこんな証言が載っている。


「麻薬はどこの国でも最大の関心事でした。もちろん、アメリカだってそうです。戦後、GHQが克明に調査して関係者に尋問したのに、まったくと言っていいほど処罰の対象に指定しなかったのは、不思議だと思いませんか。あれは明らかに、情報提供の代償となったからです。甘粕はもうこの世にいませんでしたが、里見、岸なんかが無罪放免になったのは、そのためなんです。エッ、東条にはどうかって? 彼は直接戦争責任に結びつく訴因が多過ぎて、GHQは阿片の件で取り調べるだけの時間がなかったのです。アメリカは裁判を急いでいましたからね」


証言に出てくる「里見」とは、里見甫のことだ。

「アヘン王」と呼ばれた陸軍の特務機関員で、上海を拠点にアヘン取引を仲介していた。


岸とアヘンの関わりを調べる中で繰り返し出てくる名前でもある。

千葉県市川市にある里見の墓の墓碑銘を揮毫したのが岸だったことは前回、紹介した。


その里見も戦後、A級戦犯容疑者として逮捕されている。

そして、田中の証言通り、不起訴者リストの中に「里見甫」の名前は載っていた。


つまり、岸や里見はアメリカにアヘン情報を提供する見返りに戦犯訴追を免れたというわけだ。

もうひとつ、岸には戦争責任逃れのための「東条英機裏切り」工作というのも指摘されている。


満州の関東憲兵隊司令官だった東条英機が中央に戻り、陸軍次官、陸軍大臣、首相へと上り詰める原動力になったのが、岸がアヘン取引で得た豊富な資金だったことは前回書いた。

岸は東条内閣を商工大臣、軍需次官として支え、戦争を主導した。


ところが戦争末期にこの仲が決裂する。

それどころか、岸VS東条の対立がもとで内閣が崩壊してしまったのだ。


毎日新聞に掲載された「岸信介回顧録」(1977年5月11日付)によれば、岸は〈サイパン陥落のあと「この戦争の状態をみると、もう東条内閣の力ではどうしようもない。だからこの際総理が辞められて、新しい挙国一致内閣をつくるべきだ」ということでがんばった〉という。


そして、東条内閣は瓦解。下野した岸は郷里に帰り、防長尊攘同志会をつくって、引き続き「打倒東条」の政治活動を続けた。

この一連の行動について毎日新聞記者だった岩見隆夫氏が非常に興味深い証言を採取している。


証言の主は満州時代の岸の部下だった武藤富男だ。

武藤は東条内閣が崩壊した直後の昭和19年7月、岸とともに満州を牛耳った「二キ三スケ」(東条英機星野直樹岸信介鮎川義介松岡洋右の語尾をとってこう言った)の一人、星野直樹(前出、A級戦犯)を訪ねた。


〈その折、星野は武藤にこんなつぶやきをもらしている。「岸は先物を買った」「どういう意味ですか」「東条内閣を岸がつぶしたということだ」 しかし、どうして先物買いになるかについて星野は語ろうとしなかった。「戦後、再び星野さんに会ったとき、もう一度『先物を買ったというのは、岸さんが敗戦を予期していたということなのですか、それとも戦犯を免れるためという事まで考えて岸さんは東条内閣をつぶしたとあなたは見通したのですか』と問い質してみたのですが、相変わらず、星野さんは黙したまま答えてくれませんでした」と武藤はいった〉(岩見隆夫『昭和の妖怪 岸信介』中公文庫)


この「先物買い」というのはまさに、敗戦を見込んで、わざと東条と反目したということだろう。

前出の太田尚樹も同じ見方をしている。


〈打倒東条は国難の打開、つまり国家のためという大義名分が成り立つ一方で、戦犯を逃れることはできないまでも、連合軍から大きなポイントを稼ぐことができると読んでいた〉

満州以来の二人の関係は、刎頚の友といった関わりではなく、結局は、互いに利用し合っていただけだった〉

〈つまり東条は岸の頭脳と集金力を利用し、岸は陸軍を利用しながら権力の座を目指したが、その陸軍の頂点に、権力の権化と化した東条がいた。だがアメリカ軍の攻勢の前に、東条の力など見る影もなくなってきている。こんな男と便々とつるんだまま、一緒に地獄に落ちるのはご免である〉(前掲『満州裏史』)


この変わり身の早さこそ岸の真骨頂といえるが、さらに、岸には獄中で、もっと重大なアメリカとの政治的取引を行っていたのではないか、との見方がある。

その取引が、岸を訴追から救い、そして戦後、内閣総理大臣に押し上げた最大の理由ではないか、と──。


それが何かを語る前に、戦後アメリカの対日政策には2つの流れがあったことを指摘しておく必要がある。

ひとつは民政局(GS)に代表されるニューディーラーを中心としたリベラル勢力で、日本国憲法の素案づくりにも携わった。


民主化を徹底する立場から旧指導者への処分も容赦がなかった。

もうひとつは治安を担当する参謀本部第2部(G2)を中心とした勢力で、対ソ連、対中国戦略を第一に考える立場から、日本を再び武装化して"反共の砦"に育て上げようと考えていた。


GHQ内部ではこのふたつの勢力が対立していた。

占領当初はGSの力が強かったが、米ソ冷戦が本格化するにつれて「反共」のG2が「対日懲罰」のGSを凌駕するようになる。


こうした流れの中で、G2は巣鴨拘置所に拘留されていた岸との接触をはじめた。

再び、前回紹介した原彬久氏の『岸信介―権勢の政治家―』(岩波新書)を引く。


〈G2およびこれと連携する人脈が獄中の岸と接触していたことは、確かである。例えばGHQ経済科学局のキャピー原田は、巣鴨の岸から「戦後復興」問題でたびたび意見を聞き、しかも原田みずから上司のマーカット少将に「岸釈放」を説いている(朝日新聞、平成六年九月二二付)。いずれにしても、こうした文脈を抜きにしては、岸が不起訴、無罪放免となっていよいよ戦後政治の荒涼たる舞台に放たれるその道筋は理解できないだろう〉


G2は実際、1947(昭和22)年4月24日付で最高司令官のマッカーサー宛に岸の釈放を求める異例の「勧告」まで出している。

獄中で岸はアメリカとどんな取引をしたのだろう。


自らの命のためならかつての盟友を売る男である。

いったい何と引き換えに、無罪放免を勝ち取ったのか。


これについては「週刊朝日」(朝日新聞出版)2013年5月24日号が渾身のリポートを掲載している。

〈「星条旗」の下の宰相たち〉というシリーズの〈第3回「ストロングマン」〉。


筆者は同誌の佐藤章記者だ。

まず、岸はアメリカにとってどういう存在だったのか。


同記事を引く。


〈戦後の米国のアジア政策は、米国の国益を守ってくれそうな、その国における「ストロングマン」を探し出すことから始まる。韓国における李承晩、台湾における蒋介石がその典型だ。日本においては吉田茂であり、鳩山一郎緒方竹虎と続いて、1950年代半ばに岸の番が巡ってきた〉


では、岸に与えられたミッションは何だったのか。


〈(日本国憲法)第9条があるために日本は自衛目的以外の軍隊が持てず、米国との相互的な防衛能力を保有できなかった。つまり、米国が攻撃を受けても日本は援軍を出すことができない。さらに言えば、米国の軍事戦略に乗っかる軍隊を持つことができない。この相互防衛の考え方が、集団的自衛権の解釈として、1951年の旧日米安保条約締結以来、日米間の問題となった〉


まさにいまの安倍政権が強引に進める新安保法制につながる話だ。

この問題解決こそ、岸がアメリカから言われた最大のミッションで、そのために最初に着手したのが〈「建設的勢力」の結集〉つまり保守合同だ。


では、カネはどうしたのか。

前出の佐藤記者は米アリゾナ州ツーソンに飛んだ。


アリゾナ大学歴史学研究室のマイケル・シャラー教授に会うためだ。

シャラー教授は米国務省の歴史外交文書諮問委員会委員を務め、非公開資料にも目を通すことができる。


以下、佐藤記者によるインタビューだ。


〈――岸元首相に対してCIAから資金提供があったという話をどう思いますか?「そういう証拠はあると思う。賄賂的な意味合いよりは、派閥の運動資金や政治キャンペーン資金というような形で提供されたと理解している」――資金はどのような形で渡されたのでしょうか?「当時、CIAから経済団体や企業を通じて岸のほうに資金が流れたという記述を米国側の書類で私は目にしたことがある」〉(前同「週刊朝日」より)


これについては、CIAから自民党への秘密献金をスクープしたニューヨークタイムズのティム・ワイナー記者も、その著書『CIA秘録』(日本版は文藝春秋)でこう断言している。

〈CIAは1948年以降、外国の政治家を金で買収し続けていた。しかし世界の有力国で、将来の指導者をCIAが選んだ最初の国は日本だった〉


〈釈放後岸は、CIAの援助とともに、支配政党のトップに座り、日本の首相の座までのぼりつめるのである〉

岸は、日本におけるアメリカの国益を実現するため、アメリカによって選ばれ、アメリカの資金でつくられた首相だったということだ。


A級戦犯容疑者の身からわずか9年、公職追放解除からたった5年足らずで政界トップに上り詰めた秘密がここにある。

その岸が首相在任中にアメリカに言われてやった最大の仕事は、言うまでもなく日米安保条約の改定だ。


一般に、旧安保条約では日本がアメリカに基地を提供する一方でアメリカの日本防衛義務が明記されていないとの批判があったが、新条約ではそれを盛り込ませることができたと評価されている。

だが、アメリカの狙いはそこではなかった。佐藤記者はこう書いている。


〈新条約は5条で米国の日本防衛義務を盛り込んだが、続く6条で、米国のアジア戦略のために在日米軍を利用できる「極東条項」が組み込まれた。米国の本音を明確にした条項だ〉

しかもこの「極東条項」の「極東」の範囲が明確でなく、アメリカは日本の基地を好き勝手に使えるようになった。


事実、新安保条約締結から50年以上経つが、米軍が日本防衛のために出動したことは唯の一度もない。

反対に、米軍がアメリカの戦争のために日本の基地を自由に使うことは日常化している。


安保条約改定が誰の指示よるものだったかがわかるだろう。

佐藤記者はこうした事実をさらに裏付けるため米ワシントン郊外にある米国国立公文書館別館を訪ねる。


そこでCIAが作成した「岸信介」のファイルの閲覧を請求し、驚くべき事実と遭遇する。

なんと、CIAのファイルにはたった5枚の資料しか入っていなかったのだ。


他のA級戦犯容疑者についてはたとえ不起訴でも膨大な資料が残されている。

例えば、緒方竹虎は1000枚近く、正力松太郎は500枚ほど。


しかし、岸はたったの5枚しかない。

これは明らかに異常だ。


実は、岸に関するCIA資料はほとんどがまだ秘密指定を解除されていないのだという。

つまり、岸とアメリカの関係はいまだに表に出せない内容が含まれているとアメリカが判断しているということなのだ。


それは、アメリカの対日占領政策がまだ継続中だということでもある。

しかし、こうした歴史を振り返ると、いま現在の安倍政権がやろうとしていることの謎が解けてくる。

 

 

Q:安倍首相はなぜ、集団的自衛権行使にあそこまでこだわるのか?

A:おじいちゃんが不起訴の見返りにアメリカと約束したことだから。

 

Q:安倍首相はなぜ、日本国憲法を「みっともない」と毛嫌いするのか?

A:おじいちゃんを助けてくれたG2と敵対する人たちがつくった憲法だから。

 

Q:安倍首相はなぜ、改憲しようとしているのか?

A:それも、おじいちゃんが不起訴の見返りにアメリカと約束したことだから。

 

Q:安倍首相はなぜ、沖縄の「屈辱の日」をお祝いしようとするのか?

A:おじいちゃんの公職追放がやっと解除された記念の日だから。

 

Q:安倍首相はなぜ、「侵略」や「おわび」や「反省」をためらうのか?

A:あの戦争はおじいちゃんも深く関わった自存自衛の聖戦だから。

 

そう。

新安保法制も改憲も、すべては、おじいちゃん、岸信介とつながっているのだ。

 

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■安倍首相の「安保法制」妄執の背景に、敬愛する祖父・岸信介A級戦犯を逃れるため米国と交わした裏取引きが!
エキサイトニュース 2015年8月17日 野尻民夫
https://www.excite.co.jp/news/article/Litera_1400/

 

 

 

 

 

 

 

迷走する日本の政治。

新型コロナウイルスによる迷走ぶりは、目をみはるばかりです。

 

コロナ発生から1年以上経過しても同じような問題を抱え、ほぼ1年前と同じようなマスコミの報道。

なぜか、政治とマスコミはコロナを煽るばかり。

 

自粛、自粛、自粛・・・。

万延防止、緊急事態宣言、ロックダウン・・・。

ワクチン、ワクチン、ワクチン・・・。

 

なぜ、1年以上も、同じ状況なのでしょうか。

ワクチン政策以外、実行・行動力が伴わない政治。

 

まるで手足を縛られているかのような日本の政治が、この1年つづいていると思う方もいらっしゃるかもしれません。

 

どうして、変わらないのでしょうか。

どうして、変われないのでしょうか。

 

このままでは、ごく一部の富裕層以外、私たちの大半の人たちはどんどん貧しくなるばかり。

倒産、閉店、失業、ボーナス削減、残業削減、などなど。

 

自粛や緊急事態宣言など、日本経済に与える影響も、長引けば長引くほど深刻になっていきます。

さらに、中小企業のみならず、大企業に至るまで深刻な影響が出てきています。

 

日本の企業が赤字となれば、社員の給与は上がりません。

日本の企業が倒産すれば、当然失業者も増加します。

 

コロナ過の政治的判断が緊急事態宣言やロックダウンの政策ばかりでは、日本経済に大きな影響を与えるのは確実です。

他国では、コロナ対策と経済成長を両立させ、経済成長を遂げている国もあります。

 

ただ。

今の日本政治のコロナ対策はワクチン一本打法のみ。

 

なぜか、政治で即時行動するのは、自粛と緊縮、私権制限。

まるで「自由」を奪っていくかのような政治判断ばかりと感じる方もいらっしゃるかもしれません。

 

そもそも、自民党とは「自由民主党」。

その名に恥じない政治を行っているのでしょうか。

 

日本人の国益を見据え、日本の未来を真剣に考えているのでしょうか。

 

そういえば、以前、「大手多国籍製薬会社・ビッグファーマ」から謝礼を受け取っていた番組コメンテーター医師の記事を見かけました。

もし、政治の世界でも同じようなことがあったら・・・。

 

権力を有する為政者が自国をないがしろにし、他国の利益のみで政治決断をしてしまうという恐ろしいことが現実化してしまう可能性があります。

 

例えばですが、会社組織でも同じことが言えるかもしれません。

もし、同じ会社の役員が、実はライバル会社に買収されていたとしたらどうでしょうか。

 

その役員が自社の利益を優先せず、ライバル会社の利益のために様々な経営判断を実施していたら。

経営は自滅の判断を推進し、その市場でライバルに完敗、会社組織存続さえ危うくなるでしょう。

 

最悪の場合、その会社は消滅してしまいます。

組織では、その組織の利益を優先する人がトップを務めなくてはなりません。

 

その組織で働く人のためにも。

そしてその組織で働く人の家族のためにも。

 

国家運営も同じではないでしょうか。

総理や大臣が他国の「意向」を優先していたら、その国は、衰退の一途を辿るのではないでしょうか。

 

表向きは自国利益優先と発言するかもしれません。

改革にしても、法改正にしても、メリット部分を強調するかもしれません。

 

自らの影響下にあるマスコミを使って、報道をコントロールするかもしれません。

 

でも。

実際の行動が、実際の運用が、実際の結果が、どうであるのか。

 

深く考え、継続的にその経緯を見つめ「本当の国益」であるのか、見抜くことも必要ではないでしょうか。

テレビなどのマスコミの報道も一部の権力に偏っていることも否めません。

 

その政策が、その法改正が、本当に日本の国民のためであるのかどうか。

見極めることが、子どもたちの将来の日本を守ることにつながるのではないでしょうか。

 

優しい人が多い日本。

長年、周りを海で囲まれた島国であったことが「優しい日本人」を育んできたとも言えます。

 

ただ。

大陸では弱肉強食、国や民族での争いを続けてきました。

 

強い国が残り、弱い国が駆逐される。

様々な世界各地で繰り広げられた、残忍な世界史は物語っています。

 

裏切りや買収、陰謀や策略・・・。

国際政治は、様々な黒歴史を含みながら、今の世界を形成してきました。

 

アメリカやカナダはインディアンなどの様々な先住民が生活を営み、オーストラリアもアボリジニなど原住民が住んでいました。

アフリカや中東も、様々な侵略や民族紛争を続けてきました。

 

その中には、様々な策略や裏切り、買収が存在してきました。

これが現実の世界史ではないでしょうか。

 

日本人は、この危機意識が低いと言われています。

 

「魚は頭から腐る」ということわざがあります。

官庁、行政、病院、学校、飲食店やサービス業等々。

 

今、日本は津々浦々、地方にも、様々なところで劣化が進んでいます。

政治が、経済に大きな影響を及ぼし、そして私達日本人の生活にも大きな影響を与えていきます。

 

政治が自国をないがしろにするならば、その影響は、官僚やマスコミも、様々な業界団体、業種、地域にも幅広く影響が広がっていくのではないでしょうか。

コロナ以降、世界各国は保守的な考え方に移行しています。

 

国際政治では、ワクチン政治、マネー戦争、宗教対立など様々な思惑が錯綜しています。

それぞれの国が、それぞれの国益を最優先し、大国が多くの国を翻弄する時代です。

 

日本、そして日本人を守るのは、日本の政治リーダーの役目ではないでしょうか。

 

保守でも、リベラルでも、かまいません。

大事なのは、日本を、日本人を、守ることができるのかどうか。

 

他国のためではなく、自国のために。

日本のために。

 

今、私たちの置かれている状況は、今後の日本の未来を決定づける、重要な時期に差し掛かっているのかもしれません。

 

本当の意味での「自由」で「民主」的な国を目指して。

 

憲法改正は日本国民の意思ではなく、今回もまたアメリカの意思で決まるのか?~安倍首相の危険な最終目標、徴兵制復活~

【今日の気になったニュース・記事】

 

2,000社以上の経営者と面談した、元東証一部上場のベンチャーキャピタリストが厳選!

新旧問わずに、その日、気になったニュースをピックアップ!

新しいニュースから、古い記事まで「新たな発見」をお届けいたします。

 


【本日のニュース・記事】

 


憲法改正は日本国民の意思ではなく、今回もまたアメリカの意思で決まるのか?

ヤフーニュース(2017/6/1)山田順

 


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だいたいトランプは、選挙期間中、日米安保の片務性、米軍駐留経費を不公平として、「全額払え。そうしなければ撤退もありえる」と言ったことがある。

 

しかも、NYT紙やWP紙のインタビューで、「もし中国が日本を攻撃したらどうするか?」という質問に対して、「アメリカが一歩引いても、日本は自ら防衛できるだろう。日本は中国との戦争に勝ち続けた歴史がある」などと、ピント外れのことを平気で言っていた。

 

彼は安倍首相との会談で、「アメリカは100%日本と共にある」と言ったが、いっしょに戦うとは言っていない。

それに、この大統領は嘘つきだ。

 

アメリカはいかに同盟があろうと、同盟国の戦争に自動参戦などしない。

第一次大戦でも第二次大戦でも、どんなに英仏が窮地に立たされても参戦しなかった。

 

第二次世界大戦アメリカが参戦したのは、日本に真珠湾を奇襲されたからであり、それでも独伊には宣戦布告をしなかった。

独伊のほうが、日本が攻撃したから仕方なくアメリカに宣戦布告をしたのである。

 

かつて、アーミテージ国務副長官(当時)は日本プレスクラブでの記者会見で、「安保条約は、日本あるいは日本の施政権下にある領土に対するいかなる攻撃も、米国に対する攻撃とみなされることを定めている」と述べた。

これは2004年のことで、当時は、尖閣問題も北朝鮮問題も深刻化していなかった。

 

先日のこのコラムで書いたが、アメリカ国内には、北への先制攻撃論が根強くある。

ジョン・マケイン上院議員とともに共和党穏健派を代表するリンゼー・グラム上院議員がその筆頭だ。

 

彼は、大統領は米本土を守る責任があるとし、北を攻撃せよと主張している。

それとともに、アメリカ国内で、高まってきたのが、「日本に改憲させろ」という声だ。

 

民主党共和党を問わず、こう主張する議員がいる。

昨年夏の大統領選挙中にトランプは、日本の核保有を容認する発言をしたことがある。

 

このとき、バイデン副大統領(当時)は、トランプをバカにして「彼は私たちが書いた憲法で日本が核兵器保有国になれないことを理解していない」と批判した。

アメリカでは、日本国憲法アメリカ(マッカーサー)が書いて日本に与えたのは常識である。

 


だから、今回もまた、書き換えさせろと言うのだ。

そんな声を代表して、5月9日のWSJ紙は、オピニオン欄で「Japan’s Constitutional Gamble」(日本の憲法ギャンブル)という記事を掲載した。

 

この記事の主張は、北朝鮮や中国の脅威が高まっているいま、日米は共同して防衛と抑止に努めなければならないが、第9条を持つ日本国憲法はそのためのリスクになっているというものだ。

憲法第9条が集団防衛を阻んでいるからだ。

 

つまり、この状況をなんとかすべきと、暗に示唆している。

WSJ紙の主張は、アメリカ国民と議員たちの主張の代弁と思っていい。

 

トランプが日米安保の片務性を批判したように、いまや憲法も批判の対象になっている。

 

たとえば、民主党のブラッド・シャーマン下院議員は「日本は私たちが攻撃されても憲法を口実に助けようとはしないから、私たちは尖閣諸島を守る必要はない」と主張している。彼は、「北朝鮮のテロ指定国家を解除すべきではなかった」とも言っている。

 

初外遊を「どこにいってもホームラン」などと自慢するトランプの定見のなさ、不誠実さは、いまや世界中に見透かされている。

ドイツのメルケル首相は彼を完全に見放し、「もうアメリカを頼らない」と宣言した。

 

中国の習近平主席も、北朝鮮金正恩党委員長もトランプを舐めきっていると見ていい。

しかも、アメリカ国内では、今後、ますますトランプ弾劾の動きが強まっていく。

 

ブックメーカーによる弾劾のオッズ(2017年中)は、つい先日までは2/1(3倍)だったが、先週から1/1(2倍)になった。

弾劾が近づくと、そこから目をそらさせるため、このナルシスト大統領トランプはなにをしでかすかわからない。

 

北朝鮮を本当に先制攻撃するかもしれない。

かつて、弾劾裁判にかけられることになったクリントンは、アフガニスタンスーダンへの爆撃を行い、「スキャンダルから目をそらさせるためだ」と散々批判された。

 

そして今週、とうとう3番目の空母打撃群ニミッツ艦隊が派遣された。

これで、3打撃群体制となり、北朝鮮攻撃の準備は整った。

 

とはいえ、日本の本当の脅威は、北朝鮮より中国だろう。

中国の拡張主義は、これ以上放置しておくと、わが国の安全保障にとって最大の障壁となる。

 

民主主義を尊重せず、外交を国益拡大の手段としか考えない拡張主義国家が存在する限り、日本が日本国憲法内に留まることは危険である。

中国にも北朝鮮にも、政治に「公正」と「信義」が存在しない。

国民の「自由」も存在しない。

 

それなのに、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」を守っている場合ではない。

憲法を改正するのは、とりあえず第9条を、次のようにすればいいだけだ。

 

原文《第9条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。》

 

改正《9条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求する。2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力を保持する。》

 

安倍首相はもっと明確に、このままでは憲法によって、日本は自国防衛ができない。

平和と安全を維持できない。

 

アメリカにも見捨てられる。それでいいのか?と、国民に伝えるべきだ。

このままいくと、またもアメリカの圧力で新憲法をつくることになる。

 

それでもいいのだろうか?

 


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憲法改正は日本国民の意思ではなく、今回もまたアメリカの意思で決まるのか?
ヤフーニュース(2017/6/1)山田順
https://news.yahoo.co.jp/byline/yamadajun/20170601-00071588/

 

 

 

 

 

 

本日は3つの記事をご紹介いたします。


2つ目の記事はこちらです。

 

 

 

 

 

憲法よりも国会よりも強い、日米「秘密会議」の危ない実態~これが日本の現実だった~

週刊現代講談社)2017.10.24(田原総一朗×矢部宏治)

 


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自民党衆院選大勝を受けて、安倍晋三首相は今後、日米同盟の強化を図りながら、北朝鮮の脅威に立ち向かっていくという。

 

だが、ちょっと待ってほしい。

その勇ましい強硬路線は、本当に日本のためになるのか? 

 

結局、アメリカの都合のいいように利用されるだけではないのか?

アメリカが日本を支配する構造を解き明かしたベストセラー『知ってはいけない――隠された日本支配の構造』の著者・矢部宏治氏と田原総一朗氏が、徹底議論。

 

戦後、日本がずっとアメリカの「いいなり」であったことの理由や北朝鮮ミサイル危機の行方、さらには、日本がアメリカに核兵器を持たされる可能性について、意見を交わした。

まず、田原氏が着目したのは、在日米軍の特権が認められた、不当ともいえる日米地位協定だった――。

 

 

・日米間で結ばれた密約

 

田原: 最初の最初から、おうかがいしたいんですが、そもそも矢部さんが日米地位協定に関心をお持ちになった理由は何ですか?

 


矢部: きっかけは、2010年に鳩山由紀夫政権が「何か、わけのわからない力」によって退陣したことです。問題は沖縄の米軍基地にあるらしいというので、私は沖縄の基地すべてを撮影する書籍の企画を立て、写真家と二人で沖縄に撮影に行ったのです。ここがスタートですね。

 


田原: なるほど。鳩山首相が辞任せざるを得なくなったと。それは一般的に、普天間の移設先を辺野古ではなく「最低でも県外」と言ったことに起因していて、鳩山さんはどうも徳之島をその候補として考えていたらしいけど、その徳之島がダメになった。

それで結局、アメリカと交渉して辺野古を認めざるを得なくなり、沖縄を裏切るかたちで鳩山さんは首相を辞任したわけですが、矢部さんが沖縄を訪れて最初に「これは大変なことだ」と思ったのは、どういう点でした?

 


矢部: 沖縄では、米軍機が民家の上を低空飛行していたことですね。ものすごい低空飛行をしていますから。

 


田原: アメリカ国内ではもちろん、沖縄でも米軍の宿舎の上を米軍機は低空飛行しない。ところが、日本人の民家の上は平気で飛んでいる。

 


矢部: その区別がわかったのは撮影後、かなり経ってからなんですけれど、要するにアメリカ人の人権は守られているのに、日本人の人権に関しては一切ケアされていません。

それはなぜかというと、日本には航空法特例法というものがあり、米軍機は安全基準を守らなくても飛行できることになっている。ですから、米軍住宅の上は飛ばないけれど、日本人の住宅の上はいくら低く飛んでもいいという、ものすごくグロテスクな状況が起こっているのです。

 


田原: 今回矢部さんの出した本の8ページには、たとえば「アメリカは日本国内のどんな場所でも基地にしたいと要求することができる」と書いてある。

しかも、「日本は合理的な理由なしにその要求を拒否することはできず、現実に提供が困難な場合以外、アメリカの要求に同意しないケースは想定されていない」ということが、なんと外務省が1983年12月につくった高級官僚向けの極秘マニュアルに記されている、と。

これ、どういうことなんですか? まあ占領下ならともかく、なんで戦後40年近く経った1983年の段階で、こんなことが通用したの?

 


矢部: それが今日、本当に説明したかった点なんです。1952年にできた日米行政協定が改定されて1960年に日米地位協定となったのですが、この地位協定をよく読むと、アメリカは日本国内の基地と区域の使用を許可されると書いてある。

さらに米軍は日本国内の米軍基地や区域に出入りし、その基地と基地や、それらと日本の港や飛行場との間も自由に移動できるという特権についても、記されています。

 


田原: だけど、これについてはね、1951年に締結された最初の吉田安保はこのとおりだったんですよね。でも、1960年に改定された岸安保では、事前に日本政府と相談をしてOKを得なきゃダメだっていうふうになったのでは?

 


矢部: そこで出てくるのが、改定のウラで結ばれていた密約なんです。日本国内における米軍基地の使用と米軍の法的地位は、行政協定にかわる地位協定によって規律されると。

 


田原: そうすると、地位協定はできたけれども、実は52年の行政協定がそのまま続く。

 


矢部: そうです。それで、この密約ですね、在日米軍の基地権は、地位協定の改定された文言の下で、行政協定の時代と変わることなく続くと。

 


田原: これは、岸信介は知っているわけ?


矢部: もちろん知っています。


田原: 知っていて密約を結んだ。


矢部: その通りです。

 


田原: 岸が仮に裏があることを承知でやらざるを得なかったとしてね、現在までそれが続いているというのは、その後の総理大臣はどうしているんですか?

 


矢部: だから、みんな知らないんです、そうした密約を。


田原: なんで知らないんだろう?


矢部: 引き継ぎがないんです、一言でいうと。


田原: 「ない」っていったって……。


矢部: 僕もそれはびっくりしたんですけど。


田原: 官僚も言わないの?

 


矢部: 官僚も知らないです。なぜかというと、これは、元外務省国際情報局長の孫崎享さんがおっしゃっているんですけど、外務省でしかるべきポストに就いたとしても、ちゃんとした情報がもらえるのは、その地位にいる3年間ぐらいだけだと。その前後のことは、よくわからないというふうに証言しています。

 


田原: なんで調べようとしないの?


矢部: 密約について日本の外務省には、政権が変わったら引き継がなくていいという悪しき伝統があるんです。


田原: でも、守ってるんでしょう?

 


矢部: もちろん米軍側に文書があるから、守らざるを得ない。だからこっちは否定するけど、いざとなったら力で押し切ってくれてかまわないという「暗黙の了解」があるわけです。

 

 

・東京のど真ん中で秘密会議

 

田原: 話は飛ぶけど、日米合同委員会っていうのがあるんですね。これ、僕は矢部さんの本で初めて知ったんだけど。できたのは……。

 


矢部: 1952年ですね。日本のエリート官僚と在日米軍の幹部が月に2度ほど、都内の米軍施設(南麻布にあるニューサンノー米軍センター)と外務省で行っている秘密の会議です。

ここで決まったことは国会に報告する義務も外部に公表する必要もなく、何でも実行できる。つまり、合同委員会は、日本の国会よりも憲法よりも上位の存在なのです。

 


田原: 合同委員会の日本側のトップが外務省の北米局長で、ほかに法務省大臣官房長や防衛省地方協力局長などがいる。一方、アメリカ側のトップは在日米軍司令部の副司令官で、メンバーのほとんどが軍人ですね。1952年にできて、まだ続いているんでしょう?

 


矢部: 65年間続いているんです。1600回ぐらい。


田原: 続いていることを、総理大臣は知らないわけ?


矢部: 鳩山さんは、合同委員会の存在そのものを知らなかったとおっしゃっています。

 


田原: 鳩山は民主党だからね。たとえば、中曾根(康弘)や小泉(純一郎)も知らなかったのかな?

 


矢部: あることは知っていたかもしれませんが、その実態については、知らなかったかもしれません。議事録がほとんどオープンになっていませんから。

 


田原: そういえば以前、石原慎太郎横田基地の返還と日米での共同使用を訴えていたことがあった。結局うまくいかなかったけど、なんでダメだったんだろう?

 


矢部: 外務省がまったく協力してくれなかったと石原さんは記者会見で言っていましたけど、合同委員会の実態を見ると、外務省が交渉してどうこうなるっていう話ではないんですよね。要するに、合同委員会で米軍側が決めたら、日本側はそれを聞き入れるしかないという関係なんですよ。

 


田原: 実は、森本(敏)さん(元防衛大臣)に、矢部さんの本に合同委員会のことが書いてあるよと伝えたところ、彼は知っていたんです。「自分も合同委員会に出たことある」と。そこで、「なんでこんなもの変えないんだ」と尋ねると、森本さんは「それを変えようという意見がどこからも出てこないんだ」と言っていた。

 


矢部: 合同委員会には本会議の他に、30以上の分科委員会があるんですが、森本さんは自衛隊から外務省北米局日米安保課に出向していた時期があるから、そのころ出ていたのかもしれませんね。

ちなみに合同委員会のアメリカ側のメンバーには、一人だけ外交官がいます。それはアメリカの大使館の公使で、つまりアメリカ大使館のナンバー2なのですが、これまでの何人かはものすごく批判しています、その体制を。

なぜかと言うと、それは当たり前の話で、本来、日本政府と交渉して、決まったことを軍部に伝えるのが自分たち外交官の仕事なのに、頭越しに軍が全部決めちゃっている。これはおかしいと、ものすごく怒っているんです。

 


田原: 一番の問題はね、なんで日本側がね、日米地位協定にしても日米合同委員会にしても、それをやめようと言わないのかと。言ってみりゃこれは、日本はまだアメリカに占領されているようなものですよ。独立したのに。

でも、いまの体制を続けたほうが得だと思っているのかな、実は。アメリカの従属国になっていることで、安全なんだと。そのために自衛隊も戦う必要もないし。現に72年間、戦死者は1人も出なかったと。平和だったと。それで、経済は自由にやってりゃいいと。

 


矢部: とくに冷戦時代は、軍事的にも守ってもらえるし、経済的にも優遇してもらえるし、日本にもすごくメリットがあったんですよね。だから変えられなかったんだと私も思います。

 

 

・「核の傘」に意味はあるのか

 

田原: 歴代総理大臣はこれまで、憲法九条を盾に、アメリカの戦争には巻き込まれないようにしてきた。たとえば佐藤(栄作)内閣のときに、アメリカが「ベトナムに来いよ、自衛隊、一緒に戦おう」と。佐藤はそれに対して、「もちろん一緒に戦いたい。ところが、あなたの国が難しい憲法を押しつけたから、行くに行けないじゃないか」と返している。

小泉のときも、ブッシュから「一緒にイラクへ来て戦ってくれ」と求められたので、「行くには行くけれども、あなたの国が難しい憲法を押しつけたから、水汲みにしか行けない」と言って水汲みに行ったの。

その一方で、山崎拓から「憲法改正しよう」と持ちかけられた小泉は2005年、舛添(要一)とか与謝野(馨)、船田(元)らに「新憲法草案」をつくらせるじゃない。

これは2012年の「日本国憲法改正草案」よりよっぽどいいと僕は思っているんだけど、山拓が「さあ、草案をつくったんだから憲法改正を打ち出そう」と小泉に言っても、小泉は「いや、郵政民営化が先だ」と。頭に来た山拓が僕に電話を掛けてきたんです。「小泉の野郎に逃げられた」と。小泉もやっぱり、憲法改正しないで、従属したほうが得だと思ったの。

 


矢部: 今年8月の内閣改造で沖縄及び北方担当大臣になった江崎鉄磨さんも、就任直後に地位協定を見直すべきだって発言したあと、すぐに引っ込めましたよね。

 


田原: 日本は「核の傘」の下でアメリカに守ってもらっている。だから、今年7月、国連で採択された核兵器禁止条約に日本は反対したし、条約の交渉会議にも出なかった。アメリカの従属国のままのほうが、安全だと思っているのかな。

 


矢部: いままではそうでしたけど、今回、北朝鮮のミサイル問題を見てもわかるとおり、核の傘なんて何の意味もありませんし、かえって危険だという状況はありますよね。

 


田原: もしね、北朝鮮が核を持てば、韓国も核を持とうとするでしょう、当然。日本も持とうとするんじゃない?

 


矢部: うーん。持とうとするというか……。

 


田原: 日本が核を持つのに、一番反対したのはアメリカなんだよ。僕はキッシンジャーに、そのことを何度か聞いたことがある。絶対反対だと。

 


矢部: ところが、いまはむしろ、持たされる可能性が高い。


田原: トランプがそう言ってるじゃない、大統領選挙のとき。

 


矢部: ですよね。1970年代にヨーロッパで起きたことですが、中距離核ミサイルを持たされて、ソ連とヨーロッパが撃ち合いの状況をつくられてしまった。でもアメリカはその外側にいて、自分たちは絶対安全と。そういう体制が今後、日本・韓国と中国・北朝鮮の間でつくられてしまう可能性があります。

あと、今日はもう一つ、田原さんにどうしてもお話ししておきたいことがあるんです。安倍首相が2015年に安保関連法を成立させて、集団的自衛権の行使が認められるようになりましたよね。もう、あれで自衛隊は海外へ行けるわけですから、米軍側の次の課題っていうのは憲法改正とかじゃなくて、違うフェーズに移っているということを、いま調べているんです。具体的には全自衛隊基地の共同使用なのですが。

 


田原: どういうこと?

 


矢部: 要するに、すべての自衛隊基地を米軍と自衛隊が一緒に使って、米軍の指揮の下で共同演習をやるようになるということです。たとえば静岡県にある富士の演習場というのは、もともと旧日本軍の基地で、戦後、米軍基地として使われていました。それが1968年、自衛隊に返還されたのですが、その際、年間270日は米軍が優先的に使うという密約が結ばれていたのです。

 


田原: いまでもその密約は続いているの?


矢部: ええ。年間270日ですから、日本に返還されたと言ってたら、事実上、米軍基地のままだったわけです。


田原: 本当は米軍基地じゃないんでしょう? 残ってるわけか、少し。

 


矢部: ちょっとだけ残っているんですよね。全部米軍基地だったのを少しだけ残して、いちおう日本に返したのですが、密約で270日間は自分たちが使うと。そうすれば、基地を管理する経費がかからないし、米軍基地じゃなくて自衛隊基地のほうが周辺住民の反対運動も少ないので、はるかに都合がいいんです。

下手したらね、たとえば辺野古ができたあと、普天間を日本に返して自衛隊の基地にする、でも米軍が優先的に使いますよ、ということだってあり得るわけです。ですからこれから日本では、米軍基地の返還が進み、表向きは自衛隊基地なのにその実態は米軍基地、というかたちがどんどん増えていくかもしれません。

どのような政権枠組みになるにせよ、今後厳しく注視していく必要があります。

 

 

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憲法よりも国会よりも強い、日米「秘密会議」の危ない実態~これが日本の現実だった~
週刊現代講談社)2017.10.24(田原総一朗×矢部宏治)
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/53252?page=5

 

 

 

 

 

最後3つ目の記事はこちらです。

 

 

 

 

 


■安倍首相の危険な最終目標 徴兵制復活、上世代に雇用奪われた若年層を戦地へ派兵の懸念

Business Journal 2014.12.13

 


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衆院選投票日が今週末14日に迫っているが、国民の関心は薄く、報道機関の世論調査でも「関心がある」と答えているのは全体の6割でしかない。

 

年代別でみると、70代以上が最も関心が高く8割に迫る水準だが、20代は4割強でしかなく、実際に投票に行くかどうかとなると世代間の差はさらに広がる可能性が高い。

このことは、70代以上の意思が国民の意思になり、若年層の利益と高齢者の利益が相反しても、国政には高齢者の利益しか反映されないことを意味する。

 

そんな若年層が投票日までに目を通しておくべきだと考えられるのが、『自民党憲法改正草案にダメ出し食らわす!』(合同出版)である。

著者は司法試験予備校伊藤塾の塾長であり、憲法研究をライフワークと位置づけている護憲派伊藤真弁護士と、改憲論者で「コバセツ」の愛称で知られる小林節慶応義塾大学法学部教授。

 

2人の対談形式になっており、実際に読む部分は137ページしかない薄い本で文字も大きい。

内容も平易な上に衝撃的で、決して眠くなるような内容ではない。

 

2~3時間で読めるので、特に20~50代の方にはぜひとも読んでほしい。

なぜ20~50代なのか。

 

それは安倍晋三首相という政治家の悲願実現の暁には、最も被害を被る層だからなのだが、詳細は後述する。

同書は昨年7月に刊行されたもので、自民党がまだ野党だった2012年4月に発表した、同党の、というよりは安倍首相が考えた憲法改正草案を批判した本である。

 

ポイントは、改憲論者の小林氏ですら徹底的に批判しているという点だ。

 

『NEWS 23』(TBS系)キャスターで毎日新聞政治部特別編集委員岸井成格氏も、テレビ番組でこの改憲案を「あまりにも幼稚な内容で、いくら野党になったからといって、こんな無分別なものをつくるとは、とあきれ、政治部の記者は相手にしなかった。だがそれがいけなかった。即座に徹底的に批判すべきだった」と語っている。

 

筆者は経済専門の記者で、社会部系でも政治部系でもなく、人権に関する報道を熱心にやってきたわけでもない。

 

従ってこの憲法改正案の内容をほとんど知らなかったのだが、同書を読んで仰天した。安倍首相は、改憲こそが最終目標であり、集団的自衛権容認は何がなんでも実現したいという悲願を持ち、それが国家にとって最善の道だと信じて疑わない政治家なのだということがわかる。

 

強い信念を持って正しいと信じて突き進む政治家ほど怖いものはない。

2年間の政権運営で、自分の信念は国民受けが悪いこともすでに承知している。

 

受けがいい経済政策を隠れ蓑にしながら票をかき集めないと、自分の信念は実現できない。

自民党総裁選が来年9月では、それまで安倍人気は持たない。だから今なのだ。

 

 

・権力者を縛る憲法があってこその立憲主義

 

同書で小林氏と伊藤氏の2人ともが一致して批判しているポイントは、憲法96条と99条に関する改正案。

両条文に共通するのは、「安倍首相は憲法憲法とは別のシロモノに変え、立憲主義を捨てたがっている」という点だ。

 

「国民を縛るのは法律。その法律のつくり手である権力者を縛るためのものが憲法」であり、「法の上に憲法があるのが立憲主義」だと記憶している人は少なく、両氏はそれこそが問題であり、日本国民は「立憲主義とは何か」を理解していないと指摘する。

 

憲法は英語で「constitution」であり、権力をカサに着て国民の人権を不当に侵害するような法律を、権力者につくらせないためのものだ。

そもそも権力者を縛ることを目的にしているのだから、主語は基本的に権力者でなければならない。

 

よって、国民については権利を盛り込むことはあっても義務を盛り込む余地はない。

ちなみに義務教育のくだりは「教育を受ける権利」を意味する。

 

現行憲法では、99条で「天皇、摂政、国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は憲法を尊重し擁護する義務を負う」としているのに、改憲案ではわざわざ102条を新説し、国民に対し憲法を守れとしている。

国民の義務を謳った新設条文はほかにもあり、「家族は互いに助け合わなければならない」として、本来憲法が踏み込むべきではない道徳に踏み込んでいたりする。

 

96条で憲法改正に必要な衆議院参議院での賛成数を3分の2と定めているが、これも過半数に緩和するとしている。

だが、これでは憲法が一般の法律程度の賛成多数で変えられるようになってしまい、それでは憲法憲法でなくなる。

 

一般の法律は定足数が総議員数の3分の1で、その過半数の賛成で成立する。

これと同じレベルにするということは、権力者である安倍首相が自らを縛る規律を大幅に緩めようとしているわけで、これは間違いなく立憲主義の否定になる。

 

天皇の権限を大幅に増やす条文が新設されていることについても、小林氏は「政治利用が行われ得ない様にすべき」と批判的だ。

公務員による拷問や残虐な刑罰を禁じた36条では、「絶対にこれを禁ずる」から「絶対に」だけが削除されている。

 

明確に「国防軍」という条文も新設されている。

とにかく全体的に、戦前の家父長制度を基本とし、国家の利益が個人の利益に優先する明治憲法への回帰を志向しているとしか思えない細かい「改正」箇所が随所に登場するのである。

 

 

・現実味帯びる徴兵制

 

当然、集団的自衛権を容認する前提で必要な改正も盛り込まれている。

今回の選挙の争点である経済政策、原発再稼働容認の有無、集団的自衛権容認の有無は、3点がセットである。

 

経済政策には賛成でも残り2つには反対という人が自民党に投票すれば、もれなく反対である残り2つにも賛成したことになってしまう。

自民党内に反対派が事実上おらず、政権与党内に誰も安倍首相を牽制できる政治家がいないからだ。

 

集団的自衛権について、安倍首相は海外の紛争地域での邦人保護など、耳当たりの良い事例だけを引き合いに出して説明しているが、要するに国民が国家から「海外へ行って人殺しをしてこい」と命じられることなのだ。

人間の約95%は人殺しをすると心を病むということが、科学的に立証されている。ボタン一つで人殺しができる現代でも、心を病む兵士は後を絶たない。

 

それでは海外へ行って人殺しをしろと国から命令されるのは一体誰か。多くの人は自衛隊員と答えるはずだ。

それでは「自衛隊員にあなたは志願しますか」「あなたの子供を自衛隊員にしますか」という質問をされたらどう答えるのだろうか。

 

自衛隊員には、任期がない隊員と、任期がある隊員がいる。防衛白書によれば、任期がない隊員は14年3月末時点で20万5333人、任期がある隊員は2万379人いる。

「曹」「准尉」「将」といった幹部クラスの人数は18万4983人と、5年前に比べると1230人増えている。

 

定員に対する充足率も96.8%と高水準だ。

だが、最下層の「士」は4万729人と、5年前に比べて4783人、率にして1割減っている。

 

この「士」は任期付きの隊員が半数を占め、その任期付きの隊員に限っていえば、2割も減っている。

「士」全体としての定員に対する充足率も72.6%と低水準だ。

 

集団的自衛権の容認が実現すれば、おそらく自衛官への志願者は激減するだろう。

ただでさえ18歳以下の人口は減少の一途を辿っている。

 

必要な頭数が揃わなくなれば、にわかに徴兵制度が現実味を帯びてくる。

実際に海外から派遣要請が来たときに、「頭数が揃わないので派遣できません」などと言えるわけがない。

 

 

・まったく戦争を経験していない世代

 

なぜ20~50代に本書を読んでほしいのかといえば、徴兵の対象になるのは、まさにこの年齢層だからだ。

今、小学校4年生の子供も10年たてば成人である。

 

だがこの層には選挙権はない。

30~40代は自分のことに加え、自分の子供の将来も考える必要がある。

 

太平洋戦争当時、応召の対象になった年齢は当初は20~40歳だったが、1943年に下は19歳に引き下げられ、上は45歳に引き上げられた。

翌44年に下は17歳に再度引き下げられている。

 

ストレプトマイシンが発見されるのは戦後なので、このときはまだ結核が死の病。

平均寿命は男性42歳、女性43歳。

 

それでも45歳まで応召されている。

今なら上は50歳、場合によっては55歳くらいまで引き上げられてもおかしくない。

 

男女平等だから女子もという話もあり得るかもしれない。

絶対安全なところにいて、なおかつまったく戦争を経験していないのが60代から上の世代だ。

 

戦前生まれでも、昭和一桁年後半あたり以降に生まれている世代は応召されていない。

それどころか、子供だったので疎開していて空襲すら経験がない人も少なくない。

 

35年(昭和10年)生まれは今79歳。

応召年齢が引き上げられた43年生まれは73歳。

 

第一次就職氷河期が到来した95年当時、雇用を守ってもらえた世代そのものだ。

若者の就職難は、中高年社員の雇用維持の反作用であった。

 

 

憲法解釈の変更を閣議決定でできる、と語った安倍首相

 

筆者の肌感覚では、この60~70代以上の層には、安倍首相と同じ考えを持つ人が他の世代に比べて多い気がする。

 

この層には「若者を叩き直すためには戦地へ行かせるのがよい」などと発言する人が多いが、自分は戦争を経験しておらず、それがどれだけ人の心に壊滅的なダメージを与えるのか想像がついていないからではないのか。

 

そしてこの世代こそが、最も選挙に熱心で投票率が高い。

この世代から仕事を奪われた20~50代は、今度は国から「国のために戦争に行ってこい」と言われかねない事態に現在陥っているということを、まったく自覚していない。

 

実際に戦地で人を殺した経験を持つ人の多くは、終戦70年近くたった今も、心理的ダメージゆえにその悲惨な経験を口にすることができないといわれる。

応召された最年少世代がすでに87歳。経験を口にすることなく鬼籍に入る人はどんどん増えている。

 

とにかく安倍首相は、憲法解釈の変更という重大な決定を閣議決定でできると言ってのけた人物である。

高齢者はあなたたちを守ってはくれない。

 

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■安倍首相の危険な最終目標 徴兵制復活、上世代に雇用奪われた若年層を戦地へ派兵の懸念
Business Journal 2014.12.13
https://biz-journal.jp/2014/12/post_8272.html

 

 

 

 

 

 

昨今、子どもたちに人気のオンラインゲーム「Fortnite(フォートナイト)」はご存じでしょうか。

小学生や中学生に大人気の「戦争ゲーム」です。

 

アメリカ企業「Epic Games(エピックゲームズ)」が運営するゲームなのですが、すごいのがその「リアル感」。

まるで本物の「銃」を打っているかのような臨場感です。

 

火力の大きい「銃」を打つと、その反動や衝撃をも、リアルに映し出されるほどの「完成度」なのです。

相手を倒すために「ヘッドショット」と呼ばれる頭を打ち抜き、一発で仕留めることが最高の技術と評されています。

 

まるで、日本の子どもたちに「リアル戦争の技術」を学ばせているかのような、完成度の高いゲームです。

ただ、同じチーム内でも殺しあうことができる仕組みや、「キック」と呼ばれる仲間外れの仕組みなどもあり、いじめの原因にもなると言われています。

 

一部の親からは、非常に評判の悪いゲームでもあります。

ただ。

 

この戦争ゲームと現実の戦争。

少し懸念点としてあるのが、今の日本の状況です。

 

欧米諸国と、急激に成長を遂げている中国との「戦争リスク」です。

実際、コロナが世界を席巻してから、世界各国は保守的な思考に移行し、自国国益ファーストを強めてきました。

 

食の輸入や水道資源の確保、自国での製薬事業の強化、医療体制の補強など、多くの国は様々な面で自国防衛を強化しています。

一方、日本は「無策」を続けています。

 

ワクチン政策では、欧米ワクチンを最優先し、自国産ワクチンを軽視。

オリンピックは欧米主導のIOCの言いなりで「ノー」と言えない状況。

 

安倍政権発端の「食」輸入や水道民営化の外圧の言いなりの状況。

このままでは、日本国民の「健康」や「命」をも、欧米の意思決定に委ねてしまうリスクまで現実性を帯びてしまいます。

 

昨今、米中戦争のリスクは高まっています。

自衛隊と米軍の軍事共同訓練では、自衛隊が米軍の実質指揮の下で動いている、というニュースも各所で見受けられます。

 

もし、自衛隊が、米軍の実質指揮下で動いているとしたら。

万が一、米中戦争勃発した際には、自衛隊が対中戦争の最前線で戦争する羽目になるという、最悪のケースも考えられる状況ではないでしょうか。

 

アメリカやイギリス主導で始めた対中戦争に、日本の意思ではない「自衛隊参加」の戦争となる可能性があるのかもしれません。

平和憲法日本国憲法」は戦争参加を否定しています。

 

ただ、この憲法改正を進めているのが、安倍元首相だと言われています。

もし、憲法改正自衛隊による戦争が可能となった場合、最も恐れる事態が起こる可能性があります。

 

米中戦争に、自衛隊が最前線となるリスクです。

当然、自衛隊が参戦したら、日本国土も、一般日本国民も、戦争に巻き込まれるでしょう。

 

すべてを他国に依存してしまうことは、他国の国益に巻き込まれることにつながります。

巻き込まれるだけならまだましです。

 

都合の良い形で使われ、多くの命を他国の指示で失う、という最悪のケースも考えられます。

アメリカは同盟国です。

 

ただ、盲目的に依存するのでは、大きなリスクを背負ってしまうのではないでしょうか。

同盟国でも、一線を画し、言うべきことは言う、伝えるべきことは伝える。

 

しっかりと「ノー」と言える関係は重要かもしれません。

なぜか、日本政府も、日本のマスコミも、対中国批判に一生懸命。

 

一方、対米従属のリスクや危険性を報道するニュースは一切見られません。

まるで政府も、マスコミも「アメリカ一辺倒」のように感じられます。

 

アメリカは、対中ミサイル配備に、日本の国土が最有力というニュースもありました。

今後、欧米諸国と中国との戦争が現実味を帯びてきた際、地理的な最前線はまさに「日本」です。

 

麻生元総理も、日米による対中国との有事の可能性について発言しています。

そして、この状況でさらに懸念されるのが「徴兵制」ではないでしょうか。

 

もし、万が一、憲法改正と、徴兵制が実現されたとしたら・・・。

日本の子どもたちの存亡、そして日本そのものの存亡に直結するでしょう。

 

今、子どもたちが夢中でやっているゲーム「フォートナイト」。

そのゲーム技術が生かされるという「最悪の未来」も、その可能性は否定できない状況ではないでしょうか。

 

憲法改正自衛隊明記を宣言している安倍元総理。

対中有事に言及した麻生元総理。

 

米国一辺倒の議員は、この事態をどのように考えているのでしょうか。

正しく憂いているのでしょうか。

 

それとも・・・・。

 

 

 

 

 

 


【参考資料】

 

 


■米、対中ミサイル網計画 配備先、日本は「最有力候補」

「米国は配備先として第1列島線の延長線で中国に近接している日本国内を最有力候補地と考えており、実際に配備となれば、日本は米中対立の最前線として軍事的緊張を強いられることになる」

朝日新聞 2021年7月8日

 

 

 

■なぜ日本はアメリカの「いいなり」なのか?

・知ってはいけないウラの掟

「日本の空は、すべてアメリカに支配されている」

自衛隊は米軍の指揮のもとで戦う」

週刊現代講談社)2017.08.05 矢部宏治


https://gendai.ismedia.jp/articles/-/52466

 

 

 

 

 


■なぜアメリカ最優先なのか?

・なぜそこまでアメリカを優先するのか

・米国の「言い値」で高額な武器を購入

― 安倍政権[米国ゴマスリ政策]リスト ―

日刊SPA!(2018年03月01日)横田一


https://www.google.com/amp/s/nikkan-spa.jp/1456868/amp

 

 

 

 


■「属国」という最悪の形態

「安倍政権とそれを取り囲む縁故政治受益者たちの群れはもうアメリカから独立して国家主権を回復するような壮図はありません」

(ハーバー・ビジネス・オンライン:扶桑社 2019/12/23)<内田樹氏>

 

 

 

【日本に“危険食品”大流入危機】安倍政権が切り捨てる日本の食と農。日本だけが輸入する危険な食品~発がん性ある米国産牛肉等輸入急増~

【今日の気になったニュース・記事】

 

2,000社以上の経営者と面談した、元東証一部上場のベンチャーキャピタリストが厳選!

新旧問わずに、その日、気になったニュースをピックアップ!

新しいニュースから、古い記事まで「新たな発見」をお届けいたします。

 


【本日のニュース・記事】

 

■安倍政権下、発がん性ある米国産牛肉等の輸入急増…EU輸入禁止ホルモン剤使用

Business Journal 2020.01.29

 


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2018年12月30日に発効した、米国を除く環太平洋経済連携協定(TPP)参加11カ国の協定「TPP11」、19年2月1日に発効した日EU経済連携協定、そして今年1月1日に発効した日米貿易協定。


これにより、世界のGDPの59%、貿易額23兆ドル、人口13億4000万人という巨大市場が形成され、日本はかつて経験したことのないメガ食料輸入自由化に直面することになった。

これらの貿易協定で、農水産物の関税削減・撤廃がなされ、これまで以上に農畜産物が輸入される。


TPP11により牛肉と豚肉の関税が削減され、TPP11発効半年で牛肉輸入量は前年同期比5%増の24万5720トンに及んでいる。

カナダ産(同82%増)、ニュージーランド産(同56%増)の輸入も急増している。


同様に豚肉輸入量は同4%増の39万4913トンに上り、メキシコ産(同13%増)、カナダ産(同4%増)の輸入が目立っている。

そして日米貿易協定により米国産の牛肉、豚肉、農産物が雪崩を打つように輸入されることになる。


現に1月に入り大手スーパーなどでは米国産の牛肉や豚肉の大幅値引きセールが展開されている。

しかし、安い牛豚肉が手に入ると喜んではいられない事態に日本の食卓は直面している。


輸入牛肉は、米国産、オーストラリア産、カナダ産、ニュージーランド産牛肉ともに発がん性が指摘され、EUやロシアや中国で輸入が禁止されている成長促進ホルモン剤が使われた牛肉が、日本に輸入されている。

米国産牛肉は、成長促進ホルモン剤の使用が禁止されている国産牛肉に比べて、女性ホルモンのエストロゲンが600倍も高いという検査結果も出ている。


オージービーフとして定着しているオーストラリア産牛肉にも成長促進ホルモン剤は使われている。

輸入牛肉の輸入量の増加に伴い、乳がんなどのホルモン系がんが増加しているというデータも公表されている。


それだけではない。

アメリカをはじめほとんどの輸入豚肉には、成長促進目的の飼料添加物である塩酸ラクトパミンが残留している。


発がん性があるとしてEU、中国、ロシアでは塩酸ラクトパミン残留の豚肉の輸入を禁止している。

また、β作動薬作用があり、心疾患を持っている人は摂取を避けるべきだと指摘されている。

 

・ポストハーベスト農薬問題

 

チーズも輸入が急増している。

昨年2〜6月のEU産チーズの輸入量は4万6000トンで、前年同期を20%上回っている。


輸入チーズはインフルエンザ様の症状を招き、妊婦の流産を引き起こすリステリア菌の汚染が懸念されている。

また、輸入チーズに抗生物質のナタマイシンが保存料として使われていることも知られていない。


以前は、日本は食品への抗生物質使用を禁止していた。

そのため、抗生物質を含有しているとしてナタマイシン使用のチーズは輸入が禁止されていた。


それが外圧で使用が認められ、今や堂々とナタマイシン含有チーズが売られている。

関税撤廃された果実の輸入も急増している。


昨年1~5月のブドウの輸入量は、TTP 11で関税撤廃されたため、前年同期比3割増の2万6728トンにも及ぶ。

同様に昨年1~7月のリンゴの輸入量も関税削減され前年同期比33%増の4764トンで、過去10年で最高水準となっている。


懸念されるのが、残留濃度が高いポストハーベスト農薬である。

これまで柑橘系に使われてきた防カビ剤の大量使用でカビに耐性ができ、新たな防カビ剤の使用が増えている。


フルジオキソニルやピリメタニルなどの新防カビ剤は、輸入リンゴにも使用が認められている。

輸入小麦を原料としている食パンから、15年3月に国際がん研究機関(IARC)によって「ヒトに対しておそらく発がん性がある」と結論づけられた発がん物質グリホサートが検出されたことは、消費者に衝撃を与えている。


農民連食品分析センターが、流通している食パンおよび菓子パン15製品を検査し、そのうち食パン9製品、菓子パン2製品からグリホサートを検出(痕跡を含む)した。

さらに、日本政府は17年12月に海外農薬メーカーの求めに応じて、グリホサートの残留農薬基準の大幅緩和を実施した。


これにより残留農薬基準は、以下の通り大幅に緩和された。


・小麦:5→30ppm

ライ麦:0.2→30ppm

・トウモロコシ:1→5ppm

・そば:0.2→30ppm

・ごま種子:0.2→40ppm


今回のメガ輸入自由化で、グリホサート高濃度汚染小麦が、これまで以上に日本に輸入してくるのである。

このように、日本の食卓は発がん物質に汚染された農畜産物に占拠されようとしている。

 


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■安倍政権下、発がん性ある米国産牛肉等の輸入急増…EU輸入禁止ホルモン剤使用
Business Journal 2020.01.29
https://biz-journal.jp/2020/01/post_138868.html

 

 

 

 


本日は3つの記事をご紹介いたします。


2つ目の記事はこちらです。

 

 

 

 

【安倍政権】米余剰トウモロコシ輸入決定 日本に“危険食品”大流入危機

日刊ゲンダイ講談社)2019/08/27

 


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トランプ大統領に米国産牛肉や豚肉の市場開放をのまされた安倍首相。

さらに“おまけ”とばかりに、米国で余った飼料用トウモロコシ250万トンの購入まで押し付けられた。


トランプは「中国がトウモロコシ購入の約束を反故にした」「安倍首相が全て買ってくれる」と大喜び。

実は、このトウモロコシが厄介なのだ。


米国のトウモロコシは、雑草を除去する「除草剤」の耐性を持たせるため、遺伝子組み換えが大半だという。

鳩山由紀夫元首相は26日、〈このトウモロコシは遺伝子組み換え作物と思われる〉とツイート。


農業問題に詳しいジャーナリストの天笠啓祐氏は、「米国産トウモロコシの約9割が遺伝子組み換え」と日刊ゲンダイに語った。

食べると動物や人体に悪影響を及ぼす恐れがある。


フランスの大学教授の実験だと、組み換えエサを2年間、食べ続けたマウスの50~80%ががんを発症。

米国環境医学会は09年、「アレルギーや免疫機能、妊娠や出産に関する健康」に悪影響を及ぼすと発表したほどだ。


日本では基本的に、食品や飼料の原料に遺伝子組み換えの農作物を使用する場合、商品に明記することが義務付けられている。

消費者庁は公式HPで〈健康や環境に対しての問題を引き起こすことがあってはなりません〉とうたっている。


米国から大量に入ってくる危険なエサで育った牛や豚を、ヒトが食べて大丈夫なのか。

「間接摂取については研究が進んでおらず、詳細は不明。しかし、危険性がないとは言い切れないでしょう。多くの消費者から不安の声が上がっています」(天笠啓祐氏)

 


・中国は「怪しい作物」を徹底拒絶

 

実は、輸入を拒否したという中国は、遺伝子組み換えの農作物を危険視しているという。

購入拒否の原因は貿易摩擦というより、危険な農産物を忌避した可能性がある。


「この数年、中国政府は国産農作物の安全性を、米国や国際社会に向け徹底アピールしている。いわくつきの作物を受け入れるつもりはないということ。今回の購入拒否は『危険な遺伝子組み換え作物は使わない』という意志の表れだろう」(在中ジャーナリスト)


安倍首相は今回の貿易交渉で、牛肉の関税引き下げ、豚肉については将来的に撤廃する方針を受け入れた。

国内農家からは、早速「輸入拡大につながる恐れがある」との声が上がっている。


トランプに「シンゾー、また農作物を買ってくれよ」と言われれば安倍首相は断れない。

今後は、飼料用の危ないトウモロコシだけでなく、ヒトが直接食べる危険な農産品が大量流入してくる恐れがある。


遺伝子組み換え作物についてはトウモロコシの他、大豆、菜種、ワタの種子が流通しています。中国はかたくなに受け入れを拒否していますし、欧州も敬遠しています。トランプ大統領は今後、余った組み換え農作物の受け入れを日本に迫ってくる可能性があります。今回、受け入れに応じてしまった代償は大きくなるでしょう」(天笠啓祐氏)


武器も言われるがままに“爆買い”してきた安倍首相。今度は危険な食料を“爆買い”することになりかねない。

 


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【安倍政権】米余剰トウモロコシ輸入決定 日本に“危険食品”大流入危機
日刊ゲンダイ講談社)2019/08/27
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/260893

 

 

 

 

 


最後3つ目の記事はこちらです。

 

 

 

 

 

■安倍政権が切り捨てる日本の食と農。日本だけが輸入する危険な食品<鈴木宣弘氏>

ハーバー・ビジネス・オンライン(扶桑社) 2019.12.22

 

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・日本の食と農が崩壊する!

 

安倍政権はアメリカが要求する農協改革の名のもとに、農業への企業参入、農業の大規模化・効率化を推進してきた。


規制改革推進派の小泉進次郎氏が自民党農林部会長に就き、「農業が産業化し、農協が要らなくなることが理想だ」と公言する奥原正明氏が農水省事務次官に就いた。

諮問会議で農業改革の議論をリードしたのは、農業の専門家ではなく、金丸恭文氏、新浪剛史氏といったグローバリストである。


結果、農業分野への参入に成功したのは、新浪氏が社長を務めていたローソンファームや竹中平蔵氏が社外取締役を務めるオリックスである。

安倍政権が掲げてきた「稼げる農業」というスローガンは、その実態は、グローバル企業やお仲間企業だけが稼げる農業なのである。


こうした中で、農産物の自由化によって日本の農業は弱体化に拍車がかかっている。

月刊日本 2020年1月号』では、第3特集として「日本の食と農が崩壊する」と銘打ち、日本の食糧自給を巡る危機的な状況に警鐘を鳴らしている。


今回は同特集の中から、東京大学大学院農学生命科学研究科教授である鈴木宣弘氏の論考を転載・紹介したい。

 

・農業を犠牲にする経産省政権

 

── 日米貿易協定が2020年1月に発効します。

鈴木宣弘氏(以下、鈴木): この協定について、安倍総理は「ウィン・ウィンだ」などと言っていますが、日本の完敗であることははっきりしています。

自動車に追加関税をかけるというトランプ大統領の脅しに屈して、日本は農業分野を犠牲にしたのです。


日本側の農産品の関税撤廃率は72%ですが、アメリカ側の関税撤廃率はわずか1%に過ぎません。

日本農業は、さらに大きな打撃を受け、食料安全保障の確立や自給率向上の実現を阻むことになります。


安倍政権は、「アメリカは自動車関税の撤廃を約束した」と述べていますが、署名後に開示されたアメリカ側の約束文書には「さらなる交渉次第」と書かれています。

自動車を含まなければ、アメリカ側の関税撤廃率は51%に過ぎません。


これは、少なくとも90%前後の関税撤廃率を求めた世界貿易機関WTO)ルールに違反することになります。

安倍政権では、経産省の力がかつてないほど強まっており、自分たちの天下り先である自動車、鉄鋼、電力などの業界の利益拡大が最優先されています。


かつて、貿易交渉においては、財務、外務、経産、農林の4省の代表が並んで交渉し、農業分野の交渉では農水省が実権を持っていましたが、今や農水省は発言権が奪われています。

内閣人事局制度によって官邸に人事権を握られた結果、農水官僚たちも抵抗できなくなっているのです。


農水省が要らなくなることが理想だ」と公言する人物が農水省の次官になるような時代なのです。

 

・危機に陥る食料自給

 

── 協定が発効すると、アメリカ産の牛肉や豚肉の関税が一気に下がります。


鈴木:牛肉の関税は、現在の38・5%から26・6%に一気に引き下げられ、2033年度には9%となります。

豚肉も、高級品については関税を段階的に下げ、最終的にゼロとなります。低価格部位については、現状の10分の1まで下がります。


日本は、TPP11で、牛肉を低関税で輸入する限度(セーフガード)数量について、アメリカ分も含めたままの61万トンを設定しました。

ところが今回、アメリカ向けに新たに24万トンを設定したのです。日本にとっては、アメリカ分の限度が「二重」になっているということです。


しかも、付属文書には「セーフガードが発動されたら発動水準を一層高いものに調整するため、協議を開始する」と書かれているのです。

実際にセーフガードを発動することは次第に難しくなるということです。


政府は、牛肉や豚肉の価格が下がった分は補填するので、農家の収入は変わらず、生産量も変わらないと強弁しています。

しかし、生産量が低下し、自給率がさらに下がるのは確実です。


すでに牛肉の自給率は36%、豚肉の自給率は48%まで低下していますが、2035年には、牛肉、豚肉とも10%台にまで落ち込む危険性があります。

農水省は平成25年度の39%だった食料自給率を、令和7年度に45%に上げるなどと言っていますが、それを実現する気などありません。


食料自給で最も深刻なのは酪農です。

所得の低迷によって国内の酪農家の廃業が相次いでいます。


乳価を安定させ、個々の酪農家の利益を守るために機能してきた指定団体が改定畜安法によって廃止されたからです。

これに乳製品の関税引き下げが加わり、酪農家は危機感を高めています。


2018年には、北海道のブラックアウトの影響で東京でも牛乳が消えました。

これは決して一過性の問題ではありません。


さらに酪農が弱体化していけば、店頭から牛乳が消えるという事態が実際に起きます。

牛乳を飲みたがっている子供に、お母さんが「ごめんね。今日は牛乳が売っていないの」と言わなければならなくなるのです。


欧米諸国ならば、暴動が起きるような事態です。

ところが、政府は「不測の事態には、バターと脱脂粉乳を追加輸入して水と混ぜて、還元乳を飲めばよい」などと言っています。


安全で新鮮な国産牛乳を確保するために、国産牛乳の増産を図るのが国民の命を守る国の使命のはずです。

ところが、政府はその責任を放棄しているのです。


食料自給は、国家安全保障の要です。

食料を安定的に国民に供給するために、自国の農業を守るのが、国の責任です。


「日本の農業所得は補助金漬け」などと批判されることがありますが、日本は3割程度です。

スイスは100%、フランス、イギリスも90%を越えています。

 

・日本にだけ輸出される危険な食品

 

── アメリカ産牛肉は安全性も問題視されています。

鈴木:日本は、BSE(牛海綿状脳症)が問題となったため、アメリカ産の牛肉輸入を「20カ月齢以下」に制限していました。

ところが、野田政権は2011年、TPP交渉への「入場料」として、「20カ月齢以下」から「30カ月齢以下」へ緩和してしまいました。


実は、24カ月齢の牛のBSE発症例も確認されているのです。

しかも、アメリカのBSE検査率は1パーセント程度で、発症していても検査から漏れている牛が相当程度いると疑われます。


また、アメリカの食肉加工場における危険部位の除去が不十分なため、危険部位が付着した輸入牛肉が日本で頻繁に見つかっています。

「20カ月齢以下」は、日本人の命を守るための最低ラインなのです。


しかし、安倍政権はアメリカに配慮して、2019年5月に月齢制限を完全撤廃してしまったのです。

また、アメリカ産の牛肉には、エストロゲンなどの成長ホルモンが使用されています。


札幌の医師が調べたところ、アメリカ産牛肉からエストロゲンが通常の600倍も検出されたのです。

ウナギ養殖のエサにごく微量たらすだけで、オスのウナギがメス化するほどの成長ホルモンなのです。


エストロゲン乳がん前立腺がんとの関係が疑われており、日本では牛肉生産への使用は認可されていません。

しかし、アメリカからは、エストロゲンを使用した牛肉が輸入されている疑いがあります。


検査機関は「検出されていない」と言っていますが、40年前の精度の悪い検査機械をわざわざ使用し、検出されないようにしているようです。

EUは、1989年から成長ホルモンを使用したアメリカの牛肉を輸入禁止にしています。


禁輸してから7年で、乳がんの死亡率が顕著に低下したという学会誌データも出てきています。

さらに、アメリカでは、牛や豚の餌に混ぜる成長促進剤ラクトパミンが使用されています。


ラクトパミンは、発がん性だけでなく、人間に直接中毒症状を起こす危険性があり、EUだけではなく、中国やロシアでも国内使用と輸入を禁じています。

日本でも国内使用は認可されていませんが、これまた輸入は素通りになっているのです。


アメリカの乳製品も危険です。

ホルスタインには、モンサントが開発した遺伝子組み換え成長ホルモンが使用されているからです。


この成長ホルモンを注射すると、乳量が2~3割も増えるとされています。

アメリカでは、1994年に認可されましたが、1998年に勇気ある研究者が「数年後には乳がん発症率が7倍、前立腺がん発症率が4倍になる危険性がある」と学会誌に発表したのです。


その結果、アメリカの消費者が不買運動を展開、今ではアメリカのスターバックスウォルマートが「当社の乳製品には成長ホルモンを使用していません」と宣言せざるを得ない状況になっているのです。

ところが日本では、これほど問題になった成長ホルモンを使用した乳製品の輸入が野放しになっています。

── 安倍政権には、日本の食の安全を守る気がありません。我々は、どのようにして食の安全を守っていけばいいのですか。

鈴木:2019年10月には、ゲノム編集食品の販売が解禁されました。

しかも、表示義務もありません。


2023年には遺伝子組み換えでないという食品表示も実質的にできなくなります。

安倍政権は、世界に逆行するように、発がん性が指摘される除草剤成分「グリホサート」の残留基準値も大幅に緩和しました。


そして、貿易自由化が加速することによって、危険な輸入食品がさらに氾濫し、国産品を駆逐しようとしています。

しかも、表示がなくなれば、安全な食品を選択することも不可能です。


まさに今、日本の食の安全は瀬戸際に来ているのです。

 

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■安倍政権が切り捨てる日本の食と農。日本だけが輸入する危険な食品<鈴木宣弘氏>
ハーバー・ビジネス・オンライン(扶桑社) 2019.12.22
https://hbol.jp/pc/209175/

 

 

 

 

 

 


人が生きる上で欠かせないのが「水」と「食」です。

日本人は農耕民族でもあり、長らくお米を中心とした食文化を培ってきました。

 

また、日本は四方に海に囲まれていることもあり、肉よりも魚を多く食べてきた歴史もあります。

「米」と「魚」は、日本の食の文化ともいえる食べ物かもしれません。

 

しかし、戦後、パンなどの小麦製品や肉製品の輸入が急増。

いまやマクドナルドなどのファーストフードや、ステーキ・焼き肉店などが日本人の外食でトップクラスの人気となっています。

 

若い方は特にその傾向は顕著かもしれません。

ただ。

 

今、日本の食に、大きなリスクがあるのはご存じでしょうか。

海外からの食の自由化が進み、欧米から食肉やトウモロコシ、小麦などの輸入も増加しています。

 

拍車がかかったのが、トランプ元大統領と安倍元首相による貿易交渉。

EUやロシア、そしてあの中国でさえ、輸入禁止指定となっているものまで、日本に輸入されています。

 

なぜ、安倍元首相以外の政治家は反対しないのでしょうか。

なぜ、官僚組織は危険に対する防御体制を構築しないのでしょうか。

そして、なぜ、マスコミは、この危険な状況をより強く報道しないのでしょうか。

 

少なくとも、他国で輸入禁止や使用制限している食品や添加物は、まずもって見合わせるべきだと思います。

もし、仮に、危険が断定できず「リスクの可能性が否定できない食品」であっても、まずは使用制限をするべきではないでしょうか。

 

日本国民の食卓に並ぶことを根本から排除する仕組みを導入する必要があると思います。

食肉やトウモロコシだけではありません。

 

昨今、人工甘味料・防腐剤、マーガリンなどに含まれるトランス脂肪酸なども危険性があると言われています。

これらは危険と言われながらも、法的に問題なく日本国内に流通されています。

 

今や、日本のスーパーやコンビニでも、その危険な可能性のある「食」が溢れています。

農薬残留食品や遺伝子組み換え食品もリスクの高い食品と指摘されています。

 

リスクの中には、海外製の輸入品が指摘されています。

海外製の輸入品すべてが悪いというわけではありません。

 

当然、真摯に製造し、真摯に流通している食品も多くあるでしょう。

ただ、万が一、日本に対し「悪意」ある人たちが製造・加工していたらどうでしょうか。

 

農薬残留が高い食品や安全が担保できない遺伝子組み換え食品を加工していたら、、、。

流通でもリスクは伴います。

 

特定の国向けの輸出食品に「悪意」が潜んでいたらいかがでしょう。

もし「悪意」ある人たちが流通を担っていたらどうなるでしょうか。

 

これは、食だけではなく、飲料やワクチンなどの医薬品などにも当てはまります。

海外製輸入品は、当然リスクは高まります。

 

特に、食品や薬、飲料などは、直接私達日本人の体内に入ります。

仮に、政治や法令、貿易体制が「筒抜け」であれば、ダイレクトに、日本国民の健康や命に影響が出る可能性があります。

 

そして、このような食品や飲料などは、比較的安価な食材に多く見られます。

私たちのすぐ身近なスーパー、知名度もあるスーパーでも、リスクのある輸入食材が多く陳列されています。

 

他国で禁止されている食材や添加物などが、実際に私たちの体内に入っているのも事実です。

食や飲料における情報。

 

私たちの健康が、情報感度の高い方と、低い方で分岐されている可能性もあります。

それでよいのでしょうか。

 

知っている人は健康で、知っていない人は病気リスクを高める。

本当にそれでいいのでしょうか。

 

情報のある人、ない人に関わらず。

同じ国民を「リスク」から遠ざけることが必要かもしれません。

 

今、先進国の中で唯一、日本人だけが、「がん」で亡くなられている方が増加しています。

日本以外の先進国は「がん」が減っているのです。

 

もちろん「食」だけではない多くの要因はあるでしょう。

ただ、食べ物や飲み物、医薬品などは「がん」リスクに影響がまったくないとは言い切れません。

 

ワクチンなど医薬品の輸入も急激に増加しています。

大事なのは飲食や医薬品等の安全を担保できる政治。

 

海外からの圧力に屈せずに、日本国民の健康と命を守り切るという、強い意志を持った国際政治。

そして、高い志・道徳心を持った官僚組織と、圧力に屈しない国民側に立ったマスメディア。

 

総力を挙げて、日本国民の健康と安全を優先できる「体制」が必要かもしれません。

中でも「外圧に屈しない政治リーダー」が最も重要ではないでしょうか。

 

国際政治では、様々な思惑が渦巻いているのは事実です。

残念ながら、様々な世界史を顧みると、「残忍な」国際政治は、今でも存在しています。

 

だからこそ。

本当に国民側に立った政治ができる人が、日本のかじ取りをしなければならないのかもしれません。

 

日本国民の健康と命。

今、戦後の中でも、最も危険な状況に置かれているといっても過言ではないかもしれません。

 

私たち一人一人は、考え、そして行動する必要があるのではないでしょうか。

「海外」を優先する政治なのか。

 

それとも「日本国民」を優先する政治なのか。

いま、私たちの「健康」と「いのち」が、問われています。

 

 

 

 

 

 

 

【参考資料】

 

 

 

EUでは輸入禁止、米国産「ホルモン牛」に発がんリスクの危険

女性自身 2019/10/02

 

 

 


【安倍政権】日本は見下された国 米国が食の安全に配慮するわけがない

日刊ゲンダイ:2019/12/27

 

 

 

 

TPP、危険な海外食材が大量輸入&流通の恐れ 発がんリスクある米豪牛肉、検疫率は1割

gooニュース(2015/10/11)

 

 

 

 


■3世代にわたる安全性は分かっていない人工甘味料やカラメル、乳化剤…本当は怖い市販飲食品の裏側!

~カロリーゼロにだまされるな 本当は怖い人工甘味料の裏側~

「米国心臓協会と米国糖尿病学会が人工甘味料に関する合同声明」

ダイヤモンド 2013.10.3

 

 

 

 

■危ない食品を見分けられない人が被るリスク

・発がん性などが指摘される危険な食品添加物

「欧米では危険性があると採用されていない食品添加物が、日本では認可され、使用されているというこわい現実」

東洋経済 2019/05/25

 

 

 

 

■恐怖の人工甘味料、人体と生態系を破壊 発がん性物質生成、アレルギー発症の恐れ

アスパルテームフェニルケトン尿症を悪化、精神に異常」

ネオテーム亜硝酸塩と反応して発がん性物質のニトロソ化合物が生成」

exciteニュース 2015年5月26日 Business Journal

 

 

 

 

 


人工甘味料、甘く見ると砂糖より怖い?

肥満、糖尿病の要因に

神経伝達物質に悪影響を及ぼすため、鬱や不眠などの精神疾患を引き起こす恐れ」

「腎機能が低下したり、脳卒中心筋梗塞などの血管系疾患の発症」

NIKKEI STYLE(日本経済新聞)

 

 

【水道資産120兆円のゆくえ】安倍政権の水道民営化で都市部の水が外資に狙われる…海外では料金高騰やコレラ蔓延も

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【本日のニュース・記事】

 

■世界「3大水メジャー」がついに「一強」になった歩みと今後の展開や懸念

ヤフーニュース(2020/5/17)

 


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・水ビジネスの巨人「ウォーター・バロン」と言われた2社

 


水ビジネス世界大手仏ヴェオリアが、同業仏スエズを買収することで最終合意したと発表した。

買収総額は約260億ユーロ(約3兆4000億円)。

 

売上高約370億ユーロの巨大企業が誕生する。

 

「仏ヴェオリアスエズ買収で合意 3兆4千億円」(日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR150CH0V10C21A5000000/

 

ここでは水ビジネスの巨人「ウォーター・バロン」と言われた2社の歩みを振り返る。

 


・日本にも進出しているヴェオリア

 

ヴェオリアは、仏リヨン市で1853年に創業したジェネラルデゾー社が母体となっている。

 

フランス共和国第二帝政時代、ナポレオン三世は都市部の水道システムを運営する民間企業が必要と考え、勅令によって誕生した。

事業は上下水道に止まらない。

 

1960代以降、廃棄物処理やエネルギーも取り扱い、いわゆるライフライン事業を主体にしている。

1980年代以降、通信・メディア事業、都市交通などにも進出したが、現在は本業に集中する方向だ。

 

2019年のグループ連結売上高は271億ユーロ(約3兆4200億)で、水部門が41%、廃棄物部門が37%、エネルギー部門22%という比率だ。

 

日本にも進出しており、西原環境(エンジニアリング)、ジェネッツ(料金徴収・顧客サービス)、フジ地中情報(漏水管理・料金徴収)などを傘下に収め、上水道事業や廃棄物処理の業務を行っている。

 

2019年度は、69か所の浄水場運転、80か所の下水処理上運転、180自治体の料金徴収、999件の漏水調査受託を行っている。

現在宮城県で進む水道事業のコンセッションにおいても、ヴェオリア・ジェネッツ社は運営候補グループのなかの1社である。

 

スエズ運河とも縁あり


スエズは、もともと1880年に創業したリヨネーズ・デソーという企業で、水道と電力を事業の柱にしていた。

 

フランス国内の建設会社と合併してリヨネーズデゾー・デュメズとなった後、スエズ運河の建設・運営会社であるスエズと合併し、スエズ・リヨネーズデゾーとなった。

 

その後、グループ内の再編、建設部門の売却などを経て、スエズ・エンバイロメントとなった。

2006年にはイタリアの電力大手エネルから敵対的買収を仕掛けられた。

 

これに対し、ドビルパン仏首相(当時)は、「フランス企業を守れ」のスローガンを掲げ、スエズ買収を阻止すべく、フランスのガス公社(GDF)との合併を主導した。

 

国営企業と民間企業の合併ゆえ、労務問題や利益配分、支配権の確立など数多くの難題があり交渉は難航したが、2007年5月に就任したサルコジ大統領(当時)が先頭に立ち、急転直下で合併合意にこぎつけた。

 

電力事業はGDFに移し、GDF傘下のスエズ・エンバイロメント(水道・廃棄物事業)となった(2016年4月に再度スエズに社名変更)。

2019年度の年間売上げは、連結売上高は180億ユーロ(約2兆2700億円)で、水部門56%、廃棄物部門44%という割合になっている。

 

日本での事業活動はないが、水道事業のコンセッション等の獲得に向け、2018年12月に前田建設と共同取組を行う覚書を締結している。

 


・2大水メジャーがフランス企業である理由


両者ともフランス企業だが、偶然ではない。

フランスは自治体の規模が小さく、人口6500万人に対し、自治体数は3万7000ある。

 

9割の自治体の人口は2000人足らず。そのため自治体は、都市交通、廃棄物の収集や処理、上下水道などの行政サービスを独自に行うことができず、民間企業に任せてきた。

 

シラク元大統領はパリ市長時代に、市内をセーヌ川で二分し、片方の水道事業をヴェオリアに、もう片方をスエズに任せた。

その結果、両者は水道事業のノウハウを蓄積することができた。

 

転機が訪れたのは1980年代。

フランスの国内上下水道市場が飽和した。

 

そこで大統領のトップ外交によって海外進出を図った。

ヴェオリアスエズ先行者の利を活かし、世界の民営化された水道事業のほとんどを握り、「水メジャー」「ウォーターバロン(水男爵)」などと呼ばれた。

 

かつては「3大水メジャー」といわれ、英国のテムズウォーターを含んだが、現在同社は国内に特化して事業を行っている。

ヴェオリアスエズの「2大水メジャー」だったわけだが、今回の買収によりついに世界最大の水メジャーが誕生した。

 


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■世界「3大水メジャー」がついに「一強」になった歩みと今後の展開や懸念
ヤフーニュース(2020/5/17)
https://news.yahoo.co.jp/byline/hashimotojunji/20210517-00238333/

 

 

 

 


本日は2つの記事をご紹介いたします。

2つ目の記事はこちらです。

 

 

 

 

■安倍政権の水道民営化で都市部の水が外資に狙われる…海外では料金高騰やコレラ蔓延も

Business Journal 2019.11.14

 

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10月1日から、消費税率が8%から10%へ引き上げられたのと同時に、「改正水道法」が施行された。

 

実質的な水道民営化を推進する同法は、その是非をめぐって物議を醸した末、昨年12月に臨時国会で成立していた。

そして、いよいよ施行されたわけだが、世の中の関心が消費増税ばかりに向いていたため、知らなかったという人も多いだろう。

 

これによって、数年後には水道事業に「コンセッション方式」が導入されるとの見方も出ている。

コンセッション方式とは、公共施設などの「運営権」を民間事業者に売却する仕組みのことだ。

 

所有権は自治体などの公的機関が持ったままだが、公的機関は売却によって利益を得ることができるほか、経営を民間に任せることで運営のリスクを抱えなくても済むことになる。

表向きは「民間による効率的な運営」や「地方自治体の財政健全化」がうたわれているが、公共性の高い水道事業が民営化されることへの反発も多い。

 

経済ジャーナリストの荻原博子氏は、以下のように語る。


「民営化というのは、決してバラ色ではありません。それは、今のJR各社を見ればわかることです。1980年代、赤字に陥っていた国鉄が分割民営化されましたが、JR東日本JR西日本が儲かる鉄道会社として成功している一方で、JR北海道JR四国は赤字が続いており、いわば格差が激しくなっています。また、株主構成を見れば、JR東日本の株主の約3分の1は外国資本が占めていますが、JR北海道は実質的に国営のままです。つまり、民営化によって、企業は儲かりそうなところにしか参入しないということです。水は人間の生活にとって必要不可欠なものですから、それが利益重視の民間に抑えられてしまうというのは大きな不安要素です」(荻原氏)

 

・危惧される水道料金の高騰と質の低下


懸念されるのは、“水メジャー”と呼ばれる国際的な巨大企業による日本の水道インフラの掌握だ。

 

すでに、フランスのスエズ・エンバイロメントヴェオリア・ウォーター、イギリスのテムズ・ウォーターなどの名前が取り沙汰されている。

荻原氏は、「大きく問題になるのは料金高騰と品質低下です」と語る。


「世界の事例を見ても、民営化によって料金の高騰や質の低下が起きています。フランスのパリでは25年間で水道料金が約3倍になった結果、再公営化されました。また、南アフリカでは民営化で水道料金が跳ね上がり、支払えない貧困家庭の人々が汚染された川の水を飲むなどして、約25万人がコレラに感染。やはり、再び公営に戻されています。前述したように、民間は都市部などの“おいしいところ”にしか入ってこないでしょう。それは、儲かるところという意味です。そういう地域は人口が多いため、必然的に多くの人が料金高騰などの煽りを受けることになります。一方で、地方はいわば見捨てられ、インフラ維持のために少ない住民が高いコストを負担するという構図が続きそうです。ただでさえ、水道料金は管轄する自治体によって大きな差があるのが実情です。そして、たとえば財政再建中で水道料金も全国トップクラスの北海道夕張市に、わざわざ外資が参入して状況が好転するとは考えにくい。そのため、過疎地をはじめとする地方ではサービスや水質が低下する一方で料金は高くなり、現状の地域格差がさらに広がっていくことが危惧されます」(同)

 


民営化によって、水道事業に“第2のJR北海道”が生まれかねないというわけだ。

「水はなくてはならないものなので、高くなっても買わざるを得ません。しかも、ミネラルウォーターは軽減税率が適用されるので消費税8%ですが、水道水は10%なのです」(同)

 

昨年12月の臨時国会では、「70年ぶりの大改革」として漁業権を企業に開放する「改正漁業法」が成立した。

さらに、今年6月の通常国会では「改正国有林野理経営法」が成立、来年4月に施行される見込みだ。

 

これは、最長50年間、全国の国有林を大規模に伐採・販売する権利を民間事業者に与えるものである。

「民間に水を売り、海を売り、森林を売り……。さらに、米国との日米貿易協定では日本の農業が脅かされるような内容で合意されました。これから、私たちの生活はどうなってしまうのでしょうか」(同)

 

安倍晋三首相の通算在任日数は11月20日で計2886日の桂太郎を超え、憲政史上最長を記録する。

長期政権を謳歌する安倍政権は、日本のインフラや産業をどうするつもりなのだろうか。

 


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■安倍政権の水道民営化で都市部の水が外資に狙われる…海外では料金高騰やコレラ蔓延も
Business Journal 2019.11.14
https://biz-journal.jp/2019/11/post_128034.html

 

 

 

 

最後3つ目の記事はこちらです。

 

 

 


■水道民営化の仕掛け人は竹中平蔵氏か…国民が知らない水道資産120兆円のゆくえ

Business Journal 2019.12.08

 

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水メジャーを太らせたのは「水事業の民営化」を煽る国際金融機関


世界には、水メジャーの支配で高騰した水道料金を払えず、あろうことか「天から降ってきた雨水」の取水まで禁じられた人々がいる。

 

日本が平成に改元してしばらくした頃に、南米・ボリビアの主要都市コチャバンバ市の公営水道民営化で起きた悲劇だ。

同市の水道民営化では、灌漑施設も井戸も雨水も、すべての貯水を水企業アグアス・デル・ツナリ社の管理下に置く契約が交わされていた。

 

あまりにも理不尽だったため、多くの人々に知れわたった実話である。

ツナリ社は、多国籍巨大建設企業ベクテル社の傘下企業だ。

 

実は、これまで「水事業の民営化」を煽ってきたのは、世界銀行国際通貨基金IMF)などの国際金融機関である。

ハイパーインフレで瀕死のボリビア政府に対して、多国間債務600万ドルの免除を条件に、この理不尽な契約を促したのも世銀だった。

 

彼らは、経済の自由化や公的機関の民営化を途上国政府への融資条件として課してきたのである。

この30年間は「小規模農家への支援」や「教育・医療」の予算削減まで強要し、結果、多国籍巨大企業の市場はさらに拡大し、世界の貧困と格差が悪化した。

 

国際金融機関のこうした“前科”が日本の一般常識として広く認知されていないのは、官製情報に依存し巨大資本に抗えない国内マスメディアが国民の知る権利にこたえていないからである。

 

事実として重要な情報がオーソライズされないまま、今日本人の「水道の水」も巧妙な仕組みで「市場」化されようとしている。

黙認して放置すれば、冗談抜きで、いずれ「清浄な空気」も商品として市場化されるかもしれない。

 

「市場」は商品・サービスとカネの取引で成り立っている。

カネがなければ取引はできず、人は何も得られない。

 

公共/公益の概念は、そこに生まれる悲劇の類いを回避するための知恵でもある。


従って、生存の最低条件である「水道の水」まで弱肉強食の市場で扱おうとする発想は、非常識を通り過ぎて、もはや「民営化原理主義」とでも名付けてもいい「文明の退化」だ。

 

今、日本も世界もその見識を問われている。

 


安倍内閣水メジャー・金融/証券と組んで法改定を仕掛けた面々


水メジャーによる接待疑惑」で官邸を追われた福田隆之氏が、36歳の若さで内閣官房長官の「公共サービス改革」担当補佐官に抜擢されたのは2016年1月。

 

もとは野村総合研究所主任研究員や新日本有限責任監査法人のインフラ・PPP支援室室長・エグゼクティブディレクターなどを務めた証券のプロである。

表舞台から姿を消した同氏は現在、「行政官」という官職を持つコンサルタントを務めながら、都内の大学にも籍を置いている。

 

その大学は東洋大学

そこでの肩書きは「国際学部客員教授/グローバル・イノベーション学研究センター客員研究員」(2019年10月22日現在。以下同)。

 

2名在籍する客員研究員のもう1人は、前述の「水道民営化を煽ってきた世界銀行」で上級インフラファイナンス専門官を務める人物だ。

このグローバル・イノベーション学研究センターを統括するセンター長は、「東洋大学国際学部教授」の竹中平蔵氏である。

 

著名な人物は「毀誉褒貶あり」と評されることがよくある。

しかし、政府の「官民連携」施策が、実は一般庶民の生活経済を追い込むものであることを直感する人々の多くは、そこから「誉・褒」の2文字を抜いた「毀・貶」で、あの「竹中平蔵」氏を連想しがちだ。

 

立身出世を絵に描いたような竹中氏の華やかな肩書きは、あまりに多すぎてここには書き切れない。

小泉純一郎内閣で要職を歴任し、郵政担当大臣として「郵政民営化」の道を開いた竹中氏は、日本国民の富をどこかに移動する仕組みづくりに自信を持ったかのようにもみえる。

 

麻生太郎副総理は表通りで「水道の公設民営」を外資の面々に“報告”したが、竹中氏は裏通りで地道にそれを準備し、実行してきたといえる。

小泉内閣以降も「行政を束ねて采配するノウハウ」に磨きをかけ、派遣大手のパソナ役員を兼務しながら労働法制に手を入れ、ヴェオリアもたじろぐほどの「利益相反」を問われながら、今もマスメディアを黙らせ続けている。

 

学者としては、大学で学生たちに「金持ちを貧乏人にしても、貧乏人が金持ちになるわけではない」などと“その道の粋”を教えてきた。規制緩和/撤廃で世界に名を轟かせた英国初の女性首相マーガレット・サッチャーの言葉だ。

教え込まれた学生が政官界に進めば、「自己責任論」で弱肉強食を正当化する新自由主義の施策になんの迷いも抱かず加担し、政治と行政が担うべき本来の役目を蔑ろにするかもしれない。

 

安倍内閣規制緩和を御旗として掲げ、水道法改定など数多の法改定と施策を強行してきた。

その権勢を上手に利用して「昇進や第二の人生にまっしぐらの幹部官僚ら」を動かし、PPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ:公民連携)/PFIプライベート・ファイナンス・イニシアティブ民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律)の導入を見事に完遂したのが、竹中・福田の両氏である。

 

両者の「阿吽の呼吸」の痕跡は、政府による数多の議事録を見れば腐るほど目にできる。

 

・官民連携インフラファンド→民間インフラファンドへの流し込み


2009年に設立された「産業革新機構」は2018年9月、竹中氏も議員として名を連ねる「未来投資会議」によって官民出資の投資ファンド「産業革新投資機構(JIC)」に改組された。

 

その子会社として新設された「INCJ」には、金融機関からの資金調達で政府保証1兆8000億円がつき、最大2兆円規模の投資能力がある。

同ファンドの出資金は95%が財政投融資の拠出だ。

 

つまり、「ハイリスク、ハイリターン」というヘッジファンド同様の資産運用を行うリスクマネーの拠出を、国民のカネを預かる政府が担っているということである。

従って、換言すればこういうことだ。

 

「官民連携インフラファンドに巨額の政府保証をつけさせて莫大な資金調達を可能とし、PFI 法で認められている官民連携インフラファンドから民間インフラファンドへの投資で国民のカネを民間企業に流し込む仕組みづくり」の礎を、すでにここで仕立て終えていた、と。

 

その仕掛けは、2014年5月19日に官邸4階で開かれた「経済財政諮問会議産業競争力会議合同会議」でもうかがい知ることができる。

竹中氏は「コンセッション制度の利活用を通じた成長戦略の加速」という書類を配布し、幹部官僚の尻を叩いて「官民連携インフラファンド」についても強く打ち出しているからだ。

 

同会議録から、「コンセッション推進」と「インフラファンド推奨」にかかわる要所を抜粋する。

 

<……これに応えるために以下の施策を実施する必要がある>


平成26年4月から向こう3年間」「に実施する案件について」「少なくとも、(筆者注:コンセッション成約を)国土交通省(空港)6件、国土交通省(下水道)6件、国土交通省(有料道路)1件、厚生労働省(水道)6 件とし、これら4分野の目標のうち地方公共団体分に相当する15件」「については、地方制度を所管する総務省もその目標の達成に協力する」「内閣府の数値目標として、上記案件で行われる投資金額の合計」「2~3兆円」「を目標とする>


<株式会社民間資金等活用事業推進機構(官民連携インフラファンド)」「の有するノウハウや地域金融機関との協力関係の活用を図りつつ」「PFI 法上」「官民連携インフラファンドに認められている民間インフラファンドへの投資について、支援基準を踏まえ、取り組みを開始する>


この産業競争力会議は、2年後の2016年9月9日に新設された「未来投資会議」と入れ替わる形で廃止された。

安倍晋三議長・麻生太郎議長代理で開かれた未来投資会議でも、「公的資産と公的サービスの民間開放」が幾度もテーマとされてきた。

 

・「インフラファンドとリンクしたインフレーションに最適の投資資産が公共料金」


福田氏が補佐官在任中の2017年2月17日、「未来投資会議・構造改革徹底推進会合~第4次産業革命(Society5.0)・イノベーション」(PPP/PFI)の第4回は、竹中会長が中心となって議事が進められていた。

 

当日のメインゲストは、マッコーリーキャピタル幹部としてアジアのインフラ投資を動かすジョン・ウォーカー氏と、日本におけるマッコーリーキャピタル証券代表の大橋純氏。

既述のように、マッコーリー・グループは3大水メジャーから消えた英テムズ・ウォーターを買収した豪州メガバンクで、非銀行部門に証券業務がある。

 

従って、マッコーリーキャピタル証券は銀行系証券会社ということになる。

実は、2011年2月に国土交通省航空局が開いた「第3回・空港運営のあり方に関する検討会」でも、マッコーリーキャピタル証券の舟橋信夫副会長(当時)が招かれていた。

 

官房長官の下で竹中氏のパートナーとして動いていた福田氏は、同じ証券マンの先輩である舟橋氏にコンセッション等の指南を受け、事情を知る証券関係者の間では「昵懇の仲」だと見られてきた。

これらの経緯をたどれば、舟橋・福田・竹中の3氏が「PPP/PFIによる国内コンセッション」を起案し、同調する安倍内閣が政府としてこれを実現した構図が透けて見える。

 

道コンセッションにインフラファンド市場ができれば、あとはそこに公的資金を流し込むだけだ。

「新PFI法」が施行された2018年10月の下旬、宮城県では県が主催する「上工下水一体官民連携運営事業シンポジウム『水道の未来を考える』」が開かれた。そこに講演者として招かれたなかに、水メジャーのツートップであるヴェオリア・ジャパンとスエズ・アジアの幹部数名がいた。

 

このなかから「スエズ・アジア アドバイザー」の肩書きで登場したのは、マッコーリーキャピタル証券副会長を辞めた後も福田氏と昵懇だった舟橋氏である。

インフラファンドが生まれたのは、マッコーリー社の母国・オーストラリアだ。

 

2011年に国交省が開いた前述の会合で、舟橋氏はマッコーリーキャピタル証券副会長として、こんな話をしている。

 

マッコーリー・グループがひとつだけ世界一の分野がある。インフラファンドの残高だ」

 

「なぜインフラか? インフラのような投資資金にとって一番重要なのは、使う期間が随分と先になるため、購買力を喪失するのが一番怖いという点。逆に、インフレーションに一番いい投資資産が公共料金である。公共料金はほとんどがインフレにリンクしている」

 

「グループのインフラ投資で最大の案件はテムズ・ウォーター。当時、企業価値は1兆8000億円という投資だった」(以上、要約抜粋)

 

東日本大震災が勃発する約1カ月前の話だ。

「インフラファンドはインフレとリンクしており、インフレに最適の投資資産が公共料金」「水道会社への投資額は1兆8000億円」――日本で、その原資はどこから調達されるか。

 

改定水道法の行方を透視するためには、日銀・メガバンク等の動向を横目に官民インフラファンドと水道インフラファンドの動きを注視する必要がある。

金融・証券のプロが政府の施策に影響を及ぼせば、巨額の公的資金が裏で流れ始めるからである。

 

・水道のインフラファンド経由で公的資金が民間企業へと流し込まれる


閑話休題

既述の通り、2017年10月下旬に「新PFI法の施行」「2大水メジャーのシンポ参加」「福田氏の接待疑惑文書」の3つの動きが重なっている。

 

水道法改定に対して国民が不安を抱いているにもかかわらず、水面下では巨額「水道マネー」をめぐる利害関係者の暗闘がすでに始まっていたようだ。

民間企業の事業目的は「果てしない営利」である。

 

平成の世に日本にも上陸したPPP/PFIによる官民連携「水道コンセッション」と「インフラファンド」は、間違いなく莫大な「水道利権」を生み散らかす。

平成に準備されて令和に本格始動する改定水道法には、「自治体がこれまで及び腰だった料金値上げを、法制度間の整合性で容易にする仕掛けがあったこと」、そして「巨額水道マネーを担保に、インフラファンド経由で公的資金を民間企業へと流し込む仕掛け」があること、などを本連載で検証した。

 

既存のマスメディアに期待できないからには、今後、住民/国民自らが「PPP/PFIに踊り狂う自治体と政官財のカネの動き」を厳しく監視するしかない。

多くの若者が手にしたネットは、そのためにも有効だ。

 

黙認したり監視を怠ったりすれば、国民の水道資産120兆円は、そのうち利権まみれで真っ黒に濁ってしまうだろう。

 

 

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■水道民営化の仕掛け人は竹中平蔵氏か…国民が知らない水道資産120兆円のゆくえ
Business Journal 2019.12.08
https://biz-journal.jp/2019/12/post_130797.html

 

 

 

 

 


私たちが毎日、口にする水。

お米を炊くとき、料理するとき、歯を磨くとき、お風呂に入るとき、等々・・・。

 

私たちは蛇口から流れてくる水が安心・安全であると信じて疑いません。

 

ただ、今、この安心である「日本の水」がリスクにさらされています。

 

背景にあるのが「水道の民営化」。

特に影響力を高めているのが、フランスの水メジャーヴェオリア」です。

 

圧倒的資金と規模で世界的覇権を握りつつある超巨大企業です。

売上は訳450億ユーロ(約5兆5,000億円)規模、あのスエズ運河の運営会社でもあり、スエズ運河にも深い関わりのある企業です。

 

すでに日本政府や日本行政にも影響力を有しており、宮城県の水道運営権をも取得しています。

 

水道水だけではありません。

 

ヴェオリア放射性廃棄物処理も手掛けており、将来的に福島原発の汚染水処理も念頭にあると言われています。

福島原発の汚染水処理は日本の大きな課題の一つですが、外資系による処理手段の影響力・コントロールは大きなリスクにもつながる可能性があります。

 

そもそも日本は水源が豊富でもあり、世界でも稀に見る水資源大国でもあります。

 

ただ、世界の情勢は違います。

環境変化や人口増加などを背景に、今後世界の4割の人が水不足問題に直面するともいわれ、将来的には「水戦争」も勃発すると言われています。

 

安心・安全な日本の水。

上下水道の経営権のみならず、森林や水資源地域の土地買収など、外資系企業に「権利」を奪われることは、日本人の健康や生命にも直結する部分ではないでしょうか。

 

そもそも国営事業の民営化は失敗するケースが多くありました。

例えば「郵政民営化」。

 

郵政民営化」では海外企業買収失敗で多額の損失を発生、ゆうりょマネーはリスクの大きい外国債で運営されています。

民営化で撤退した郵便局、不正の増加など郵便サービス低下などの問題も浮上しています。

 

民営化リスク。

影響力の強い外資系企業等がその「権利」を取得する手段でもあり、外資系企業にその運営主導権すら奪われかねません。

 

特に水道事業は、金銭的損失にとどまりません。

日本国民の健康と、生命に関わる分野です。

 

主導権を奪われることは、日本国民にとって「不幸な結果」となる可能性が高まります。

 

例えば、ワクチン政策がよい例ではないでしょうか。

政府のリーダーシップの遅れで国産ワクチンは大幅な遅れ。

 

海外ワクチンメーカーの都合で契約、金額や成分など情報開示も不明瞭のまま。

入手時期や入手する量も、詳細は開示されていません。

 

そして、オリンピックもそうです。

一時期、8割近くの方々が延期か中止を望んだオリンピック。

 

日本人の過半数以上の反対の中、強行開催。

緊急事態宣言も、何故か、オリンピックのため?とも思える不可思議なタイミング。

 

ワクチン政策、オリンピック政策などなど、私達日本人の意思が通じない国際政治と、その意向に毅然とノーと言えない日本政府。

まさかの政治民営化?とも思える、笑えない状況ではないでしょうか。

 

このままでは、水道事業は、ワクチン政策、オリンピック政策、そして郵政民営化と同じような失態を重ねることとなりかねません。

国際政治、国際資本に「日本国家」すら、奪われかねません。

 

譲れない部分は何か。

言うべき点はどこか。

 

未来の子どもたちに残すべき「絶対に譲れない部分」はどこなのか。

 

改めて、政治家や官僚、民間企業、そして、私達日本国民全員が、真剣に考える時がきているのかもしれません。

 

 

 

 

 

 

【参考資料】

 

 


外資が水道事業で攻勢、仏ヴェオリア松山市から受託

日本経済新聞 2012年3月13日

https://www.nikkei.com/article/DGXNASFK1302A_T10C12A3000000/

 

 

 


宮城県、水道運営権を民間に売却へ 上下水道含めた委託は全国初

毎日新聞 2021/7/5

https://mainichi.jp/articles/20210705/k00/00m/040/209000c

 

 

 

■水道事業民営化 外資に売却で「高価な水」買わされる危険性

「福田補佐官の出張記録を取り寄せてみたところ、2016年の就任以来、頻繁にフランスなど欧州出張を繰り返して特定の水メジャー接触

週刊ポスト 2018.11.06

https://www.news-postseven.com/archives/20181106_795763.html?DETAIL

 

 

 

■日本人は知らない「水道民営化の真実」

・水道料金は上昇、嗤う投資家と株主たち

「多くの日本人は気付いていないが、コンセッションでの水道事業運営を受託するのは外国企業になる可能性が高い」

週刊現代(講談社)2018.08.31

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/56865

 

 

 


■水道民営化のウラに…麻生財務相“身内に利益誘導”の怪情報

「(日本の)水道はすべて国営もしくは市営・町営でできていて、こういったものをすべて民営化します」

日刊ゲンダイ講談社)2018/12/12

https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/243479